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03月03日-03号

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  1. 高知県議会 2022-03-03
    03月03日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年  2月 定例会(第361回)-----------------------------------        令和4年3月3日(木曜日) 開議第3日-----------------------------------出席議員       1番  桑鶴太朗君       2番  上治堂司君       3番  土森正一君       4番  上田貢太郎君       5番  今城誠司君       6番  金岡佳時君       7番  下村勝幸君       8番  田中 徹君       9番  土居 央君       10番  野町雅樹君       12番  横山文人君       13番  西内隆純君       14番  加藤 漠君       15番  西内 健君       16番  弘田兼一君       17番  明神健夫君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  依光美代子君       26番  大石 宗君       27番  武石利彦君       28番  田所裕介君       29番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     浦田敏郎君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  中村 剛君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       森田徹雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長      西山彰一君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員職務代理者             奥村陽子君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      山本和弘君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第3号)   令和4年3月3日午前10時開議第1 第1号 令和4年度高知県一般会計予算 第2号 令和4年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 令和4年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 令和4年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 令和4年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 令和4年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 令和4年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 令和4年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 令和4年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 令和4年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 令和4年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 令和4年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 令和4年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 令和4年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 令和4年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 令和4年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 令和4年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 令和4年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第19号 令和4年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 令和4年度高知県流域下水道事業会計予算 第21号 令和4年度高知県電気事業会計予算 第22号 令和4年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 令和4年度高知県病院事業会計予算 第24号 令和3年度高知県一般会計補正予算 第25号 令和3年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 令和3年度高知県旅費集中管理特別会計補正予算 第27号 令和3年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第28号 令和3年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第29号 令和3年度高知県県債管理特別会計補正予算 第30号 令和3年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 第31号 令和3年度高知県国民健康保険事業特別会計補正予算 第32号 令和3年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第33号 令和3年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第34号 令和3年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第35号 令和3年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第36号 令和3年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第37号 令和3年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第38号 令和3年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第39号 令和3年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第40号 令和3年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第41号 令和3年度高知県流域下水道事業会計補正予算 第42号 令和3年度高知県電気事業会計補正予算 第43号 令和3年度高知県病院事業会計補正予算 第44号 高知県動物愛護基金条例議案 第45号 高知県行政書士法関係手数料徴収条例等の一部を改正する条例議案 第46号 高知県個人情報保護条例の一部を改正する条例議案 第47号 高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第48号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第49号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第50号 高知県部設置条例の一部を改正する条例議案 第51号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県職員等こころざし特例基金条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県統計調査条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県国民健康保険法施行条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県青少年保護育成条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県立紙産業技術センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第60号 高知県新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金基金条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県家畜保健衛生所条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第63号 高知県営病院事業料金徴収条例の一部を改正する条例議案 第64号 警察職員の服務の宣誓に関する条例及び公安委員会委員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例議案 第65号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第66号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第67号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第68号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第69号 都市計画道路はりまや町一宮線防災・安全交付金工事請負契約の締結に関する議案 第70号 (新)安芸中学校・高等学校体育館新築主体工事請負契約の締結に関する議案 第71号 県道の路線の認定に関する議案 第72号 令和4年度高知県一般会計補正予算 報第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第2号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第3号 令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告第2 一般質問   (3人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(森田英二君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(森田英二君) 直ちに日程に入ります。 日程第1、第1号「令和4年度高知県一般会計予算」から第72号「令和4年度高知県一般会計補正予算」まで及び報第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」から報第3号「令和3年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」まで、以上75件を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 26番大石宗君。   (26番大石宗君登壇) ◆26番(大石宗君) おはようございます。 一燈立志の会の大石宗でございます。私たちの会派は、今議会から、先日の補欠選挙で当選されました依光美代子議員をお迎えし、3名で新たなスタートを切りました。会派で設立当初から掲げている地域主権、現場主義を胸に変わらず精励してまいりますので、森田議長はじめ同僚議員の皆様、濱田知事はじめ執行部以下県庁の皆様、引き続き何とぞよろしくお願いいたします。それでは、今定例会に提出されました議案並びに県政課題につきまして、会派を代表し、順次質問に入らせていただきます。 まずは、ロシアのウクライナ侵攻についてであります。昨日、高知県議会は、世界を一変させたこの事案に対し、力による現状変更を断じて認めず、侵略を最も強い言葉で非難し、平和的解決を図るよう尽力することを政府にも求める非難決議を全会一致で可決いたしました。 私は、さきの大戦における戦没者の皆様の慰霊事業や遺骨収容などに、大変微力ではありますけれども、関わってきました。戦禍の悲惨さについては、これまで痛いほど感じてきたところであります。今この瞬間も、戦争によって民間人も含む--今朝の報道では2,000人を超えたということもありました--多くの貴い命が失われていくことに耐え難い苦しみと悲しさを抱く毎日でありますが、これは、近年見たことのない大規模なもので、世界の秩序を大きく変える、大変な歴史の節目となるものでもあります。 開戦に至るまで、様々な外交努力もなされた中でのロシアの戦争開始の号砲、そして同じく世界の秩序を変えようとロシアと協調してきた中国が、戦争開始後もロシアに一定の配慮を見せるとともに、各国が経済制裁を強める中、小麦の輸入拡大を発表するなど経済支援とも映る行動を行う姿は、今後の世界情勢、アジア情勢にとって強く困難を予測させるものであります。 そういった中で、我が国日本は、ロシアの行動を強く非難する姿勢を早期に示し、経済制裁や人道支援など、欧米と協調して取り組むこととしております。 我が国随一の外交家であり、戦後の復興を支え、日本の独立を回復した郷土の大先輩吉田茂先生はその著書で、中立は幻想である、この幻想に惑わされて去就を不明にするが如きことがあれば、友を失って孤立し早晩自滅するは必定である、単に友に見捨てられるだけではない、敵からも軽侮されるのが落ちである、すなわち中立は亡国の道以外の何物でもないのであると述べておられますが、まさに今回の事態に当たり、我が国としては、現在行っている政府の姿勢を一貫して支持し、国際社会の中での態度を明確にし続ける必要があります。 一方、これは日本、そして私たち国民にとっても覚悟が必要で、今後この戦争は対岸の火事でなく、自分たち自身が関連して起こる様々なリスクや影響を真剣に受け止め、乗り越えていかなければならないことを示しております。今後は、独立した国家として、自らの身を自ら守ることをより強く意識しつつ、今回の事態で改めてその重要性を痛感することとなった集団安全保障の在り方などに関する議論も深め、決議にあるように国際社会と緊密に連携しながら、平和のための努力を積み重ねていかねばなりません。 そういった中で、地方からも、地方6団体からの声明発表、地方議会での決議をはじめ、東京が都庁をウクライナカラーに電飾する、首長が寄附の窓口紹介を行うなど、様々ウクライナを支援する動きが出てきております。また、大阪府や千葉県では、影響を受ける中小企業等に対する相談窓口を設置するなど、今後起こり得る課題に対処する行動も始まりつつあります。 そういった意味で、まずは、この戦争が今後本県に与え得る影響について知事の御所見をお伺いいたします。 次に、この情勢を受けて、現実的なリスクが高まっているサイバー攻撃についてであります。ロシアのウクライナ侵攻目前の2月23日、経済産業省はサイバー攻撃のリスクが高まっているとして、国内企業に注意喚起、続いて24日には金融庁、そして商工会議所なども同じ趣旨の声明を発表する中、28日にはトヨタが部品工場に受けたサイバー攻撃の影響で全工場停止となりました。今後、日本も、欧米と協調してロシアに対する制裁を強めていくという中で、報復の攻撃リスクが高まっていることは覚悟し、備えなければならない現実の脅威であります。 そのような中で、本県の企業や個人も直面する可能性のあるこのリスクに対し、しっかり注意喚起しつつ対処を行うことが重要だと考えますが、警察本部長にこれまでの取組と今後の方針についてお伺いいたします。 次に、高知県政における知事の理想の姿についてお伺いをさせていただきます。今回提出された令和4年度の当初予算案は、濱田知事が御自身の政治理念なども織り込んで編成され、尾崎県政から引き継ぐ基本方針、5つの基本政策に加えて、3つの横断的政策、そして重点的に取り組むテーマとして、グローバル化、デジタル化、グリーン化を取り上げるなど、昨日の本会議でもありましたが、濱田カラーが出た予算案だと思います。 また、そのボリュームも、平成16年度以降最大規模。一方、将来における財政の不安定さなどにも留意する予算となっていますが、予算が政治家の理想を実現するための手段だとしたときに、この予算案の背景にある理想の高知県像を、知事はどのように考えておられるのか。特に、古くから中山間に多様な集落を持ち、文化でも経済でも栄えてきた高知県、人口の高知市への一極集中も加速化し、急激に地域が変化する中ではありますが、それぞれの地域にどのような役割を期待するのか。そして、知事の描く高知県のあるべき姿とは何か。個々の政策の推進の先にある県の理想像、ビジョンについてまずお伺いいたします。 次に、知事の政策判断における前提となる情報収集についてであります。コロナ禍という未曽有の大災害の中において、濱田知事のリーダーとしての対応を見たときに、冷静に、主観を排し、合理的に物事を落ち着いて判断される姿勢には大きな敬意を感じるところですし、県民、そして県議会の一人として、深い信頼を寄せるところでもあります。 一方で、コロナは有事でもあるという考え方からすれば、情報収集のチャンネルを、政治家が多様に持つ努力をすることも、現場の状況把握という意味でも、民意を見極めるという上でも、そして政治家として様々な発信をされるという上でも重要ではないかと考えます。 そういった中で、私は知事の記者会見など多く傍聴させていただいていますが、大変恐縮ですが、その中で知事の、何々何々というふうに聞いていますという発言を多く耳にしてきたところであります。これはつまり、自身が直接聞いた情報をそのまま出すというよりは、信頼する筋、恐らく県庁を中心とした情報網から、客観性、公平性など担保された中で上がってくる情報をリーダーとして判断される姿勢を守っているように感じるところであります。 その姿勢については非常に重要だと思いますが、加えて古今東西、為政者の姿勢としては、現場に寄り添うという面も忘れてはならない一面があるようにも思います。 古くは、我が国政治の理想とされた為政者の在り方を示す歌に、次のようなものがあります。「高き屋に 登りて見れば 煙立つ 民のかまどは にぎわいにけり」、これは平安時代の歴史物語である水鏡で、古来の聖人君子として模範とされた仁徳天皇が詠んだと言われている歌であります。 この歌は、高いところから国中の様子を直接見渡した仁徳天皇が、家々から煙が立ち上っていないことから国民の経済が窮乏していると察し、租税免除を行い、その後経済が回復し煙が立った様子を見て安心する様子を歌ったとされるものですが、自ら現場の様子を実際に見て判断する、言い換えれば、情報を自ら取りに行くリーダーの意識の重要性を表した歌でもあります。 また、少し話が飛躍するかもしれませんが、建国以来最大の犠牲を払ったさきの大戦において、旧日本軍の失敗事例としてよく取り上げられるガダルカナルの攻防戦では、情報の取扱いに関して課題があったと言われています。陸軍参謀として、当時ガダルカナル島からの撤退作戦を担当した井本熊男氏は戦後になって、「攻撃するごとに壊滅状態に陥ったガ島の実情は、かつて日本陸軍が経験したことのない惨憺たる状況であった。6千キロの海洋を隔てた東京の机上では、とうてい想像のできない状景であったのである。若干の幕僚が現地に進出して、実情を報告しても、首脳者はその真相を把握することはできなかったようである。用兵の高級責任者自ら現地に、少なくもラバウルまでは進出して第一線の実情を把握する必要があったと思う。」と書き残しておられます。 これまでのコロナ禍という有事の中で、リーダーとして知事は様々な重い判断をされ、その多くが的確なものであったことには大いに敬意を表し、感謝をするところでありますが、冒頭申し上げましたような国際安全保障環境並びに国際経済の悪化など、さらに今後厳しい状況も予測をされる中で、リーダーとして、重い判断を度々求められることは避けられないとも感じます。 このような中、知事は政治家としての情報収集のパイプづくりやその在り方について、どのようなお考えをお持ちか、お伺いいたします。 次に、まん延防止等重点措置解除後の県の対応についてであります。火曜日の記者会見で、知事より、措置の延長申請はしないとの方針が明らかにされました。感染状況が落ち着きかけているという傾向、そして医療機関への負担が減少しつつあることは、県民の努力もあり、うれしいことであります。 一方、7日以降も会食における人数制限は継続との方針でありますが、この春は卒業式、入学式、歓送迎会など、本来は多くの行事が予定されている時期でもあります。県民にとっても、事業者にとっても、大切な時期でありますが、協力金が実質上厳しい経営を補完するものになっている現状からすれば、これがなくなる中での今後の関連事業者の事業継続についても懸念するところであります。 そういった中で、知事は、昨日の西内健議員に対する答弁でも、今回のオミクロン株による感染は、飲食由来のものは少ないとの認識を明らかにされました。そうであれば、まん延防止の期間終了後の会食を、過度の自粛を避け、どのように安全に行ってもらうかということも大変重要な観点であります。現在、県は、無料抗原検査などを懇親会の参加者全員が受けて届出した認証店で開催すれば、人数制限はしないとの方針も出されておりますが、県民の理解はいまだ不十分とも感じます。 そこで、これまでの店舗の登録実績や今後の周知、そして人数制限はどの程度の時期まで今後続けるおつもりなのか、知事にお伺いをいたします。 次に、財政についてお伺いをさせていただきます。 令和4年度の予算編成は、額においては平成16年度以降最大、一人頭にすると約70万円、人口80万人の平成初期であれば5,600億円規模の予算案ということで、大変な大型予算ではありますが、交付税の減少などの要因もあり、財源不足額は前年度の約2倍となるなど、厳しい状況もかいま見えるものとなりました。 思い返せば、私が県議会に初当選させていただいた平成19年は、三位一体の改革により交付税が減少、地方自治体が厳しい財政運営を余儀なくされた時代の直後で、財政再建が必要だという危機感が醸成されていた時期でありました。 しかし、その後、その年夏の参議院議員選挙の結果、生活者第一をうたった民主党が、厳しい状況の続く地方区での勝利を重ね参議院で過半数を獲得、地方の声を反映する方針に転換した政府は、財政再建路線から積極財政に転換。その後、リーマンショックなどもあり、政府は景気対策などで財政出動をさらに強化。民主党に政権交代した初年度も過去最高の92兆円の予算、さらに東日本大震災の復興予算、安倍政権は総理自身の政治理念、政治信念もあり、確信的に財政出動を強化する中でのコロナ、この間、財政規律という面では緩みっ放しとも言える状況が続いております。現在の国債や借入金、政府短期証券の残高を合計した、いわゆる国の借金は、2021年末時点で1,218兆4,330億円、前年末に比べてコロナ対応もあり5兆9,650億円増加しております。 岸田総理は、先般行われた衆議院予算委員会で、国と地方の基礎的財政収支を令和7年度に黒字化させる目標について、財政は国の信頼の礎だと述べ、維持する考えを明らかにし、財政の立て直しについて意欲を示されているところでありますが、現在の戦争による経済の影響やコロナ感染症などの状況を考えると、今後の財政運営については、国、地方、共に厳しい状況も想定しておかなければならないと考えます。 そういった中、今後国の財政状況がさらに悪化した場合、依存財源の割合が高く、その影響を大きく受ける本県は、歳入歳出共に改革を図る必要がありますが、まず歳出抑制を図るという観点ではどのような取組が想定されるのか、知事の考え方をお伺いいたします。 次に、本県の将来の歳出に大きな影響を与える公共施設等の更新費用についてであります。県の定めた公共施設等総合管理計画では、県有建築物やインフラ施設、道路や橋などの施設などについて、将来の更新費用の推計も行っていますが、この中では今後30年間の平均費用は年間166億円と、これまで以上の負担が予測されることとなっており、県の財政にとって大変大きな課題となっております。 そこで、今後の人口減少下での財政運営を考えたとき、平均166億円というこの負担額を圧縮していく必要もあると考えますが、今後具体的な目標などを設定するなど対策を強化していくつもりはないか、総務部長のお考えをお伺いいたします。 次に、歳入の確保を図る中で、地方自治体の経営の使命とも言えるのが自主財源の確保であります。昭和の名経営者であり、社会問題にも鋭い指摘を行い続けた松下幸之助氏はその著書「指導者の条件」の中で、福沢諭吉「学問のすゝめ」の中の、独立の気力なき者は国を思うこと深切ならずという一節を引いて、何事をなすに当たっても自主独立の心を持たず、ほかを当てにし、ほかに依存していたのでは真の成功はおぼつかない、指導者は自他ともの独立心の涵養を心がけなければならないと記しております。 現在の地方財政を考えたとき、もちろん国の財源をしっかり確保することが最重要であることは現実ではありますが、一方、国の動向によらず、自治体自身の経営体質を強化する気概を忘れないこと、そして多くの関係者、県でいえば県民とこの思いを共有するということは非常に重要な観点だと考えます。 そういった意味で、自主財源を増やす努力は必要不可欠であります。その中で、取組の王道は、やはり税収を増やすということだと思いますし、そういった意味で、尾崎県政では産業振興計画をスタートさせたと理解をしています。 加えて、一つ一つは小さな取組かもしれませんが、例えば、桑名県議が平成30年9月の本会議で質問し、令和2年に条例改正を経て実現、現在取り組んでいる春野球場のフェンスの企業広告や、近年多くの事例もあるクラウドファンディング、これからの期待もある企業版ふるさと納税、ネーミングライツなど、まだまだ難しい課題もありますが、こうした税外収入を増やそうという努力も、金銭的なメリットがあると同時に、官民連携を深める効果、そして財源確保に創意工夫を図っていこうという機運を醸成するという点でも重要だと考えます。 知事は、この自主財源の確保に当たり、どのような点に留意され、今後の取組を進めようとされているのか、御所見をお伺いいたします。 次に、本県の将来にとって最重要な政策である経済・産業振興政策についてであります。 日本における経済最大の課題は、成長率の鈍化であります。バブル崩壊以降の約30年もの間、大規模な景気・経済対策を国が行ってきたものの、成長率、そして潜在成長率は低迷している事実は、これまでの投資が思いのほか効果が出ていないと言わざるを得ません。一方、我が国の財政状況などを考えると成長率を高めていくことは、今後も非常に重要であることは論をまたないところでありますし、その成長のエンジンに我が地方がなるという気概を持つことが必要不可欠だと考えます。 経済学の世界では、一般的に経済成長率を高めるには2つの要素があると言われております。1つは、働く世代の人口。もう一つは、イノベーション、技術革新であります。そういった中で、我が高知県も人口問題に直面し、最新の統計では、人口は推計で68万1,241人となり、この10年でも約6万人の減少となりました。現在、移住政策などの拡大などで必死の取組を進めている中ではありますが、令和5年度の目標である人口社会増減の均衡を目指すに当たり重要なことは、転入増を図ることと同時に、転出減、人口流出をどう抑制するかというのも重要な観点であります。 これまでも、この人口流出の問題については議会でも議論があり、昨年の本会議では知事より、15歳から24歳までの若年層が進学や就職などで転出する例が多く、また一旦転出したら戻ってくる確率が低いことが社会減の大きな要因で、さらに全国的な人手不足の中で大都市が地方に人材を求める圧力が強まっていること、そして本県は若者が希望する仕事の種類が限られていることなどが課題であるとの答弁があったところです。 そこで、県は、この人口流出問題に対して分析し、明らかになった課題に対してどのような対策を行い、令和5年度の目標達成につなげようとするのか、目標達成への意気込みも含めて知事にお伺いをいたします。 また、企業を訪問するとよく聞くのが、人手不足の声であります。この1年、本会議でも田中議員や依光議員からも人手不足解消の議論もあり、労働局等との連携を進めるなどの御答弁もあったところですが、令和4年度に向けて現在の県内企業の人手不足の状況がどのようになっているのか、あわせて人材確保に取り組む企業にどのような支援を行っていくのか、商工労働部長にお伺いをいたします。 次に、人口の社会増と地域の人手不足対策を同時に解消する役割を果たす特定地域づくり事業についてであります。一昨年施行された地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律では、指定された協同組合が労働者派遣を実施することが可能となりました。この件においては、県議会からも多くの議員から期待する声が上がり、県としても支援する方針が示されているところです。 そのような中、本県では、昨年10月に県内初の取組として、東洋町で組合が誕生、現在移住者を中心に派遣職員として、まず組合に雇用、その後地域産業を担う組合員の事業所に派遣することで、繁忙期における人手不足の解消を図るとともに、町の移住促進、定住化の取組とも連携しながら、地域産業活性化と過疎対策に貢献する取組をスタートさせているところであります。 この事業の一つのポイントは、年間を通じた仕事の確保と調整ですが、東洋町では、基幹産業であるポンカンの収穫時期には派遣社員全員に収穫作業に従事してもらい、その他は、時期時期の需要や本人の希望に合わせて派遣先を計画するなど工夫を重ねながら、新たな挑戦を行おうとしているところであります。人口減少対策と地域活性化という地方の最も重要な課題解決を同時に図ることのできるこの仕組みは、今後東洋町の事例も参考にしながら、県内の同じような課題を持つ地域でも取り組めるのではと期待もするところであります。 現実には、先ほど申し上げましたような、年間を通じた仕事の確保と調整がうまくいかなければ、たちまち組合の収入は減り、経営を圧迫することが予想されるなど、難しい課題も抱えた船出でもあります。 その中で、一昨年9月の本会議では県の支援について、財政支援を求めた上田周五議員の質問に対し、まず先行して取り組む市町村にアドバイザーの派遣を行うことや、設立後の地域づくり人材の確保に注力することで支援するとの部長の答弁があったところでありますが、先ほど申し上げましたように、組合の収入確保などの課題もある中で、今後挑戦を続けていく上では、さらに様々な困難に直面することもあるように思います。 そういった意味では、せっかく立ち上がった県内初の取組を、県は課題等を共有しつつ市町村とともに目を離さず伴走し、状況に応じて支援の検討を続けていくことも重要だと考えます。 そこで、新たに始まったこの事業の推進に当たり、認定された組合をどのようにサポートしていくのか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 次に、成長を促すもう一つのポイント、技術革新についてであります。経済を成長させる絶え間ない技術革新の努力は、あらゆる国、あらゆる業種で行われていますが、その一つの大きな柱が、情報技術の革新であります。海外に目を向けると、DX先進国と言われる北欧の国々が高い成長を果たしていますが、そういった中で、我が国の情報技術の革新が非常に重要であることは論をまちません。 この情報技術の革新と地方の課題解決をつなげて、新たな地方の姿を描こうとする岸田内閣の重点政策が、いわゆるデジタル田園都市国家構想であります。構想では、デジタルの力を全面的に活用し、地域の個性と豊かさを生かしつつ、都市部に負けない生産性、利便性も兼ね備え、心豊かな暮らしと持続可能な環境、社会、経済の実現を目指すとし、政府は総額5.7兆円の予算を確保、取り組む自治体の数を2024年度末までに1,000団体に展開するとしております。 今後、国は地方において、具体的にはデジタルインフラの整備促進と地方の課題を解決するためのデジタル実装を、2つの大きな柱として構想を展開していくと思われますが、そもそも課題解決先進県として、これまでも農林水産業、地域医療、地域交通、教育など、デジタルを活用した新たな取組に挑戦してきた我が高知県こそ、構想を最大限に活用できる土壌があると確信しています。 そこで、この構想の本県における可能性をどう捉え、今後の地域の成長に生かしていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、人口減少による経済の縮小に、外貨獲得という意味で対応するため、今後ますます重要となる地産外商や観光振興のためのネットワークについてであります。知事は今回の提案説明の中で、令和4年度において地産外商や観光振興による経済の振興に重点的に取り組むポイントとして、1つに公約でもある関西戦略、そしてもう一つにグローバル化、海外での取組強化を示されております。 そういった中で、あらゆる人脈を総動員するということですが、関西戦略についても、海外展開にしても、そもそも県内に存在する既存のネットワークをいま一度総点検し、活用を図ることも重要だと考えます。 県の姉妹都市、友好都市、友好地域をはじめ、市町村の持っているつながり、さらには、例えば民間の団体や日本人会、交流協会などなど、高知県と関西、海外をつなぐあらゆるネットワークについて今後の経済活動に資するため、県、市町村、民間、それぞれの状況をまず把握し、情報収集を行い、その後活用するという取組についてどうお考えか、産業振興推進部長の御所見をお伺いいたします。 次に、本県の貴重な財産であるアユを活用した地域振興についてであります。県は、アユを活用した地域振興を目指し、官民であゆ有効活用計画検討会議を設置、振興計画の策定に取り組んできましたが、このたび、あゆ王国高知振興ビジョンとして取りまとめられ、あゆ王国高知の復活に向けた新たな取組を始めることとなりました。 本県は、昭和50年代の最盛期には2,000トンを超えるアユの漁獲があり、その質の高さと併せて全国有数のあゆ王国として知られていましたが、現在は漁獲量100トン程度、最盛期の数%まで減少、資源回復に課題を抱えていると同時に、組合員や遊漁者の減少による内水面漁協の運営の厳しさも増すなど、往年の姿を失いつつあります。一方、文化的、伝統的に県民のなじみが深いことや、全国の釣り人からの評価も高いことなど、いまだ大きな可能性も秘めているところであります。 今回、そうした中で、高知県の持つアユの可能性を生かしつつ課題を乗り越えるべく、新たなビジョンが策定されたことには大いに期待するところであります。第3回の会議の議事録では、委員長よりビジョンの名称に込めた思いについて、「あゆ王国振興ビジョンとなっているが、実際には復興ビジョンのように考えており、あゆ王国だった高知県をもう一度本当のあゆ王国に戻したいというメッセージを県民に伝えたい。かつての高知の川に戻したいというのは、それこそ県民全員のビジョンだと思うので、そういう思いを込めて名称をつけたい」と述べられております。ここにある、よき自然に恵まれた高知の姿を取り戻したい、まさにこれは県民皆の願いだと、大いに共感するところであります。 具体的には、来年度予算でビジョンに掲載した釣り振興、流通拡大、教育への活用などの各種取組を実現するための推進組織としての協議会の設立や情報発信をはじめ、段階的に振興を図っていくこととなっております。 そこで、本県の重要な資源であるアユに初めて光を当てたビジョンがつくられたこと、そしてこのビジョンにおける振興策にどのような思いを抱かれているのか、濱田知事にお伺いをいたします。 また、アユの振興に関しては、多くの県民、そして河川の関係者などが参加することが重要だと思います。その際、動ける人材も少ない小規模河川などにもどう光を当てるかというのも重要な課題だと考えますが、水産振興部長に御所見をお伺いいたします。 あわせて、この検討会議の議論の中では、高知県のアユ資源についての危機感も議論され、資源回復・保全策も同時に行わなければならないとの意見が多く出されておりますが、今後の取組について水産振興部長にお伺いいたします。 この項最後に、本県畜産業にとって重要な豚熱対策についてお伺いいたします。豚熱は、平成30年に岐阜県で発生して以来、豚熱ウイルスに感染した野生イノシシを介し、感染が全国に広がりつつあります。この影響は、養豚場での感染による畜産業への被害、そして野生イノシシの豚熱対策での大幅減少による狩猟の不調とジビエの減少など多方面にわたり、発生地域では様々な対策が行われているところであります。 現在、この豚熱は、四国では確認されていませんが、最新の調査では淡路島南部で感染したイノシシが確認されたこともあり、四国上陸、そして本県への感染拡大も時間の問題だと言われております。 そこで、県はこの豚熱対策にどのように取り組まれるつもりか、農業振興部長にお伺いをいたします。 次に、医療・福祉政策についてであります。 まず、医療費の適正化、そして健康寿命の延伸に関するデータの活用についてであります。県民の命と健康を守り、さらには増え続ける医療費を適正化するため、今注目されているのがデータヘルス改革であります。 政府は、平成25年に策定した日本再興戦略において、国民の健康寿命の延伸実現のため、全ての医療保険者に対し、データ分析に基づく健康の保持増進のための事業計画、いわゆるデータヘルス計画の作成に取り組むことを求め、現在保険者は、レセプトなどの電子化された医療情報を分析し、作成したデータヘルス計画を基に、効果的、効率的に保健事業を行うべく取組を進めているところであります。一方、膨大なデータを収集した後の分析、活用の手法などについては、保険者それぞれの責任に負うところも多く、いまだ課題もあるように聞いているところであります。 そのような中、今年度は高知県後期高齢者医療広域連合が、国民健康保険連合会や地元大学などの協力も得て初めてデータ分析を行うなど、新たな取組も進んでいるところです。 今後、ますます重要性を増すデータヘルスのさらなる活用に向け、これまで保険者単位で行ってきたデータヘルス計画の作成について、国民健康保険の分野は市町村ごとに行っていますが、今後の県の課題でもある国保料の統一化に向けて、全体の傾向をより正確に把握するためにも、これまで培った県内の知見を生かして、県全域でのデータ分析を行うことなども視野に検討を進めてはどうかと考えますが、健康政策部長のお考えをお伺いいたします。 また、この取組を通じて得るデータヘルスのノウハウは、いわゆるヘルスケアイノベーションの一環として、県が来年度から取り組むヘルスケアイノベーションプロジェクトにも関係してくる重要なものであると同時に、将来の産業化にもつながる可能性を大いに秘めていることから、地元大学や地元企業などとのさらなる連携や研究の強化も必須だと考えます。 そうした中で、県内の企業や大学が、データヘルスの意欲的な取組を行うことに大いに期待もするところでありますが、この流れの中で将来は、県民全体の医療情報の分析を行うこと、そして保健事業にとって重要な働く世代の情報も必要になってくるのではとも考えるところであります。 そういった意味では、人口の4割をカバーし、若い世代も多く加入する協会けんぽをはじめ、国保以外の保険者との連携も進めていけるような体制づくりに、県が汗をかいていくことも必要ではないかと考えますが、健康政策部長のお考えをお伺いいたします。 次に、本県の医療・介護・福祉サービスのネットワーク化の推進を図るため、患者同意の下、ICTを活用して、医療機関や薬局、介護事業所が保有する患者情報を相互共有する高知あんしんネット並びにはたまるねっとの今後の展開についてであります。これらは、病院や薬局の診療情報やカルテ情報を共有する仕組みで、主な機能については同様である一方、開発者や運営者が違い、はたまるねっとは幡多地域、高知あんしんネットはそれ以外の地域という役割分担ですみ分けていると、議会ではこれまで御説明をいただいてきたところであります。 互いに今年度で、開発期間、加入拡大のための補助事業も終わり、県費を入れずに利用者の利用料で運営を行うこととなっていますが、今後多くの医療機関や県民に利用拡大を図っていくに当たり、それぞれのシステムを、いわゆる二頭立てで走らすのか、それとも統合するのか、それとも連携を深めるのか、今後の展開については、開発にも多額の予算を使ってきたことから、議会でも活発な議論が行われ、昨日もちょうど西内健議員から要請もあったところであります。 今後は、これまでも議会答弁でお答えいただいてきたように、利便性やかかるコスト、そして「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」などその他のシステムとの連携など、多角的視点でその将来の在り方について検討を進める必要がありますが、令和4年度に向けて、この両システムの今後の在り方について、またこの検討を進めるに当たりどのようなタイムスケジュールで考えるのか、健康政策部長に御所見をお伺いいたします。 次に、文化・教育政策についてお伺いいたします。 まず、主権者教育についてであります。知事は提案説明の中で、民法改正で4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられることを受けて、主権者教育のさらなる充実に取り組むとの方針を明らかにされたところであります。冒頭お話しさせていただきましたように、国際情勢も、我が高知県を取り巻く環境も緊迫の度合いを強めている中で、政治を自分事として捉え、自立した地域や国を支える柱となる人材を育てる主権者教育は、我が県の将来、我が国の将来にとっても非常に重要であります。 そのような中、我が高知県の歴史を振り返ったとき、さん然と輝くのが、幕末から明治維新、そして日本初の民主主義運動であった自由民権運動の時代ではなかったでしょうか。特に、明治第二の改革とうたわれた自由民権運動は、国民の意識を変えただけではなく、国会開設、憲法制定、不平等条約の改正など大きな実績も残したところであります。 明治維新は薩長が中心でしたが、自由民権は紛れもなく土佐がトップランナー、土佐が日本を牽引した歴史を踏まえ、我が高知県議会も平成12年9月に、民権家植木枝盛の言葉であり民権運動の象徴的フレーズ「自由は土佐の山間より」を、全国でも類を見ない言葉のシンボル化、県詞策定の請願を全会一致で採択、県や県議会があらゆる場で活用することを定めております。 しかし、近年こうした歴史を学ぶことも薄れ、高知の子供たちの理解が十分深まっているとは言えない状況もあるように思います。一方、今年度行われた県政150周年の記念行事では、パネリストとして出られた県出身若手歴史学者の皆さんの話を伺うと、この歴史に触れたことが研究の道に進むきっかけになったなどとの話も聞き、若い世代の心を動かせるような魅力も大いにあると、再認識したところであります。 そこで、主権者教育の充実に当たり、我が県にとって重要な歴史であり、かつ主権者教育にとって格好のテーマである自由民権運動を活用する考えはないか、またその際、県が設置者ではありませんが、全国随一の研究機関である高知市立自由民権記念館との連携を図ることも視野に入れるべきだと考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。 次に、高知県にとっては半世紀に一度の大事業となる県史の編さんについてであります。昨年の本会議で、今年度から始まるこの事業について、令和3年度は県史編さん室を設置、県内全域を対象とした資料の所在調査を行った上で、令和4年度以降、各分野の専門部会を順次設置するとともに、編さん室の体制の充実も検討する、またその際、意欲と能力を有すとともに若い人材の確保に取り組む、あわせて県内外の大学や歴史系博物館などの研究機関、地域の歴史の調査研究団体、さらには市町村の図書館や文化施設など多くの関係者との連携を進め、事業を支える体制の構築を行うとの御答弁をいただいたところであります。 そういった意味では、専門部会を設置して県史編さんが本格的に始まる令和4年度に向けて、今はその基礎固めができているかどうか、大変に重要な時期だと考えます。昨年御答弁いただいた内容の中で、来年度進める予定の編さん室や事業を支える体制の充実については特に重要だと考えますので、ぜひとも頑張っていただきたいと心よりのエールを送りたいと思います。 そういった中、今年度は高知県史編さん基本方針策定準備検討委員会を設置し、基本方針の策定にも取り組まれたところですが、委員の皆さん、そして事務局の皆さんの御努力で、すばらしいものが出来上がったと大いに評価するところであります。関係者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。 その基本方針の中で、まず重要なのは、目的の第3項にある次の一文であります。本県の歴史資料を悉皆的に調査し、県民共有の財産として後世に伝える。この文言こそ、今回の事業が、本県における悠久の歴史を記録してきた貴重な資料を掘り出し、また後世につながる鍵とすることを使命とする、そして今回作成する県史のみならず、将来の本県の歴史研究にも大いに資する重要なものであるということを表したもので、委員会議事録を読むと委員からも、委員会の見識を示す重要な一文であるとの評価もあったところであります。 そこで、この目的に沿って行われる、県としては恐らく初めての歴史資料の悉皆的調査についての意気込みと現在の課題、今後の展望について文化生活スポーツ部長にお伺いをいたします。 また、この基本方針の方針第5項には、以下の文言があります。県内外に所在する資料を丹念に調査し、撮影した写真など資料データの収集と保存に努める。その際、資料所有者の理解と協力を得ながら、幅広い利活用が可能になるような条件を整える。また、調査等を通じて散逸の可能性が高いと認識した資料については、関係諸機関の協力のもと保存に向けた働きかけを推進し、県民共有の文化資産の保全に努める。 これも、調査の後に直面する課題である資料の保存と活用に関する重要な項目でありますが、ここでは現物保存に関しては、働きかけを推進し保全に努めるとあり、保存に関して県が積極的に取り組むとの表現にはなっておりません。近年の歴史研究では、このデータ保存が主流になっていることは理解しますが、この底流には、高知県が歴史分野において長年抱えている構造的課題、保存体制の貧弱さがあると考えます。 既に収蔵能力の限界が来ている歴史民俗資料館をはじめ県内の博物館の収蔵能力は、他の都道府県の同様な施設と比較しても、厳しい状況にあることは長年議論をしてきたところであります。委員会の議論の中では、この保存の問題についてもかんかんがくがく議論があり、まずは所有者、その後に市町村、そしてどうしても散逸リスクが高まった場合、県が受け入れることはあり得るが、現在の状況を考えれば、積極的に書き込むべきではない、さらに事務局である編さん室では物理的に保存の仕事はできないなどの意見があったところであります。 一方、県内の実情である個人所有の資料の散逸リスクがますます高まっていること、市町村の歴史保存に関する体制も厳しいことなどを考えれば、今回の県史編さんにおいて、せっかく掘り出した資料をどう保存し、将来活用していくかということは非常に重要な問題です。 そこで、高知県の今後の歴史研究にとって非常に重要であり、積年の課題でもある資料保存の体制について、新たな施設整備も含めて、長期的な視点で抜本的に議論していかなければならないと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、基本方針策定の議論の中で、当初方針の第8項にあった、本県の歴史資料や文化遺産の適切な保存と活用を地域の活性化にも繋げていくとの文言は、委員会の議論の中で削除となりました。これは、ほかの項目と重複しているとの理由もありますが、文化財保護法の改正以来、博物館等の研究機関が本来目的である保存だけでなく、活用、観光振興などを通じた地域活性化という領域に踏み込まなければならなくなったことが負担になっているという側面もあるように思います。 編さんだけでも、とてつもない量の業務がある中で、地域活性化にまで守備範囲を広げることへの懸念は理解するところですが、一方で、サステーナブル観光という視点や教育などといった様々な観点で、県の政策が本県の歴史と関わることを考えれば、本県の歴史や県史編さん事業を、地域活性化に生かそうとする姿勢は持たなければならないとも感じます。 そういった意味では、今回の事業を、部局の枠を超えて地域活性化という観点で活用し支援する体制も重要だと考えますが、文化生活スポーツ部長の考えをお伺いいたします。 次に、重要な人権問題である北朝鮮拉致問題についてであります。ウクライナで起こっている戦争が最大の人権侵害であることは、さきにも述べたとおりですが、この北朝鮮による国家主導の日本人拉致という明確な犯罪行為についても、決して許してはならないと考えますし、高知県関係でも4人の特定失踪者がおられることを考えても、この問題を自分事として捉え、国民全体で被害者の帰国に向けた取組の歩みを進めていくことが何より重要であります。 そのような中、今年は小泉首相の電撃訪朝による拉致問題の表面化から20年の節目の年となります。20年経過して、いまだ十分に進展していない拉致問題でありますが、重大な人権侵害であるこの問題を教育現場で取り上げてもらおうと、政府が拉致問題啓発アニメめぐみを作成、高知県でも平成20年、23年に県内公立学校に送付、毎年5月には利用促進についての依頼を教育委員会から行っているとのことであります。 一方、その活用状況を見ると、平成27年の調査では小学校151校中5校、中学校87校中10校、高校65校中11校、令和3年の県立高校に対する調査では49校中9校と、十分とは言えない状況が続いております。世界情勢も緊迫化し、人権問題がさらに重要さを増す中、このアニメを活用した拉致問題を通じての人権教育を強化する必要があるように思いますが、これまでの状況を見ると、毎年の依頼だけでは、活用率の向上を図ることは難しいようにも思います。 これまで取り組んでこられた中で、なかなか活用ができないという状況をどう考え、来年度以降の取組につなげていかれるのか、教育長にお伺いをいたします。 最後に、本県の県土保全、1次産業の振興、文化の保全など、多くの観点から大変重要な財産である一方、人口減少が進み厳しさを増している中で、県を挙げての支える取組が急務である中山間対策についてであります。 来年の中山間対策の予算の中で私が注目しているのが、デジタル技術を活用した中山間地域の課題解決を図る市町村への補助事業であり、中でもドローンを活用した生活支援策についてであります。ドローンの技術は年々発展し、今や人を運べるドローンの実装も検討されるなど、技術の進展には驚くばかりであります。 そういった中で、中山間の課題である生活支援にドローンを活用するため、来年度から実証事業が行われる計画です。この事業に期待すること、そして将来横展開していくことを見据えれば、物流や小売、医療機関など、この取組と関連しそうな県内企業との連携を図ることも重要だと思いますが、そうした事業者との連携の在り方について中山間振興・交通部長のお考えをお伺いいたします。 次に、中山間の積年の課題でもある地域医療の提供のため、来年度医療機関が医療車両を活用してオンライン診療、服薬指導などを行うヘルスケアモビリティ事業についてであります。先般発表された2022年度の診療報酬改定において、オンライン診療の初診料が対面にほぼ近い水準まで引き上げられたことを受けて、今後オンライン診療の普及が進んでいく可能性が指摘をされる中、今回の取組は特に医療提供の困難地域である中山間地域において、新たな医療の在り方を模索する大変重要な事業であると考えます。 まずは、この事業に期待するところについて健康政策部長にお伺いをいたします。 また、この事業を進めていくに当たり、医療車両で地域を巡回するとした場合、患者さんに何らかの拠点に集まってもらうことも検討すべきと考えますが、その際、現在までに県の取り組んできたあったかふれあいセンターや集落活動センターなど、地域拠点との連携も重要な観点であります。 今後、こうした施設との連携を図る考えはあるか、健康政策部長にお伺いをして、私の第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 大石議員の御質問にお答えをいたします。 まず、ロシアのウクライナ侵攻が今後本県に与え得る影響についてお尋ねがございました。 今回の侵攻を受けまして、先月26日にはアメリカやEUが、国際的な決済ネットワークからロシアの一部の銀行を排除する追加制裁に合意をいたしました。こうした欧米の動きに対して、岸田総理は、日本も取組に加わると述べられまして、支持を表明されております。 厳しい経済制裁は、ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの対抗措置として、効果が期待をされるものであります。一方で、今回の措置により、原油や小麦などの世界的な輸出国でありますロシアからの輸出が滞る可能性も高く、世界経済への影響が懸念をされます。 こうした中、我が国においては、ガソリンをはじめといたします身近な製品の価格上昇が昨年後半から続いておりまして、生活や企業活動への負担となっております。本県においても同様の状況が生じているところでございまして、今後ロシアへの経済制裁などを背景に、さらなる値上げが続けば影響はより大きくなりまして、コロナ禍からの経済回復にも支障を来すようになりかねないというふうに考えております。 このため、県といたしましては、まずはウクライナ情勢の県経済への影響をしっかりと注視してまいります。その上で、資源価格の上昇などが県経済に大きな影響を及ぼすようであれば、その影響をできるだけ緩和することができますように、全国知事会などとも連携をいたしまして、国に対して対応を求めてまいりたいと考えております。 次に、令和4年度当初予算案の背景にあります理想の高知県像についてお尋ねがございました。 私は、本県をもっと元気にしたい、若者が誇りを持って定住できるような魅力あふれる県にしたい、そうした強い思いを抱きまして、高知県が目指すべき3つの姿を掲げ、その実現に向けて全力で取り組んでまいりました。この目指すべき3つの姿、すなわち私の理想の高知県像と言ってよろしいかと思いますが、これは第1に、産業振興によりまして新たな雇用を創出していくといった、いきいきと仕事ができる高知であります。第2に、教育の充実、子育て支援、日本一の健康長寿県づくりなどの取組を通じました、いきいきと生活ができる高知。そして、第3に、南海トラフ地震対策、豪雨災害対策、インフラ整備などの推進によります、安全・安心な高知という姿であります。 この理想を実現するためには、県内余すところなく地域の再興を図っていくことが欠かせないと考えております。10年ぶりに実施いたしました集落実態調査におきましても、多くの方々が地域への愛着、誇りを感じ、今後も住み続けたいという意向をお持ちであるということが確認をされました。また、中山間地域で頑張っていただいている多くの皆さん方から、先人から引き継いだ地域を私たちの代で途切れさせてはいけない、むしろもっともっとよくして、そして次の世代にしっかり引き継いでいきたいという強い思いをお聞きいたしております。私自身も大いに共感するところでありまして、思いは同じであります。 地域の魅力、潜在力を最大限発揮し、その活力を高めていく、そして住民の皆さんが満足して暮らしている、そうした地域が県内に数多く生まれ、そして次世代に引き継がれるということを通じて、私の理想とする高知県像に近づいてくるというふうに考えております。 このような思いを持ちまして、令和4年度の当初予算編成を行ったところであります。こうした地域の再興に向けまして、デジタル化、グリーン化、グローバル化といった時代の変化を先取りし、施策を絶えず進化させまして、県民の皆様とともに一歩ずつ着実に前へ進んでまいりたいと考えております。 次に、政治家としての情報収集のパイプづくり、その在り方についてのお尋ねがございました。 今後、地方行政においても急速にデジタル化が進展をし、自治体を取り巻く環境は激変をしていくというふうに思われます。さらに、グローバル化に伴いまして、緊迫する国際情勢とも決して無関係ではなくなり、これまで経験したことのないような課題、見通しのきかない状況への対応も種々迫られるものというふうに想定をされます。こうした新たな課題や複雑化、複合化する状況を切り抜け、そして的確な判断を下していくためにも、私自身が多様な情報チャンネルを持つことは非常に重要だというふうに認識しております。 国会議員の方々や県内の市町村長さん方、あるいは中央省庁勤務時代に培った人脈など、既に持っております情報網はもとよりでありますけれども、知事就任後、様々な機会を通じましてお力添えをいただいた方々がおられます。こうした方々との新しいつながりも含めて、重層的なネットワークを活用しながら、積極的に情報収集に努めてまいります。 また、現場の状況を私自らが把握し、正確な情報を収集することが大切であるということは言うまでもございません。県民座談会などの機会をはじめといたしまして、できる限り、いろいろな場面で県民の皆様から直接様々な御意見をいただきながら、県内各地の実情を自分の肌で直接感じ、また進むべき方向性を見いだしてまいりたいと思います。 そして、県民の皆様にしっかりと寄り添いながら着実に歩みを進めていく、そうした言わば調整型のリーダー像をこれからも目指してまいります。 次に、コロナ対策に関連いたしまして、いわゆる認証店におけます全員検査制度の活用、そして飲食の人数制限などについてのお尋ねがございました。 本県におきましては、オミクロン株によります感染拡大を踏まえまして、1月20日に県独自の対応ステージを、上から2番目に高い特別警戒に引き上げました。このステージの引上げに伴いまして、県民の皆さんには、会食は4人以下のグループとし、時間は2時間以内としていただくよう呼びかけてまいりました。 その際、高知家あんしん会食推進の店の認証店におきましては、国の対処方針に基づきまして、利用者に対する全員の陰性が確認をされた場合には5人以上の会食も可能であるという、いわゆる全員検査の枠組みを設けたところであります。この枠組みを利用する認証店には、県への登録を求めておりまして、2月末時点で421の店舗に登録をいただいており、県のホームページに掲載をさせていただいております。 本県へのまん延防止等重点措置が予定どおり今月6日をもって解除された後も、県内の現在の感染状況を考えますと、当面は今の特別警戒のステージを継続する必要があると考えております。また、この特別警戒の期間中は、引き続き会食の際の人数制限などを呼びかけていくということ、あわせて全員検査の枠組みも継続していくということを現在想定いたしております。 県といたしましても、この全員検査の枠組みがより多くの県民の皆様、事業者の皆様に活用されまして、安心して飲食店を利用いただけるように広報活動を強化してまいりたいと考えております。あわせまして、検査体制もしっかりと整えるといった形で、早期の飲食店の利用回復を支援してまいりたいと考えております。 次に、国の財政状況が悪化した場合の、本県におけます歳出抑制の取組がどうかというお尋ねがございました。 議員からの御紹介もありましたように、いわゆる三位一体改革の影響を受けまして、平成16年度には地方交付税の総額の大幅な削減が行われました。全国の地方自治体で、財政状況が極度に悪化いたしたということがございました。私自身も、当時島根県で勤務をいたしておりまして、この対応のために人件費、公共事業費、そして社会保障の分野に至るまで各種の事業費を、押しなべて聖域なく削減するという対応を余儀なくされたということを鮮明に記憶いたしております。 本県では、翌平成17年度に、県民生活の根幹を支える事業または県の発展のために不可欠な事業以外は、断念または凍結をするという方針で歳出削減に取り組みまして、人件費の抑制などの行政スリム化、県単独の補助金、投資的経費をはじめとする事務事業の抜本的な見直しを行うというような対応が行われたところでございます。 もし仮に、当時のような規模で、再び地方交付税の削減が行われるというようなことがありますと、同様に全国あらゆる自治体が、いや応なくこの種の対応を迫られるということは、想定しておかなければいけないと存じます。 しかしながら、そもそも地方自治体は国の法令などによりまして、一定の行政サービスの実施が義務づけられており、そのための財源を保障するのが地方交付税制度という、制度の立てつけでございます。したがいまして、国の財政事情が厳しいからといって、地方交付税を一方的に削減して、国の財政負担を地方に転嫁するというようなことは、決してあってはならないことだというふうに考えております。 一方で、今後経済の回復を実現した後には、国、地方が足並みをそろえて、財政の健全化に取り組むべき場面も生じようかとは思います。ただ、その場合でも、地方において必要な行政サービスについて合理的な水準が担保できますように、国が責任を持って地方財源を確保すべきだということは、言うまでもないと考えております。そうした場面で必要がございましたら、こうした考え方を、全国知事会をはじめといたしまして、地方自治体関係者が一丸となり、国に対して強く申し入れる必要があると考えておりまして、そうした覚悟は常に持っておきたいというふうに思っております。 次に、県の自主財源の確保に対する留意点あるいは今後の取組についてのお尋ねがございました。 本県のように自主財源が乏しい自治体におきましては、施策の実現に当たりまして、地方交付税などの国からの財源を確保することが重要だというのは、現実でございます。そのために、全国知事会あるいは財政力の弱い自治体等と連携をいたしまして、国に対して、地方交付税の増額などの安定的な財政運営に必要な財源の措置について、積極的に提言をしてまいりましたし、今後もしてまいります。 しかし、議員御指摘のとおり、やはり地方自治の礎は、地方団体自身が徴収する地方税、自主財源ということでありまして、県としても財政基盤を強化し、そのために税源涵養に努めるという必要は、もちろん痛感をいたしております。このため、来年度以降も、産業振興計画などの県勢浮揚に向けた取組を着実に進めますことで、県経済の活性化を促進し、主たる自主財源であります県税収入の増収確保につなげてまいります。 具体的には、関西戦略の展開、あるいはデジタル化、グリーン化、グローバル化の視点から施策を進化させるということによりまして、コロナ禍で打撃を受けた県経済を回復させ、さらなる成長への軌道に乗せていくということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。 また、議員から御指摘ございましたように、幅広く財源の確保策を考えていくということも大変重要だと思います。これまで本県におきましては、御指摘もありましたような県有施設の広告料収入のほか、企業版ふるさと納税、クラウドファンディングなどを実施してまいりました。例えば、クラウドファンディングにおきましては、遍路道の環境整備など、引き続き社会的意義が高く人々の共感を呼び込める事業の選定、あるいは効果的なPRを実施するということなどによりまして、さらなる歳入の確保に取り組んでまいります。 また、本県は、県民みんなで森を守るということを目的に、全国に先駆けて県独自の森林環境税を創設するといった形で、課税自主権を活用した歳入確保も行ってきております。引き続き、この種の努力も行ってまいりたいと考えております。 今後とも、本県にとりまして必要な施策を実施するための自主財源の確保に努めてまいりたいと考えます。 次に、人口流出問題への対応と、令和5年度の人口の社会増減均衡という目標達成への意気込みはどうかというお尋ねがございました。 人口の県外への転出超過を解消し、社会増減の均衡を図るという目標の達成に向けましては、大きく2つの方向性によりまして、取組を強化したいと考えております。1つ目は、若者が魅力を感じる仕事を数多く創出し選択肢を増やしていくということで、県内の雇用の拡大を図ってまいります。まず、地場産業におきましては、1次産業とデジタル技術の融合あるいは県内企業のデジタル化により、生産性、付加価値を高めまして、経営の安定化、雇用環境の向上を目指してまいります。 次に、イノベーションの喚起によります新たな産業の創出にも取り組みます。具体的には、若者の関心が高いアニメ産業でございますとか、御指摘もありましたヘルスケア産業といいました、これまでにない分野の産業を集積させていくということで新たな雇用を創出してまいります。加えて、起業へのチャレンジも、より一層支援をしていきたいというふうに考えます。 大きな2つ目は、コロナ禍を契機といたしました地方暮らしへの関心の高まりによります新しい人の流れにしっかりと対応していくことでございます。多くの都市部の企業におきましては、テレワークなどの勤務形態が浸透してきておりまして、これを契機にふるさとや自然環境のよい場所に転居をするという動きが、今後さらに増加をしていくものと予想されます。こうした動きを県内の各地に呼び込めますように、シェアオフィスの整備などの受入れ体制の充実を図りまして、移住者のさらなる増加につなげてまいりたいと考えております。 こうした取組を通じまして、県外に出ていかなくても希望する職業に就くことができる、また魅力ある仕事があるため多くの若者が戻ってくることができる、そんな魅力のある高知県を目指しまして、引き続き全力で取り組んでまいります。 次に、デジタル田園都市国家構想の本県におけます可能性と、今後の地域の成長にどう生かしていくのかとのお尋ねがございました。 この構想は、政府が掲げます新しい資本主義の実現に向けた成長戦略の最も重要な柱でありまして、地方の豊かさをそのままに、利便性と魅力を備えた新たな地方像を提示するというものであります。本県は、全国に先駆けて人口減少が進む、いわゆる課題先進県でありながら、これまで、食や自然など地方ならではの強みを生かしまして、デジタル技術を活用して産業振興あるいは地域課題の解決に取り組んでまいりました。 このように、本県が目指します将来像は、まさにデジタル田園都市国家構想が示す地方の姿でありまして、構想に基づく施策は、本県においてこそ真価を発揮するというふうに期待をいたしております。構想で示されております施策のうち、デジタル化の前提となってまいりますインフラの整備につきましては、光ファイバーの普及率が、県内でも今年度中に99%を超える見込みとなっております。 今後は、残る未整備地域の解消を図りますとともに、整備したインフラを、生活、産業、行政のあらゆる面におけますデジタル化に活用できるように取り組んでまいります。また、構想の柱のうち、地方の課題解決に向けましては、例えばNext次世代型施設園芸農業、高知マリンイノベーションなど、本県の強みであります1次産業を中心に、デジタル技術の先進的な活用を図ってまいりました。さらに、来年度は、中山間地域の課題解決に向けまして、デジタル技術を活用いたします実証事業に着手し、中山間地域が大部分を占めます本県ならではの取組を行ってまいります。 こうした取組を通じて、いわゆるミニ東京ではない個性あふれる地域というコンセプトを掲げる構想の優良事例といたしまして、全国に発信できるようなモデルを創出し、地域の成長につなげてまいりたいと考えております。 次に、あゆ振興ビジョンがつくられたことと、ビジョンにおけます振興策にどのような思いを抱いているかというお尋ねがございました。 本県は、四万十川や仁淀川をはじめといたしまして、全国に誇れる河川に恵まれ、アユなどの川の幸を育んでまいりました。アユは、古くから中山間地域の方々の生活を支えるだけではなく、多種多様な漁法や食文化を生み出してまいったところであります。私自身も、四万十川のアユになれ親しんで育ったということもありまして、アユに対しては特別な思い出がございます。 こうした中で、昨年度アユに見識の深い方々から、アユを活用した振興策についての御提言をいただいたところでございます。このいただいた御提言も踏まえて、本年度漁業、観光などの関係者によりますあゆ有効活用計画検討会議を設置いたしまして、様々な角度からの議論を重ねていただき、本ビジョンを取りまとめたところであります。 アユには、食はもちろんのこと、釣りや体験観光などといった様々な分野で、有力な素材となる大きな可能性があると考えます。流域の地域地域で、アユを活用した新たな観光あるいは外商の取組を進めていくということで、中山間地域の振興につなげていけるというふうに考えております。 このビジョンの策定を機にいたしまして、本県のアユの価値を県民の皆さんと共有させていただき、関係する方々と連携をしながらビジョンの目指す姿の実現に向けまして、しっかりと取り組んでまいります。 最後に、貴重な歴史民俗資料などの保存の体制につきましてお尋ねがございました。 こうした資料を収集、保存し、調査研究の成果を展示して、広く県内外に紹介していくということは、本県の文化振興に大きく寄与する重要な取組だと考えております。 収集に当たりましては、貴重な資料を厳選して行っておりますけれども、歴史民俗資料館、美術館、文学館におきましては、資料を保存している収蔵庫の9割以上が既に使用されております。特に、歴史民俗資料館は、開館から30年が経過をする中で、館内の収蔵庫では保存し切れない状況となっております。このため、民俗資料の一部を旧大栃高校の校舎などに移動させましたり、施設内の予備室を活用するといった形で、収蔵スペースの確保に努めてまいりました。しかしながら、今後は従来の資料収集に加えまして、県史の編さんの取組の中で、さらに保存すべき資料が増えることが予想されるということは、御指摘ありましたとおりでございます。 県といたしましては、本県の貴重な資料を散逸させることなく次世代に継承していくというために、県立施設の収蔵能力を向上させることは、喫緊かつ重要な課題であると考えております。まずは、来年度歴史民俗資料館の収蔵の在り方などについて検討いたします有識者検討会を立ち上げまして、中長期的な対策を検討するという予定といたしております。 この有識者検討会の協議を経て、今後の資料の収集方針あるいは収蔵能力の向上などにつきまして、来年度内に取りまとめをしてまいりたいと考えておるところでございます。 私からは以上であります。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) 県警察が行っているサイバー攻撃のリスクに対する取組や今後の方針に関してお尋ねがございました。 今回の情勢と直接関係するものではございませんが、一般論として、デジタル化の進展等に伴いサイバー空間の利用が拡大する中、サイバー犯罪、サイバー攻撃は、その手口を深刻化、巧妙化させつつ多数発生しており、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢となっているものと認識しております。 県警察では、重要インフラ事業者等とで構成するサイバーテロ対策協議会を設置し、サイバー攻撃の脅威や情報セキュリティーに関する情報提供、民間の有識者による講演、参加事業者間の情報共有等を行っているほか、サイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練等を行うなどの取組を推進してきたところでございます。 今後も、最近の国内外の情勢を踏まえ、サイバー攻撃等に係る情報収集に努めるとともに、事業者等に対し的確な注意喚起を行うなど、サイバー空間の脅威から県民生活を守る取組を強化してまいります。 また、サイバー攻撃に関する事案発生を認知した場合には、当該事業者等の被害状況を早期に把握するとともに、通信の遮断等の被害拡大防止のための措置を講じた上で、所要の捜査を行うこととしてまいります。   (総務部長徳重覚君登壇) ◎総務部長(徳重覚君) 建築物の更新費用の圧縮に向けた対策の強化についてお尋ねがございました。 本県では、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を主たる目的として、平成29年3月に高知県公共施設等総合管理計画を策定いたしました。今般、国から示された計画改定の指針を受けて、先月、計画の見直しを行ったところです。 主な見直しの内容は、公共施設等の維持管理、更新等に係る経費について、より詳細な試算を行い、計画に反映した点です。お尋ねにございました県有建築物に関しては、見直し前と同様に、築50年で建て替える単純更新をした場合に加え、今回から長寿命化改修を行い、築80年で建て替える場合に要する経費の見込みを試算することといたしました。 その結果、平成29年の計画策定時に見込んでいた、築50年で単純更新した場合の年平均額は約166億円であったのに対し、今回の見直しで、同様に築50年で単純更新をした場合の年平均額は約163億円と微減いたしました。また、今回新たに試算した築50年で長寿命化改修をし、築80年で更新した場合の年平均額は約127億円となり、長寿命化することで年平均の経費は約36億円の削減効果が得られると見込んでおります。 また、公共施設等の管理に関する基本的な方針として、省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用を促進する脱炭素化の実施を加えるとともに、PDCAサイクルを通じて、この計画や個別施設の長寿命化計画の進捗管理を行い、必要に応じて内容を見直すことを明記いたしました。 今後とも、関係部局と連携し、施設の集約化や売却による保有数量の縮小などに積極的に取り組むことで、公共施設等の維持管理・更新費用の圧縮に努めてまいります。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) 県内企業の人手不足の状況と人材確保に取り組む企業への支援についてお尋ねがございました。 まず、人手不足の状況について申し上げますと、本年度県内企業4,400社を対象に実施した労働環境等実態調査において、事業に取り組むに当たっての課題をお伺いしたところ、回答のあった1,335社のうち約6割の企業が人材不足を挙げており、最も高い結果となっております。人材不足と回答した割合が高い業種は、建設業、次いで農林水産業、医療・福祉、運輸業、そして製造業の順となっております。 一方、労働局が公表しております令和3年12月の職種別有効求人倍率を見ますと、建築・土木技術者等や医師・薬剤師等、また介護サービスの職業、保健医療サービス、製品製造・加工処理などの職種で求人数が求職者数を大幅に上回っている状況にあります。 次に、人材確保への支援について申し上げますと、県ではこれまでにも、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などで人材の確保を重要な取組として位置づけ、労働局にも御参加いただく高知県雇用対策本部会議において情報共有を図り、連携して取り組んでまいりました。先月開催しました雇用対策本部会議では、令和4年度においても、人材の育成、確保、定着を大きな柱の一つとして、全庁的に取り組んでいくことを確認したところであります。 引き続き、国や関係部局と連携しまして、働き方改革推進支援センターによる職場環境の整備に向けた支援、デジタル化の支援、改定した建設業活性化プランの推進、福祉・介護事業所認証評価制度の普及促進などを通じまして、人材確保に取り組む企業の支援を行ってまいります。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、特定地域づくり事業の推進についてお尋ねがございました。 議員からお話がございましたように、特定地域づくり事業は、産業や地域活動の担い手を確保し、地域の活性化につなげることを目的としており、担い手不足が深刻化する本県にとって、メリットの大きい制度であります。県ではこれまで、事業協同組合の設立に向け、事業者や市町村などで構成する検討会に参画して、制度の趣旨や国の支援内容を共有するとともに、専門家を派遣するなどの支援を行ってまいりました。 この結果、県内初の事業協同組合が昨年10月に東洋町で設立され、本年1月には馬路村においても新たな事業協同組合が設立されたところです。このうち、東洋町の事業協同組合では、現在本年4月の事業開始に向けて職員の募集を行っており、県としましても、その確保に向けた支援を行っているところです。具体的には、高知県移住促進・人材確保センターが運営する移住のポータルサイト「高知家で暮らす。」において、事業協同組合での業務内容や東洋町の魅力などを詳細に紹介しております。また、昨年12月には、U・Iターン相談会高知暮らしフェア2021において、東洋町とともに事業協同組合のPRを行いました。 事業の開始後におきましても、高知県中小企業団体中央会とも連携しながら、事業協同組合の運営状況を共有しますとともに、課題に応じて、経営や労務管理に精通した専門家を派遣するなど、継続的な事業運営に向けて伴走支援を行ってまいります。 次に、ドローンを活用した生活支援に期待することや県内事業者との連携についてお尋ねがございました。 この事業の目的は、集落実態調査で明らかになりました生活用品や移動手段の確保などの日常生活における課題を、デジタル技術を活用して解決していこうとするものです。事業の実施に際しては、市町村とも連携しながら2年間の実証を通じて、対象となる地域での実装や他の地域への横展開を図っていきたいと考えております。 このうち、ドローンを活用した実証事業では、例えば、荒天時に生活物資の確保に支障が生じる離島や、近隣に生活用品を購入する店舗がない地域、あるいは災害時に救援物資が必要な場面において、ドローンによる物資の運搬によって地域住民の生活を支えることが期待されます。 また、議員からお話がございましたように、実装に向けて、より効果的で実効性のある事業にしていくためには、県内事業者との連携が何よりも重要であると考えております。このため、事業の主体は市町村とするものの、民間事業者や地域団体、県などをメンバーとする協議会を立ち上げ、官民協働で実施することとしております。この中には、技術とノウハウを持つ事業者はもとより、地域でサービスを提供する事業者などにも参画していただき、実用化を見据えた体制の下で進めてまいります。 こうした実証事業を通じて、データやノウハウを蓄積し、コストや担い手を明らかにした上で県内各地に横展開することで、中山間地域に共通する課題の解決につなげてまいります。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 本県と関西や海外をつなぐネットワークの活用についてお尋ねがございました。 関西戦略や海外展開を推進していく上では、県庁のみならず、市町村や民間企業の皆様がお持ちの様々なネットワークを活用した、多様なアプローチを行うことが有効だと考えます。 そのため、まず関西戦略においては、アドバイザーのネットワークを活用し、関西と本県を結ぶ新たな観光ルートづくりや関西圏における情報発信などを進めますとともに、インド総領事を御紹介いただき、今後の経済交流についての検討が始まっております。また、先月立ち上げた関西圏外商強化対策協議会に御参画いただいている県内の事業者の皆様がお持ちのネットワークも、最大限活用させていただきたいというふうに考えております。さらに、県内市町村に対しまして、関西における人脈などについて照会をさせていただき、ネットワークの共有化を図りました。次に、輸出振興においては、パートナーとなる国内外の商社とのネットワークが大変重要となりますことから、既に取引のある商社や海外の県人会などのつながりを生かして、新たなネットワークの構築に努めているところでございます。 これまでは、コロナ禍による行動制限により、せっかく共有させていただいたネットワークを十分に活用できておりませんが、今後は機を捉え、市町村や県内事業者の皆様とともに、ネットワークを生かした外商活動などに取り組みますとともに、さらなるネットワークの拡大を目指してまいりたいと考えております。また、輸出に関しましても、関係者の皆様と連携し、各種ネットワークの強化、拡大に努め、本県産業の振興につなげてまいります。   (水産振興部長松村晃充君登壇) ◎水産振興部長(松村晃充君) まず、アユの振興に関して、小規模河川などにどう光を当てるのかについてお尋ねがございました。 あゆ王国高知振興ビジョンは、本県のアユの価値を県民全体で再認識し、アユを活用した観光、地域、産業、文化振興の将来像を共有するとともに、有効かつ持続的にアユを活用するための共通の指針を示すことを目的に取りまとめたものでございます。 その実現に向けて具体的な取組を進めていくためには、ビジョンの方向性に共感をしていただき、取組に対して意欲のある実施主体の確保が重要となります。このため、漁協や流通、観光関係者などに働きかけを行い、それぞれの取組を進める新たな実施主体の掘り起こしに取り組んでまいります。あわせまして、それぞれの河川の強みを生かした新たなアユ商品の開発や体験メニューづくり、さらには複数の河川が連携した流通・販売の取組などへの支援も行ってまいります。 来年度は、ビジョンに掲げた取組の進捗管理や助言を行う協議会を新たに設置し、実施主体の掘り起こしや具体的な取組を支援していくこととしております。小規模河川の関係の方々も含めまして、より多くの方々に参画いただき、ビジョンの実現に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。 次に、今後のアユの資源の回復、保全策の取組についてお尋ねがございました。 お話にありましたように、アユの漁獲量はピーク時から大きく減少し、近年では100トン前後と低迷をしております。この原因は、河川環境の変化による産卵に適した箇所の減少、頻発する豪雨による濁水の発生、外来魚やカワウによる食害に加えまして、アユがふ化した後、一定期間を過ごします海の環境変化による河川への遡上量の減少などによるものと考えられます。このように、複合的な要因によってアユの資源状態は悪化しておりますことから、それぞれの要因への対策を進めていく必要があります。 このため、県では、漁協が行う産卵場の造成、外来魚やカワウの駆除に対しまして支援を行っております。また、資源を保全するために漁協や市町村が放流するアユの人工種苗の生産、供給を行うとともに、漁協と連携して天然アユの資源状況の把握や、効果的な放流方法などについての調査研究にも取り組んでいるところでございます。さらに、一部の河川では、漁協、行政、流域の関係する団体などが連携し、山、川、海の関係者が一体となって流域の環境改善にも取り組んでおります。 今後も、こうした取組を粘り強く進めるとともに、ビジョンをきっかけとして県民の皆様にも現状を認識していただき、さらに多くの関係者の参加を得ながら資源の回復、保全に取り組んでまいります。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) 豚熱対策についてお尋ねがございました。 感染力が強く、致死率の高い豚熱は、平成30年9月の岐阜県での発生以降、これまでに16県の養豚場で76事例が確認され、約28万頭の豚が殺処分されるなど、甚大な被害が発生しております。このため本県では、これまで養豚場に対し、消毒などの衛生管理の指導の徹底、防護柵や消毒設備への支援など、発生予防を中心とした豚熱対策を強化してまいりました。 そうした中、議員のお話にありましたように、兵庫県淡路市で野生イノシシの感染が昨年7月に確認され、四国への侵入リスクが高まったことから、国は8月に四国4県をワクチン接種推奨地域に指定しました。このことを受け、本県でも10月から約2万6,000頭の飼育豚を対象に、ワクチン接種を開始したところでございます。 一方、感染拡大の要因となっております野生イノシシの対策も非常に重要でありますことから、豚熱の感染状況を把握するため、昨年7月から捕獲した野生イノシシの検査を開始し、これまでに43頭実施してきております。来年度は、一般社団法人高知県猟友会のさらなる御協力をいただきながら、検査件数を年間300頭に増やすとともに、新たな取組として、野生イノシシに対するワクチンの散布に向けた体制づくりを進めてまいります。 今後も引き続き、本県で豚熱が発生しないよう、養豚場や関係機関と一体となって、豚熱対策にしっかり取り組んでまいります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、データヘルス計画を活用した県全域のデータ分析についてお尋ねがございました。 議員のお話にもありましたとおり、市町村国民健康保険のデータヘルス計画は、市町村ごとに策定され、取組が進められています。しかしながら、小規模な市町村では、利活用のノウハウが十分でないことや、対象となる国保人口が少ないことから、データの信頼性が低いなどの課題があるところです。 一方、国保料の水準統一に向けた議論を進める中では、保険料負担の平準化だけではなく、負担を少しでも軽減していくための医療費適正化の取組も、同時に協議していく必要があると考えております。 このため、県全域でのデータ分析に基づき、県と市町村が共通の目標を持ち、市町村のデータヘルス計画と密接に連携して、保健事業を推進していくための県版のデータヘルス計画の策定を検討しております。 こうした県全域の健康づくりに向けた効果的な保健事業を実施することにより、国保における医療費の適正化を進め、保険料負担の軽減にもつなげてまいりたいと考えております。 次に、協会けんぽなど、国保以外の保険者との連携についてお尋ねがございました。 国保以外の保険者との連携の仕組みとしては、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく高知県保険者協議会がございます。この協議会は、県、市町村国保、協会けんぽ、健康保険、後期高齢者医療広域連合、共済組合をはじめとする県内の主な保険者、国民健康保険団体連合会、県医師会で構成されております。協議会では、定期的に医療費適正化に関する取組の情報共有を行うとともに、各保険者における特定健診や特定保健指導への取組について情報交換や共同事業を行っております。 そのような中、県としては、各保険者が持つデータやその分析結果が共有されていないことが課題と考えましたことから、その解消に向けて、各保険者から健診結果データやレセプトデータの提供を受けて、県内の医療費に関する調査分析を実施し、その結果を共有するような仕組みを協議会で検討しているところでございます。 引き続き、国保以外の保険者の方や関係団体との連携をより一層進め、県全体の健康課題の解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、高知あんしんネットとはたまるねっとの今後の在り方と検討スケジュールについてお尋ねがございました。 高知あんしんネットは、地域医療介護総合確保基金を活用して、県内の主な病院や医師会などで構成する高知県保健医療介護福祉推進協議会が実施主体となり、令和元年10月から幡多圏域を除く地域で運営を行っております。一方、はたまるねっとは、幡多医師会が主体となって、平成29年度に総務省のクラウド型EHR高度化事業を活用してシステム構築を行い、幡多圏域内での運用を開始しております。 いずれも病院や薬局などの間で、患者の診療情報を共有するシステムです。これまで統合や機能の統一化について様々な御意見があることは承知しておりますが、両システムはその設立時の経緯から、運営主体はもちろんのこと、情報セキュリティーポリシーの考え方や「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」との連携など、様々な相違点がございます。 そうした中で、県としましては、これまで加入医療機関などの接続にかかる初期費用について、それぞれ支援してまいりましたが、今後は両システムの利用者目線に立って、両システムの今後の改修の方向性を整理した上で、支援の在り方についても検討する必要があるものと考えております。 今後、難しい課題はあるものの、両システムの運営主体とシステムの一本化も含めて、機能や運用方法などについての協議を来年度の早い段階で開始し、令和4年度中に一定の方向性で合意できるよう、精力的に協議を進めてまいります。 最後に、来年度予定しているヘルスケアモビリティ事業への期待と、あったかふれあいセンターなどとの連携についてお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えいたします。 ヘルスケアモビリティは、オンライン診療に必要な通信機器や医療機器を搭載し、サポート役の看護師などが地域を巡回しながら、車内の患者を医師が遠隔で診療を行うことを想定しております。これによって、移動手段の確保が難しい中山間地域の高齢者は、通院の必要がなく受診が容易になりますし、医師にとっては訪問診療に要する移動時間が削減できるなど、今後の働き方改革にも寄与するものと期待いたしております。 また、良好な通信環境の確保や、より効率的な診療を考慮した場合には、議員からお話のありましたあったかふれあいセンターや集落活動センターといった地域の拠点となっている施設を活用することが、より効果的だと考えております。一方で、複数の患者さんを1か所に集めて定期的に診療する場合、オンライン診療であっても対面診療と同様に、無医地区巡回診療を除いて、原則として診療所の開設手続が必要とされています。そのため、地域の実情に合わせて、特例的に診療所の開設をせずにオンライン診療が可能となるよう、国へ提言してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、中山間地域が多く、高齢化が進んでいる本県の課題解決に向けた重要な取組であると考えておりますので、市町村や医療機関と協力して積極的に進めてまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) まず、主権者教育の充実に当たっての自由民権運動の活用及び高知市立自由民権記念館との連携の可能性についてお尋ねがございました。 選挙権年齢や成年年齢の引下げに伴い、大部分の高校生は卒業までに主権者となって、自らの判断でその大事な権利を行使することとなります。そのため、社会参画意識の涵養や、よりよい社会の実現に向けて課題を多面的、多角的に考察し、主体的に解決しようとする態度などを育む主権者教育は大変重要であり、早期からの取組が必要だと考えております。 このため、高等学校では、来年度の入学生から全ての生徒が履修する科目歴史総合で、日本の実情に合わせた立憲体制が、自由民権運動による政治参加の拡大などを背景に形成されたことを扱うこととなっております。 さらに、本県の中学・高校生に配布しております県教育委員会作成の副読本「中高生が学ぶ ふるさと高知の歴史」では、植木枝盛の文章に由来する「自由は土佐の山間より」が、平成12年に高知県議会において県詞として決定されたことや、自由民権運動の始まりや広がりなどについて紹介しております。 今後も、この副読本などを活用し、本県の先人たちが牽引した自由民権運動が、大日本帝国憲法や日本国憲法の成立にも関係しているといった歴史的な観点にも触れながら、主権者としての意識の醸成を図ってまいります。 また、新学習指導要領においては、課題を主体的に解決する力を育む探究的な学習の実施に加え、科目の内容に関係する専門家や関係諸機関との連携・協働を図り、社会との関わりを意識した指導の工夫も求められております。 高知市立自由民権記念館との連携につきましては、館内の展示の解説をはじめ、県内の高校生を対象とした出前授業についても御対応くださると伺っておりますので、今後実施内容について学校へ周知を図ってまいります。あわせて、県立の歴史民俗資料館や高知城歴史博物館など、県内の他の施設との連携も進めてまいります。 次に、拉致問題啓発アニメの学校での活用と今後の取組についてお尋ねがございました。 拉致問題は、国家を挙げて解決に取り組むべき重大な人権課題であります。そのため、学校教育においても、拉致問題に対する理解を深める取組を推進する必要があり、教育の果たす役割は大変重要であると認識をしております。 議員の御指摘のとおり、拉致問題啓発アニメめぐみはこれまで十分に活用されておらず、その要因としましては、高知県人権施策基本方針では、高知県の身近な人権課題の11項目を示しておりますがその11項目には拉致問題が含まれておらず、その他の人権課題としての位置づけであること。そして、学校としては、障害者、高齢者、外国人といった児童生徒にとって身近な人権課題ではなく、拉致問題は自分事として受け止めにくい課題であると考えられていること。そして、学校における人権学習は、教科書や授業する時間など定められたものがなく、学習内容や教材は各学校の裁量に委ねられていることなどが考えられます。 県教育委員会では、このような現状を踏まえ、昨年度末に高等学校の公民科において、拉致問題を学習するための指導事例を作成したところです。この指導事例を掲載した人権教育指導資料は、公立学校の全ての教職員に配布して、その活用を進めているところです。 また、令和4年度人権教育主任連絡協議会などを通じて、公立学校の教職員が拉致問題に関する人権学習の必要性を理解し、アニメめぐみを教材として活用できるよう、再度アニメめぐみの紹介や活用事例などを示してまいります。さらに、拉致問題に関する意識の向上と人権学習を推進するため、今年8月に開催します私立学校も含めた県内全ての教職員を対象とした人権教育セミナーにおきまして、北朝鮮拉致被害者の方を講師としてお招きし、研修を行う予定としております。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) まず、県史編さん事業における歴史資料の悉皆的な調査についてお尋ねがございました。 これまで、本県におきましては、前回の県史編さん事業を含め、歴史資料の全県的な悉皆調査は行われておりません。他方、南海トラフ地震などの大規模災害や世代交代などによる歴史資料の散逸が懸念される中、新たな県史の編さんに当たりましては、本県の歴史資料がどこに、どのように残されているのかを悉皆的に調査し、県民共有の財産として後世に伝えることとしております。 来年度は、特に資料散逸のおそれが高く、調査が急がれる近世、近代、民俗の3つの専門部会を先行して設置し、これらの分野における資料の調査から着手してまいります。まずは、市町村や関係団体などのほか、古い資料を所有されている方や、資料の所在に関する情報をお持ちの方から、情報をいただくことが極めて重要となってまいります。様々な広報媒体を通じて、県民の皆様に情報提供のお願いをしてまいりたいと考えております。 また、調査を進めるに当たりましては、現地における資料の確認、写真撮影、撮影データの整理、資料の選別、重要な資料の目録作成、古文書の解読などの膨大な作業を、専門部会の部会員や事務局職員だけでは到底担えるものではなく、専門的な知識、技能を有する方々を中心に、多くの人材を確保することが必要となってまいります。当初は県外の大学などの御協力もいただきながら、来年度からは県内の歴史系博物館と連携し、資料調査に対応できる人材の養成講座を開催するなど、できる限り県内での人材確保を目指してまいります。 悉皆的調査には相当な困難が見込まれますが、貴重な歴史資料の未来への継承と充実した県史の編さんのため、県民の皆様の御協力の下、しっかりと取り組んでまいります。 次に、県史編さん事業を、部局の枠を超えて地域活性化の観点で活用し支援する体制についてお尋ねがございました。 新たな県史の編さんに当たりましては、本県の歴史的な変遷を明らかにすることはもとより、県民の暮らしの歩みに着目し、特定の地域に偏ることなく、本県の特徴的な資料を重点的に収録することや、調査した資料データの幅広い利活用が可能となるよう取り組むことなど、特色を生かした地域の活性化にもつながる方針を掲げております。 地域活性化への当面の活用としましては、例えば、調査などを通じて得られる、その時々までの成果をまとめる冊子や、県の文化広報誌とさぶしに掲載する内容を、県内の観光スポットの紹介などに活用していただくといったことが考えられますが、部局の枠を超えた活用について、現時点で明確な計画などを持ち合わせているわけではございません。 当部といたしましては、まずは歴史資料の悉皆的調査など県史編さん事業本来の取組を、しっかりと軌道に乗せることが最も重要であると考えておりますが、今後取組を進めていく中におきまして、これまで知られていなかった事実や資料などが明らかになった際などには、地域の活性化への活用という視点で、関係部局への情報の提供にも努めてまいりたいと考えております。 ◆26番(大石宗君) それぞれ真摯な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 私も県議会に来ましてから、この本会議の質問、常々再質問とか再々質問をしてきましたけれども、今日の議論は非常に納得がいくものでありましたので、再質問はいたしませんけれども、幾つかお願いをさせていただきたいというふうに思います。 まず、会食の件で、いわゆる抗原検査を受ければ人数制限がないと。これは、一つの大きな県の方針ではあります。登録数は非常に多いということも理解をしましたけれども、実際にどういうふうに事業者がそれを活用できているのか、県民が利用しているのかというのは、なかなか今はかれないという実情もあるように聞いています。そういった意味では、今後周知をしていく中で、ぜひとも現場のことを、いま一度意見等も聞きながら、丁寧に周知をいただきたいというふうに思います。 そして、財政のところで、公共施設の管理の問題で166億円を約40億円、長寿命化などによって見直しができたということで、これは非常に大きな第一歩だというふうに思います。しかし一方で、部長も答弁でおっしゃられましたけれども、保有数量の圧縮という非常に難しい課題、これは今も100億円以上負担があると想定されているわけでありますから、今後は踏み込んでいかないといけない、そういう領域であろうと思いますので、ぜひとも引き続き、これは御努力もいただきたいというふうに思います。 そして、デジタルという分野では、いろんな中山間から田園都市国家構想までありましたけれども、肝になるのは、やはり県内の企業の皆さんを巻き込んでいくということであろうかと思います。ただ、もちろん県内の企業だけに限定すると、これは日進月歩の世界ですから、非常に小さなものになってしまうと。このバランスが非常に難しいと思いますけれども、やはり県内の企業を育てていくという意味でも、巻き込むということをぜひ御留意いただきたいということをお願いしておきます。 そして、関西・海外戦略で、海外もコロナで行けませんけれども、高知県もこれまで、昔は海外といえば、港湾振興課がポートセールスをやるというのが一番でありました。今は産業振興推進部が多くやっておられますけれども、これは部局の枠を超えて、しっかりネットワークをつくっていくということだろうと思いますので、太平洋島嶼国・日本地方自治体ネットワークも今どうなっているのかあれですけれども、いろんな領域でぜひ協力をいただきたいというふうに思います。 そして、ヘルスケアの分野に関しては、モビリティーの事業は非常に私はすばらしい事業だと思いますけれども、今回の計画は医療機関にお任せをするということになっております。しかし、やはりコストの問題とか、特にドア・ツー・ドアでやるとなると、電波の届いていない地域、衛星通信環境などを車に配備するとなると、多額のコストもかかってきますし、そういう意味では、公的機関が所有するという将来の姿なども検討すべきだと思いますけれども、またそういった議論も進めていただけたらと思います。 最後に、知事に、歴史保存の問題で今回大きな御答弁をいただきました。この保存の問題はまさに、実は中内県政からずっと積み残ってきた課題であります。これ来年度議論いただけるということは、大変大きな第一歩だというふうに思いますし、最後部長から答弁ありましたように、悉皆調査は初めてのことだと思います。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。 知事は、本当に真摯で、温かい御答弁をされます。調整型と言われましたけれども、私、最近友人にある話を聞きました。電車に乗っていて、保育園児がずっと電車に向けて手を振っていたと。車内の人、誰も反応していなかったのに、一人だけずっと手を振り返している人がいたと。次の日、テレビを見たらその人がテレビに出ていて、あれは知事だったということで、非常に温かい人柄だなという話を聞きました。 まさに知事は、答弁を聞いてもそういったお人柄であろうかと思います。本当にこれから県民、そしていろんなものの中心に、ハブになっていただいて活躍いただけることを願っております。 そして、県庁を退職される皆さん、生産年齢人口と言いましたけれども、これは数字ではありません。やはり社会にどれだけ参画するかということ、元気さ、これが大事です。人生100年時代でありますから、まだまだこれから、退職されても頑張っていただくことを、現役世代の一人として心からお願いして、私の一切の質問とさせていただきます。 どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 暫時休憩いたします。   午前11時52分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(加藤漠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 24番黒岩正好君。   (24番黒岩正好君登壇) ◆24番(黒岩正好君) 私は、知事並びに関係部長に対して質問したいと思います。 まず、日本一の健康長寿県構想について伺います。 初めに、健康寿命の延伸に向けた意識醸成と行動変容についてお伺いをいたします。厚生労働省によると、本県の令和元年の健康寿命は、女性が76.32歳で、全国平均の75.38歳を0.94歳上回り全国第8位となっております。 本県では、平成22年度から日本一の健康長寿県構想の下、県民が健やかで心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らすことができる県を目指し、様々な取組を始めました。平成22年の女性の健康寿命は73.11歳で全国第36位であったことから、取組を始めてから約10年間で、健康寿命は大幅に延伸したことになります。これは、構想の進捗管理等を行うため設置した日本一の健康長寿県構想推進会議において、進捗管理に努め、県民の健康づくりに取り組んできた成果だと考えます。 様々な施策の中で、何がこの延伸につながったと分析をしているのか、知事にお伺いをしたいと思います。しかし一方で、男性は、平成22年が69.12歳で全国平均の70.42歳より1.3歳短く全国第46位、令和元年は71.63歳で全国平均の72.68歳より1.05歳短く全国第43位で、延伸はしているものの女性ほどには改善が見られておりません。男性が女性と比べ、あまり改善していない理由をどのように分析しているのか、併せて知事にお伺いをしたいと思います。 日本一の健康長寿県構想では、令和5年の健康寿命の目標を、女性は76.05歳以上、男性は73.02歳以上としており、女性は既にこの目標を達成しております。今後、日本一の健康長寿県を達成するためには、女性だけではなく、健康寿命がなかなか改善をしない男性の健康意識の一層の醸成と行動変容の促進を、特に図っていく必要があります。そのためには、県民のリーダーである知事が先頭に立ち、熱意を持って県民に訴え、行動変容を巻き起こしていくことも必要だと思います。 県民の健康寿命の一層の延伸に向けた具体的な方策と、リーダーとして県民に行動変容を促すためにどのように訴えていくのか、知事に伺います。 次に、高知家健康パスポート事業についてお伺いします。この事業は、平成28年度に当時まだ全国的に珍しかったインセンティブを活用し、県民の健康づくりへの関心を高めるために始まったもので、現在は約5万人の方がパスポートを取得しています。 そこで、この事業により県民の健康づくりにどのような効果があったと考えているのか、健康政策部長に伺います。 一方、これまで活用されてきた冊子タイプのパスポートがこの4月から廃止になり、スマートフォンのアプリのみで運用するとのことであります。しかし、スマートフォンを持っていない高齢者の方からは、シールを集めるのが楽しみで健康づくりのイベントに参加していたので、廃止はとても残念という声が寄せられております。 令和4年1月末現在で、アプリを使用している方は2万4,700人でパスポート取得者全体の5割に満たない状況となっています。経過措置として、アプリへの切替えが困難な方へは簡易版のポイントシートを発行する予定とのことですが、男性の健康寿命が延び悩んでいる中、アプリがあまり使用されていないにもかかわらず、なぜ冊子をやめるのか、これまでの取組を思うともったいない気がしています。 また、パスポート取得者が減少し、せっかく盛り上がってきていた県民の健康づくりへの関心が薄れるのではないのか、さらには県民の健康づくりへの県の姿勢が後退したのではないかと思われるのではないかとも心配をしています。 そこで、冊子を廃止する理由と廃止することによる県民の健康づくりへの影響、特にスマートフォンの保有率が低く、一方で医療費が全国トップクラスである高齢者への影響をどのように判断しているのか、また健康づくりへの悪影響を防ぐための経過措置を含めた対応策について健康政策部長にお伺いをいたします。 次に、糖尿病性腎症などの血管病重症化予防対策について伺います。糖尿病性腎症などの血管病重症化予防対策は、本県の健康寿命の延伸や医療費適正化を推進するために非常に重要な取組であると考えています。 このため、昨年2月議会でも、このことに関して質問しましたが、その際、健康政策部長から、国民健康保険連合会でのレセプトデータの蓄積を5年間とする、またモデル市町村において、同じく5年間のレセプトデータを使用し脳卒中などの循環器病の発症予防の取組を開始する予定で、その結果を見た上で、糖尿病性腎症と循環器病の両方の重症化予防に対応した、総合的なプログラムに発展させることを検討していくとの答弁がありました。 そこで、レセプトの保存期間の現状とモデル市町村において実施をした循環器病の発症予防の取組の実施状況及びそれにより見えてきた効果や課題、また今後の糖尿病性腎症と循環器病の総合的なプログラムづくりについて健康政策部長に伺います。 また、令和2年度から実施しています、人工透析が数年後に予測される患者に対する、透析導入を少しでも遅らせる糖尿病性腎症透析予防強化事業の現在の実施状況と課題、あわせて今後介入者を増やすとともに介入の実効性を上げ、人工透析導入を遅らせるための取組について健康政策部長に伺います。 さて、糖尿病の重症化予防は、健診等により早期に発見し治療につなげていくことが基本であり、非常に大事だと思います。これまでも本県では、全国と比べ低かった特定健診の受診率などの向上に市町村とともに取り組んできた結果、国保の特定健診受診率は、平成30年度には全国平均を上回りましたが、令和元年度及び2年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、残念ながら低下傾向となっています。 そこで今後、特定健診の受診率や特定保健指導の実施率の一層の向上に向け、どのように取り組んでいくのか、健康政策部長に伺います。 本県では、糖尿病の重症化予防のために、全国に先駆け、国保のレセプトデータを活用し糖尿病の未治療ハイリスク者や治療中断者を抽出し、保健指導につなげ、重症化予防をする取組も実施してきております。 そこで今後、糖尿病未治療ハイリスク者などに対する保健指導の介入割合の向上のための取組と、指導技術の向上対策などの保健指導の効果を上げるための取組について健康政策部長に伺います。 また、昨年3月から厚生労働省が整備を進めているオンライン資格確認等システムを利用すれば、以前加入していた医療保険の特定健診等のデータが比較的簡単に入手できるようになっています。 特に国保は、会社などを退職した方が多く加入していることから、国保加入前のデータを活用することで、継続した保健指導が可能となり、糖尿病だけでなく様々な疾病の重症化予防に役立てることができると考えますが、現在の活用状況と今後の取組について健康政策部長に伺います。 次に、高知版地域包括ケアシステムの構築に関し、高齢者の住まいの確保事業について伺います。 今年度県では、中山間地域における医療や介護と連携した高齢者の住まいの確保対策事業に取り組んでいます。本県では、平成27年度から30年度にかけて、この事業とほぼ同様の高齢者向け住まい確保対策モデル事業を実施し、3か所で事業が行われました。 そこで、実施した3か所の現在の運営状況と、モデルとして実施した事業が、その後県内で広がっているのか、健康政策部長に伺います。 また、高齢者の住まいの確保対策事業を進めるに当たり、高齢者向け住まい確保対策モデル事業の経験、特に令和元年度と2年度は実施する市町村がなかったことを踏まえ、市町村に事業の導入を促すためにどのような工夫や取組を行ったのか、また市町村の状況はどうか、健康政策部長に伺います。 過疎化が進み、介護サービスや医療サービスの提供の効率が非常に悪い中山間地域では、介護などの人材の確保も都市部と比べ一層厳しいと思われます。 本県では、中山間地域においても必要な介護サービスなどが提供されるよう、中山間地域介護サービス確保対策事業などを実施してきていますが、人材の確保が非常に困難な状況においては、必要なサービスを提供するためには在宅にこだわらず介護を要する高齢者に1か所に集まっていただくなど、効率的なサービスの提供も必要ではないかと考えます。 このような状況の中で、養護老人ホームについては、地域共生社会を実現するために、居宅での生活が困難な低所得の高齢者の地域における受皿として、収容の余力がある場合は取扱人員総数の20%の範囲まで、居住に課題を抱える人に対して、市町村の措置入所とは別に契約入所が認められています。 そこで、現在の養護老人ホームの収容余力と契約入所の状況、今後の契約入所の促進に向けた取組について子ども・福祉政策部長に伺います。 また、市町村による低廉な家賃で入居できる集合住宅の整備が県が期待したほどではない場合は、比較的軽度の要介護者に対して、効率的に介護サービスを提供できる有料老人ホームへの入居も有効な手段ではないかと考えます。 そこで、社会福祉法人などが設置している有料老人ホームに所得にかかわらず入所できるよう、低所得者への補助制度を創設することを全国に先駆け検討してはどうかと考えますが、知事の考えを伺います。 次に、総合的な認知症施策の推進について伺います。 今後、認知症高齢者が急増するとの予測を踏まえ、令和元年に国の認知症施策推進大綱が取りまとめられています。本県でも、この大綱を受け、認知症があっても同じ社会の一員として自らの意思に基づいた生活を送ることができる社会を実現するために、今年度から令和8年度までの6年間を期間とする認知症施策推進計画が策定をされています。 この計画では、本県における認知症高齢者は今後も増加を続け、令和17年には県民の約11人に1人、約5万人になるとの予想がされています。また、今後増加していくとされる認知症高齢者の介護は、施設状況から在宅が中心となると考えられます。 令和17年に約5万人と見込まれている認知症高齢者のうち、在宅で生活される方はどの程度になると見込んでいるのか、健康政策部長に伺います。 認知症の方を在宅で介護している家族は、精神的、肉体的にも疲れています。例えば、高齢の夫婦のみの世帯で、認知症の方がデイサービスやショートステイなどの利用を拒否されるケースがよくあるとお聞きします。このようなケースでは、精神的にも肉体的にも休まる時間がありません。 特に徘回や異食行動などの周辺行動があれば、四六時中目が離せないため、認知症カフェや家族の集いへの参加や、買物などに行く時間の確保も難しく、日常生活に支障が生じることもあるとお聞きしています。また、認知症の方が徘回などをすることにより、その家族に対して近所の方から心ない言葉を投げかけられ、精神的に一層追い詰められることもあります。 認知症高齢者を在宅で介護しながら地域で暮らしていくためには、介護を行う家族に精神的、肉体的な安らぎの時間と介護に対する安心感を持っていただく必要があります。そのためには、いつでも困ったときに家庭を訪問し、様々な認知症高齢者の症状に臨機応変に、かつ的確に対応でき、また家族を精神的にも支えてくれる専門知識を持った方が必要となり、認知症に対する理解や思いやりの醸成など、認知症の方とその家族を県民全体で支えていく理解づくりも必要となります。 そこで、今後認知症高齢者が急激に増加していく中で、認知症高齢者とその家族を地域で支え、理解を促進するために必要とされる認知症サポーターやキャラバン・メイト、チームオレンジなどの整備状況や課題はどうか。さらには、認知症の方にきめ細やかに対応するために必要とされる、認知症初期集中支援チームや認知症地域支援推進員の資質向上が大事だと考えますが、取組状況はどうか、併せて健康政策部長に伺います。 次に、認知症施策の中の若年性認知症の方への支援について伺います。若年性認知症の方は、経済面での負担が大きいなど、老年期の認知症とは違った特徴があり、状態に応じ医療、福祉、就労等の関係者がネットワークを構築し、総合的な支援を行うことが必要とされています。 このため、ネットワークの調整役であり、関係機関と連携を図りながら就労継続支援などを行う若年性認知症支援コーディネーターの役割が重要となっていますが、本県における活動状況と今後の若年性認知症の方への支援について健康政策部長に伺います。 次に、介護、福祉、保育の人材確保対策の推進について伺います。 本県では、介護を必要とする高齢者が増加する一方で、少子化や若い方の都市部への流出などにより介護人材の確保が困難な状況が続いており、人材不足から事業所の閉鎖が相次いでいるとの報道もされています。 私は、以前から介護職員の確保を図るため処遇改善を訴えてきました。昨年2月議会においても、介護報酬における介護職員等特定処遇改善加算を取得している事業所の割合が、全国より低くなっていることを指摘いたしました。その際、地域福祉部長からは、取得割合の向上に取り組んでいくとの答弁がありました。 その後、県では、この加算の取得割合の向上のためにどのような取組を行ってきたのか、また現在の取得状況はどうか、子ども・福祉政策部長に伺います。 現在、国では、医療、介護、保育などにおける人材の確保や処遇の在り方について検討が行われています。また、令和3年度補正予算で、介護サービス、障害福祉サービス、保育園、幼稚園の職員の収入を3%引き上げるために、新たな補助制度が創設されました。さらに、10月からはこの補助金や交付金に代わり、介護報酬などの公的価格の見直しにより、賃上げ措置が継続される予定となっています。 一方、新たな補助金などの交付を受けるためには、今年の2月分から賃上げを行う必要があるとされております。このため、事業所などにおいては準備のための時間的余裕がなく、さらに介護や保育の現場では新型コロナウイルス関連の対応で、賃上げの検討などが十分できていないのではと危惧をいたします。 県では、このように限られた期間で市町村や多くの事業所に対して、補助金などを活用した賃上げに向けてどのような取組を行ってきたのか、また対象となる事業所のうち、どの程度の事業所が賃上げを行い、補助金などの交付を受けると見込んでいるのか、さらに10月からの賃上げ措置の継続に向け、どのように支援していくのか、子ども・福祉政策部長及び教育長に伺います。 さて、厚生労働省の令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護職員等特定処遇改善加算を取得していない事業所の多くは、賃金改善の仕組みを設けるための事務作業や県などに提出する計画書などの作成が煩雑であるということを理由としています。 これまで国では、介護職員のために2種類の加算を設けており、今回補助金が創設されたことにより、合わせて3種類となりました。このため、ますます事務処理が煩雑となり、せっかく制度が創設されたものの、今まで以上に加算や補助金を活用できない事業所が多く出てくるのではないかと心配をしています。 また、在宅介護の要となる訪問介護事業所は、小規模な事業所が多いことから、加算の取得に要する煩雑な事務作業への対応が困難で、特定処遇改善加算を取得していない事業所が国の調査でも多くなっております。 高知版地域包括ケアシステムの構築のためにも、小規模な事業所も含め、できるだけ多くの事業所が国の処遇改善のための措置を十分に活用できるよう、県や市町村は手厚い支援を講じる必要があると思いますが、どのように取り組んでいくのか、子ども・福祉政策部長に伺います。 一方、国では、介護現場の文書に係る負担軽減にも取り組んでいると思われますが、介護事業所が職員の賃上げなどに取り組みやすくするためには、処遇改善のための3種類の措置を統合するなど、もっと簡便な仕組みとすることが必要ではないかと考えます。 少子高齢化などによる慢性的な人手不足の中、介護の現場で頑張っている職員の給与を適正な水準まで引き上げることが強く求められています。そのためには、県がリーダーシップを取り、中核市である高知市や他の市町村と緊密に連携し必要な措置を行うことが、まず必要となります。 これらの職員の処遇改善について知事の考えを伺います。 次に、養護老人ホームやケアハウスなどの軽費老人ホームの職員の処遇改善について伺います。養護老人ホームや軽費老人ホームの職員の処遇改善については、令和3年度補正予算の対象とされていませんが、その業務内容は、介護職員の業務内容に類似をしています。このため国では、必要な処遇改善を図ることが重要であるとの考えで、昨年12月に職員の処遇改善を図るため、県や市町村が施設に交付する措置費や事務費補助金などの単価の改定を県や市町村に求めています。 介護や障害福祉サービスは、職員の処遇改善を図るために、国において介護報酬などの改定が必要に応じて行われてきています。一方、養護老人ホームや軽費老人ホームの措置費などの単価の改定については、措置費などの財源が平成16年度及び17年度から一般財源化されて以降、県や市町村の判断に委ねられています。 そこで、一般財源化されて以降これまでの、消費税の引上げ分は除き養護老人ホームや軽費老人ホームの職員の処遇改善のために行った措置費や事務費補助金などの単価の改定状況と、今回の国からの通知を受けた改定への取組状況について子ども・福祉政策部長に伺います。 また、一般財源化されてから、県と市町村が廃止した軽費老人ホームに対する民間施設給与等改善費は、平成28年度に日本総合研究所が行った調査では廃止をしている自治体は約25%にすぎない状況となっています。 現在、養護老人ホームや軽費老人ホームの職員の処遇を、他の介護サービスと遜色がないよう早急に改善することが求められています。そのためには、養護老人ホームなどの職員の給与の状況や、措置費や事務費補助金などの単価水準を詳細に分析し、軽費老人ホームの民間施設給与等改善費の復活の検討なども行い、市町村共々、職員の処遇改善に取り組む必要があると考えますが、知事の考えを伺います。 次に、医療費適正化計画について伺います。 平成30年度から令和5年度を期間とする第3期高知県医療費適正化計画はほぼ4年が経過し、残り2年となっていますが、現在までの計画の進捗状況と今後の計画達成に向けた課題及び取組について健康政策部長に伺います。 医療費適正化計画は、国の定める医療費適正化基本方針に基づき定めることとなっていますが、国では、第4期計画に向け基本方針の見直しの議論が既に始まっております。現在の基本方針では、特定健診等の実施率など4つの項目について目標値を定めることとされていますが、計画策定時の現状の数値と、国が示した目標値にはかなりの乖離があるものもあり、現実に即した目標値になっていないのではとの課題もあると聞いております。また、今年度の骨太方針では、本県のような高医療費県へ地域別診療報酬の適用などを含め、医療費削減圧力を強めてくるのではないかと危惧をしております。 尾崎前知事時代は、県民に必要な医療を提供するために、国から過度の医療費削減を求められないよう、本県の置かれている状況と要因、また医療費適正化のための健康づくりなどの取組を理解してもらえるよう、知事からも説明を行っていたとお聞きをいたしました。 来年度策定をされる国の基本方針に向け、県民が必要とする医療をきちんと提供しながら、医療費適正化を地域の実情に即し進めるために、医療費適正化計画のあるべき姿を検討し、高知県として国に提案をしていく必要があると考えますが、知事の考えをお伺いいたします。 次に、国民健康保険の保険料水準の統一について伺います。現在県では、県内各市町村と将来の保険料水準の統一についての協議を進めていますが、保険料水準の統一についての資料では、統一について全ての市町村から異論がなかったと書かれています。しかし一方で、医療費水準が低い市町村から、県内の医療費水準の違いや、医療費が高い市町村の努力を指摘する意見も多くあります。 昨年7月27日に行われた高知県国民健康保険運営協議会の資料には、保険料水準の統一を目指す理由として、国民健康保険による受益は保険料の差とは全く関係がないにも関わらず、市町村ごとの保険料の格差が大きくてもよいとは言えないと書かれています。しかし、保険制度において、保険料の額は被保険者の受益に応じた額でなければ、保険料の負担に応じていただくことは難しく、受益と保険料は密接に関係していると思います。 誰でも、いつでも、どこの医療機関でも受診は可能ですが、県内市町村では、医療費実績で1.8倍程度の格差があります。これは、世帯の状況や地理的要因のほか、日頃の被保険者の健康づくりや、病気になってもできるだけ自宅での療養に努めている結果だと思われます。 さらに、協議会の資料では、後期高齢者医療制度や協会けんぽにおいては、既に県単位の保険料負担の公平化が実現しているとも書かれていますが、仕組みが大きく違い、単純に比較するのは適切でないと思います。 保険料水準の統一については、令和5年6月までに結論を得るよう市町村と協議を行うとされていますが、この協議においては、まずは医療費水準の低い市町村の被保険者のことに十分配慮した協議が必要だと思います。 県が考える被保険者の受益とは何か。保険給付が全国共通の制度であることから、保険料負担に差があることが不公平であるという論調は、被保険者の健康づくりなどへの努力を無視することとなります。 保険料水準の統一に向けて議論を強引に誘導するのではなく、将来の保険料の在り方について、特に医療費水準の低い市町村の被保険者の努力を無にしないよう、慎重かつ丁寧な議論を行う必要があると考えますが、被保険者の受益とは何かと併せ、知事の考えを伺います。 次に、障害者差別解消の推進について伺います。 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法の改正法が昨年5月に成立をしています。改正の趣旨は、障害を理由とする差別の解消の一層の推進を図るため、事業者に対し社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的配慮することを義務づけるとともに、行政機関相互の連携強化を図るほか、障害を理由とする差別を解消するための支援措置を強化する措置を講ずるとしています。 しかし、例えば自治体が運営する施設は、映画や舞台を鑑賞する際に、ホールの端に設置をしてある、ごく僅かな車椅子席しかない現状となっています。 そこで、これらの解消に向けた取組について文化生活スポーツ部長に伺います。 また、改正法では、連携・協力の責務、事業者による合理的な配慮の提供の義務化、差別を解消するための支援措置の強化が示されていますが、今後どのような対応を図っていくのか、子ども・福祉政策部長に伺います。 次に、片耳難聴者など聴覚障害者への支援について伺います。現在、本県では市町村と連携し、身体障害者手帳の交付対象とならない18歳未満の軽度、中等度の難聴者に対して、補聴器の購入費の助成を行っております。補聴器は1台当たりの価格が、難聴の症状によっては30万円を超えるものもあることから、助成制度に対する感謝の声が寄せられています。 一方で、この助成制度は、18歳以上の方は対象とされていません。難聴の方は、18歳になってからも日常生活が不便であるため、継続して補聴器を使用する必要がありますが、高額な補聴器であるとともに、5年程度で買い換える必要があるため、購入の際には経済的負担により二の足を踏む状況にあります。 そこで、18歳以上で低所得者の方については、現行の助成制度の対象とするべきではないかと考えますが、現在18歳未満としている理由と18歳以上の方への今後の対応について子ども・福祉政策部長に伺います。 次に、少子化対策について伺います。 まず、低出生体重児の支援について伺います。厚生労働省によると、生まれてくる子供の約9%が体重2,500グラム未満の低出生体重児で、1,000グラム未満で生まれてくる超低出生体重児も0.3%いると言われています。周産期医療の発達により、40年前に比べ低出生体重児の割合は2倍近くに、超低出生体重児の割合は3倍に増えています。 そこで、本県の出生数の推移や低出生体重児の状況はどうか、健康政策部長に伺います。 先日、小さな赤ちゃんを産まれたお母さんからお話を伺いました。昨年11月、予定日より4か月早い妊娠29週で誕生し、体重691グラム、両手に収まるほど小さく、全身が呼吸器やたくさんのチューブにつながれ、見た瞬間涙が止まらず、小さく産んでしまったことの自責の念と不安に押し潰されそうになったと語っておりました。現在も、病院のNICUで治療を受けております。 低出生体重児は、成長に応じて医療的ケアが必要となるケースも多く、健康に関わるリスクが指摘をされており、低出生体重児と保護者に対しては、個々に応じた丁寧で切れ目のない支援が必要であります。 そこで、小さく生まれた赤ちゃんとその家族の不安解消や健やかな子育てを支援するため、どのような支援を行っているのか、また悩みを抱える親たちを孤立させないためにも、同じ悩みを抱える親たちが話し合えるサークル的な場が必要と考えますが、併せて子ども・福祉政策部長に伺います。 また、低出生体重児の親が困惑し苦しむのが、一般的な母子手帳です。市町村が交付している母子健康手帳は、妊娠期から子育て期まで長期にわたって健診や成長の記録として活用をされています。一方、早産などによる低出生体重児の場合などは、発達や発育の個人差や親の育児不安への配慮が必要なため、現行の手帳では活用しにくい内容となっています。 そのため、静岡県では、小さな赤ちゃんを産んだお母さんのための母子手帳、しずおかリトルベビーハンドブックを作成し、平成30年度から活用をしています。作成に当たっては、NICUを有する医療機関、助産師会、関係団体などを中心に進められたそうであります。お母さんからは好評で、今や全国で18府県が独自の内容と工夫を凝らして、リトルベビーハンドブックを作成あるいは作成中とのことで、お母さんをサポートする取組が全国に広がっております。 そこで、本県も低出生体重児の保護者に寄り添った支援を充実するために、母子手帳高知版リトルベビーハンドブックの発行に取り組むべきだと考えますが、知事の考えを伺います。 次に、不妊治療について伺います。この4月から、不妊治療の保険適用が始まります。公明党は、平成10年から基本政策大綱に掲げ、不妊に悩む方々の声に応え、経済的負担を減らすために、自治体での助成制度の創設や拡充、医療保険適用の実現に向け、長年にわたり取り組んでまいりました。 一昨年、総理大臣に就任したばかりの菅前首相は、公明党大会に出席し来賓挨拶の中で、公明党から強い要請を受けている不妊治療への保険適用を実現したいと挨拶され、今年4月からの保険適用を明言されました。 そこで、現在本県において特定治療支援事業により不妊治療を受けている方の人数と、医療保険が適用されることにより経済的負担がどの程度軽減される見込みか、子ども・福祉政策部長に伺います。 また、今回の制度改正により、不妊治療を受けている方への周知や医療機関と緊密に連携していく必要がありますが、どのように対応しているのか、子ども・福祉生活部長に伺います。 また、保険適用されることにより、現在実施をしている特定治療支援事業に要している県負担分は約3,000万円が軽減されることになります。この軽減される分を活用し、例えば、医療保険の自己負担分に対する助成制度の創設や、県独自で引き続き行うとしている保険適用外の方への給付制度の拡充など、不妊治療に要する経済的負担の一層の軽減に取り組む考えはないか、知事に伺います。 次に、出会い支援事業について伺います。平成28年度から本格運用を開始したマッチングシステムについては、令和6年度の登録者1,000名の目標に対して、令和4年2月21日現在では781名となっています。 登録者数を増やしていくためには、結婚機運を高めるとともに、マッチングシステムの魅力を引き上げることやシステムを企業などの協力も得て、多くの方に知っていただくことが必要となってきますが、課題と今後の取組について子ども・福祉政策部長に伺います。 また、コロナ禍で、高知家の出会い・結婚・子育て応援団が実施する出会いイベントの開催もなかなかできない状況の中で、今後出会いのイベントの開催や参加者の増加に向けて、どのような取組を進めていくのか、子ども・福祉政策部長に伺います。 さて、少子化対策を官民協働による県民運動として広げていくために、高知県少子化対策推進県民会議を平成20年2月に立ち上げてから14年が経過をいたしました。この間、構成団体の協力も得て様々な取組を実施し、出会い・結婚・子育て応援団も令和4年1月末現在で1,240団体となるなど、少子化対策は県民の間に一定広がってきていると思いますが、少子化の歯止めをかけるまでには、まだまだ至っていません。このような中、少子化対策の強化を図るため、各分野における取組を協議するための県民会議の部会が再編されています。 そこで、これまで行ってきた県民会議に対する評価と、今後少子化対策などを県民の間に一層広がりをもたらすためにどのように取り組んでいくのか、知事に伺います。 次に、高知市旭小学校周辺の道路冠水・浸水対策について伺います。 旭小学校北西部は、土地が低く、大雨の際には水が集まる上、排水先となる県管理の江ノ口川の水位が上昇し、内水排除が困難な状況になっています。特に、平成26年8月の集中豪雨では、旭小学校周辺地域は最大水深80センチにも及ぶ浸水被害が発生をしています。通常でも、30センチ以上の道路冠水や浸水被害が度々で、旭小学校児童の安全な通学や住民の暮らしに大きな支障が出ています。 こうしたことから、高知市では令和元年度、排水機場を設置し改善を図ってきておりますが、十分な効果を発揮しているとは言えない現状となっています。そこで、地元自治会から、高知市長や高知市教育長宛ての請願が提出をされています。高知市からは、江ノ口川ヘの排水が十分できない、高知市だけでは解決ができないなどとして、回答が寄せられています。 そこで、解決策の一つとして、江ノ口川沿いの高知商業高校や高知学園のグラウンドで実施したように、雨水排水を一時的にためる校庭貯留施設を旭小学校のグラウンドでも検討すべきと考えますが、土木部長の認識を伺います。 次に、高知県耐震改修促進計画について伺います。 全ての建築物の耐震化を促進するため、高知県耐震改修促進計画が、第2期計画として平成29年に改定をされています。 耐震計画の目標年度である令和7年度の目標数に対して、耐震化の進捗状況や課題はどうか、土木部長に伺います。 また、緊急輸送道路等として指定された道路沿いの避難路沿道建築物は、法律で耐震診断と耐震診断結果の報告が義務化されています。住民が緊急避難場所として避難タワー等へ避難する場合、避難する道路脇の住宅やブロック塀の倒壊が懸念されるため、避難路の安全確保を図ることが重要となります。 そこで、対象となる避難路沿道建築物の耐震化の取組状況や課題、耐震化を促進するための今後の取組につきまして土木部長に伺い、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇)
    ◎知事(濱田省司君) 黒岩議員の御質問にお答えをいたします。 まず、女性の健康寿命がこの10年間で大幅に延伸した要因分析、また男性の健康寿命が女性と比べて改善していない理由についてお尋ねがございました。 健康寿命と申しますのは、国が国民生活基礎調査などに基づき、3年ごとに示しております日常生活に制限のない平均期間のことであります。本県の状況は議員からお話がございましたとおり、女性が全国平均よりも0.94歳長く、男性が1.05歳短いという対照的な状況にございます。 この健康寿命につきましては、生活習慣から社会経済の環境まで、いろいろな要因が複雑に影響しているという指摘が国の研究班のほうでは行われておりまして、この要因の分析はなかなか難しい点があるというのが実情でございます。 この生活習慣などに関連します本県の状況を分析いたしましたところ、男性につきましては、全国と比較して肥満傾向である、あるいは毎日2合以上飲酒をしている人が多い、日頃から歩いていないといったような状況にあります。一方、女性におきましては、全国の値と比較して、はっきりと有意差がある項目は見受けられないところであります。しかし、その他の要因といたしまして、課長級以上に占める女性の割合が高いといったことあるいは働く女性の割合が高い状況にあるといった特色がございます。この意味で、女性の場合、社会参加率の高さが、少なからず健康寿命の延伸に影響を与えているのではないかというような推論は可能かと考えております。 引き続き、県民の生活習慣や健康状況の把握に努めまして、健康寿命の延伸に向けて、要因の分析を試みてまいります。 次に、県民の健康寿命の一層の延伸に向けた方策と行動変容の促進につきましてお尋ねがございました。 本県の健康寿命は、全国値と比較しまして、ただいま申し上げましたとおり、女性は長い、男性は短いと、かつ男性の場合、全国値との差も大きいといった状況になっておりまして、この点が課題であると受け止めております。このために、男性の健康寿命の一層の延伸に向けまして、特に働き盛りの世代の健康づくりに取り組む事業所を支援してまいります。 具体的には、社内研修会での健康講座をはじめといたします運動習慣の啓発あるいはスポーツイベントの実施といった、生活習慣の改善を目指した取組を支援してまいります。また、いわゆる減塩商品や既存の総菜野菜のPRなど、健康を意識した商品の販売促進につなげるなど、企業とのコラボ事業も強化をしてまいります。 第4期の構想からは、日常生活の中で気軽に健康づくりに取り組むためのポピュレーションアプローチを強化して取り組んでいるところでございます。私自身も、県民の皆様の行動変容につながりますように、PRのイベントあるいはキャンペーンの先頭に立ってPRに努めてまいります。 次に、低所得の方に対しまして、居住に要した費用を補助する制度の創設についてお尋ねがございました。 中山間の地域におきまして、高齢者の方々が住み慣れた地域で暮らし続けるために、居宅での生活が難しい低所得の方の住まいの受皿づくりに取り組むということは、大変重要な点だというふうに考えております。 議員のお話にありましたとおり、有料老人ホームは、食事の提供や入浴・排せつ介助などのサービスを提供する施設もありまして、住まいの受皿として有効な選択肢の一つであるというふうに考えております。 しかしながら、介護保険制度が適用されます特別養護老人ホームなどにおきましては、居住費を原則自己負担としているということを考慮いたしますと、居住費への補助制度を創設するということは、公平性の観点から難しいのではないかと考えております。 県におきましては、中山間地域においても、高齢者お一人お一人の実情に応じまして、地域で生活できる環境を整えていくということが必要と考えており、具体的な検討を行っているところでございます。例えば、廃校舎などの既存施設を活用することによりまして、低廉な家賃で入居できる高齢者向けの住まいの確保について、市町村などと連携をして取り組んでおります。 この整備に当たりましては、住まいの確保というだけではなく、例えば診療所ですとか小規模多機能型の介護事業所などを近隣に配置するといったような形で、医療と介護サービスと連携をした形で進めてまいりたいと考えております。 県といたしましては、こうした取組により、低所得の高齢者の方々が地域で安心して暮らしていける環境づくりを進めてまいりたいと考えております。 次に、介護職員の処遇改善に関しまして、県がリーダーシップを取り、市町村と連携して必要な措置を取ることの必要性についてお尋ねがございました。 議員からお話がございましたように、介護分野におきましては、慢性的な人手不足の状態が続いております。このため本県では、福祉・介護事業所認証評価制度を通じました職員の処遇改善あるいは職場の環境改善につながります取組を推進しております。 具体的には、認証取得に向けましたキャリアパスの構築あるいは給与体系の整備などの事業所の取組を支援するためのセミナーを開催いたしております。その際に個別相談も行いまして、個々の事業所の課題に応じて、専門家がアドバイスを行うといったサポートを行っております。 また、人材不足の要因としましては、議員からも御指摘がありましたように、賃金水準の低さなどが指摘をされているところであります。国の調査によりますと、令和2年の介護職員の平均賃金と全産業の平均とで、月額で約6万円の差があるというふうにされております。今般、国から示されました10月以降の報酬改定によります賃上げ措置は、その差の縮小に寄与するものでありまして、介護職員の処遇改善を後押しするものというふうに評価しております。 県といたしましては、これまでも全国知事会とも連携をしながら、高齢者の方が安心して介護を受けられるように、こうした処遇改善の制度の改善を提言してまいっております。今後も引き続き、市町村とも緊密に連携しながら、さらなる処遇改善や各制度の整理統合、事務手続の軽減など、制度の充実、改善を要望してまいる考えであります。 次に、養護老人ホーム及び軽費老人ホームの職員の処遇改善への取組につきましてお尋ねがございました。 養護老人ホームあるいは軽費老人ホームは、高齢者やその家族の方々にとりまして、なくてはならない施設であります。こうした施設の運営に関しましては、御指摘もありましたように、従前は国の補助事業による助成が行われておりましたけれども、平成17年度までに一般財源化がされたところでございます。それ以降は、施設を所管するそれぞれの自治体におきまして、国の取扱指針を踏まえて、社会経済情勢、地域の実情などを勘案し、補助単価などを改定するといったような形で支援を行っているという形になってございます。 国におきましては、今回の介護職員を対象といたしました3%程度の賃金の引上げに際して、介護保険施設と類似をしておりますこうした施設に対しましても、同様の処遇改善を求めておられます。あわせまして、国は、今回の処遇改善のための単価の改定を示されますとともに、改定分につきまして地方交付税措置を講じるということを明らかにしております。 こうした国の方針、措置も受けまして、本県においては、来年度軽費老人ホームにつきまして3%程度の補助金を上乗せし、職員の処遇改善に取り組むことといたしております。また、養護老人ホームを所管いたします市町村につきましても、県と同様の対応となるように働きかけてまいります。 また、これとは別にお話がございました軽費老人ホームの民間施設給与等改善費の取扱いについてでございますが、この点は御指摘もありましたように、全国的に多くの自治体では実施がされているという状況もございます。こうした状況も踏まえまして、御指摘ありましたように、県内の施設職員の給与の実態ですとか、あるべき補助単価の水準などにつきまして調査分析をして、加算について検討してまいります。 次に、医療費適正化計画のあるべき姿を検討し、国に提案をしていくということにつきましてのお尋ねがございました。 医療費適正化計画については、現在平成30年度から令和5年度までを計画期間として取り組んでいるところでございまして、次期の計画は令和6年度からのスタートとなります。 現在、国の社会保障審議会医療保険部会におきまして、医療費適正化計画の見直しについての協議が行われております。主な論点といたしまして、適切な目標設定、地域医療構想との関係の整理、医療費の算定の考え方などが議論をされているところであります。 そして、この検討事項の論点の中には、医療費実績が計画の見込みを上回ったときの措置といたしまして、いわゆる地域別診療報酬の適用、これは高齢者の医療の確保に関する法律の第14条に基づく措置となりますが、これに関連すると思われる事項も入っているということでございます。 社会保障の安定的な運営のためには医療費の適正化自身は不可避だと考えますけれども、一方で医療費は地域の高齢化あるいは地理的条件などの様々な要因に左右をされる部分がございます。本県の医療費の特徴といたしましては、1人当たりの医療費が高く、特に入院日数が長いことから、入院医療費が大変高くなっております。その要因といたしまして、長年にわたり医療機関が福祉施設に代わる受皿となっているということなどから、入院が長期化する状況があるということでございまして、これを直ちに抑制するということは困難な部分もございます。 このように、それぞれの地域で必要な医療を確保するためには、地域の実情に応じた適正化を進めるということが必要となります。県といたしましては、引き続き県民の皆さんの生活の質の向上を目指して、そうした流れで医療費の適正化に取り組んでまいりますけれども、今後の国の検討状況については注視をいたしまして、全国知事会を通じました提案などを行っていきたいというふうに考えております。 次に、国民健康保険の保険料の在り方についてお尋ねがございました。 人口減少や少子高齢化が、本県の場合、全国より先行して進んでいるという状況にございます。こうした中でございますので、国民健康保険につきましても、今後も保険の加入者が減少をし、小規模な市町村国保が増えていくということが見込まれる中でございます。こうしたことを背景といたしまして、県内の国保の持続可能性と加入者間の公平性を確保していくために、県は市町村と保険料水準の統一を目指した議論を行っているというところでございます。 この議論に当たりましては、県と市町村が共通の認識を持つことが不可欠でございますので、今年度県内の市町村長との意見交換の場を設けてまいりました。その結果、全ての市町村が、将来にわたって県内国保を安定的に運営していくという大きな目的のためには、将来的に保険料水準の県内統一が必要だという意見であるということを確認いたしました。一方で、御指摘もございましたように、現在医療費水準が低く、統一により負担が逆に増えるような可能性のある市町村からは、医療費の高い団体は医療費適正化の一層の努力が必要であるといった御意見もいただいているところでございます。 こうした御意見に応えまして、保険料負担を軽減し、国保の持続可能性を高めていくためには、健康づくりなどによります医療費の適正化に県全体として取り組んでいくということが必要であると考えます。また、御質問にございました国保の加入者の受益と申しますのは、将来にわたって、県内のどこに住んでいても安心して医療サービスを受けられるということであると考えております。そのためにも、国保の安定的な運営が不可欠でございますので、県といたしましては、引き続き市町村の御意見をしっかりお聞きしながら、丁寧に議論を進めてまいります。 次に、低出生体重児向けのハンドブックの発行につきましてお尋ねがございました。 早産などによりましてお子さんが小さく生まれた場合に、お母さんには、これからの子供の成長や発達の不安に加えまして、自分を責めてしまう気持ちなど様々な精神的な負担が生じがちであります。お子さんが小さく生まれましても、それぞれのペースで成長していくということを喜び、また安心して子育てができる環境を整えることが重要だと考えております。 この点、御指摘がございましたけれども、母子健康手帳に記録をいたします身体発育曲線といいますのは、1,000グラムより小さく生まれたお子さんの場合は記入ができないような様式となっておりますし、また標準的な発達には追いついていないという状況がありますと、母子健康手帳自身に記入がしづらいような部分もあるといったような問題がございます。 この点、議員からお話がございましたリトルベビーハンドブックと申しますのは、小さく生まれたお子さんの成長記録の記入にも配慮をして、特別に作られているものでございます。また、個人差のあります発達の見つけ方あるいは同じ経験を持つ御家族からのメッセージが盛り込まれているということもございまして、お母さん方の気持ちに寄り添った様々な工夫が凝らされているというふうに考えております。 県といたしましても、このようなハンドブックを作成するということは、子育ての不安を解消する上で大変有意義であると考えます。したがいまして、速やかに検討作業を進めてまいりたいと考えております。 まずは、当事者であるお母さん方や、医療機関、市町村などの関係者の御意見も伺いながら、ニーズに合った内容はどういうものかということも検討いたしまして、できる限り早期の発行を目指してまいりたいと考えております。 次に、特定不妊治療の経済的負担の一層の軽減につきましてお尋ねがございました。 県におきましては、子供を持つことを切望される方々の希望をかなえたいという考え方から、特定不妊治療の費用の一部を、国と県が助成をする現行の制度と併せまして、県独自の助成も行っているところでございます。 国の助成制度においては、43歳未満の方を対象といたしまして、助成の上限額の増額あるいは所得制限の撤廃といった形で、段階的に支援が拡充をされてきております。さらに県では、これに県単独での助成額の上乗せでございますとか、国が制度の対象外としております43歳以上の方も助成対象とするといったような形で、一層の支援の充実をしてまいったところでございます。 そして、これも御指摘ございましたように、来年度からは医療保険が適用されることになりますが、この医療保険の適用を超える支援につきましては、県と中核市がそれぞれで判断をするということになりますが、県といたしましては、引き続き独自の支援を継続してまいる考えであります。 具体的には、保険適用後も支援の対象外となります43歳以上の方につきましては、そうした方々の治療計画に支障が生じることのないように、現行と同様に、治療内容に応じた助成を行ってまいります。加えて、43歳未満の方につきましても、比較的少額な治療であるものの、保険適用によって自己負担の増額が見込まれるような治療内容に対しては、助成を行っていくということといたします。 この保険適用後も、不妊に悩む方々が経済的な理由によって治療を諦めるということがないように、全ての方の妊娠・出産の希望をかなえるために手厚い支援を行ってまいりたいと考えております。 最後に、高知県少子化対策推進県民会議の評価と今後の取組についてお尋ねがございました。 少子化の進行に歯止めをかけるためには、出会い・結婚・妊娠・出産・子育ての各段階におきまして、しっかり支援していくということを通じて、若い世代が安心感を持てるように社会全体で応援していくと、そういった機運の醸成が必要でございます。 県民会議におきましては、33の構成団体が少子化対策を推進いたしますとともに、フォーラムの開催によりまして、育児休暇・育児休業取得促進宣言への賛同などを広く呼びかけてまいりました。こうした取組によりまして、結婚や子育てを社会全体で応援するといった機運の醸成に向けて県民運動を牽引していただいておりまして、少子化対策におけます中心的な役割を担っていただいているというふうに考えております。 昨年度の県民会議においては、若い世代の声を少子化対策への効果的な活動につなげるべきといった御提案がございまして、今年度は新たに、若い世代部会という部会を設置いたしたところでございます。 2月に開催いたしました県民会議におきましては、この新設された若い世代部会のメンバーから、1つには、自分たちが参加して、結婚や子供を産み育てることのすばらしさを当事者が実感できるような事例集を作成してはどうかと、また構成団体の方々とチームをつくり、若い世代をターゲットとしたイベントを行って情報発信していってはどうかといった形で、県民運動の充実に向けた具体的な提案をいただいたところでございます。県といたしましても、このような企画の実現に向けて、市町村と連携をしながら取り組んでまいります。 また、県が来年度に予定をいたしております動画を活用した若者向けの広報プロモーションの展開に当たりましては、県民会議の構成団体の皆様にこの情報の拡散への御協力をいただくということにいたしております。 こうした取組によりまして、これから結婚や子育てに直面をする若い世代の皆様への前向きな情報発信といったことも含めて、官民協働によります少子化対策を、県民運動として一層推進してまいる考えであります。 私からは以上であります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、高知家健康パスポート事業の効果についてお尋ねがございました。 健康パスポート事業は、本県の重点課題であります壮年期の死亡率の改善を図るため、健康意識の醸成、行動の定着化を目的に、平成28年度から実施してまいりました。 今年1月末の時点で、パスポート取得者は5万人を超え、最上位ランクのマイスターを取得された方は7,000人を超えております。マイスターに達した方の約7割が、パスポートを活用し始めて、食生活の見直しや健診を毎年受けるようになったとお聞きいたしております。また、一定程度、健康づくり活動が定着してきたと考えられるパスポートⅡ以上の取得者は1万5,000人程度となっており、今後の持続的な活動を期待しているところです。 働き盛り世代に関しては、職場ぐるみで健康パスポートを活用していただいております。昨年12月末現在で、81社が職場における健康経営のプラットフォームとして活用いただいております。 引き続き、官民協働で高知家健康パスポート事業に取り組み、県民の方々の健康づくりを進めてまいります。 次に、健康パスポートの冊子を廃止する理由と、健康づくりへの影響についてお尋ねがございました。 健康パスポート冊子の廃止は、スマートフォンアプリだからこそ可能となるインセンティブの付与や、個別性を重視した情報配信などの機能を生かして、メインターゲットとなる壮年期の方々の利用増加を図るために行うものでございます。また、新しい生活様式に対応するためにも、非接触、非対面での運用が可能なアプリへの移行が望ましいと考えております。 一方で、議員のお話にもありましたように、冊子を廃止することによる県民、特に高齢の方々への健康づくりへの取組に影響が出ないように努めてまいりたいと思います。具体的には、来年度は経過措置としまして、アプリを御利用できない方に対しては、市町村主催の健康づくり関連事業やフレイル予防事業に参加していただいて、スタンプによるポイントを集めていただくこととしております。そうした方々も、引き続き楽しみながら健康づくりに取り組んでいただき、その活用状況も見ながら、今後の在り方については、改めて検討してまいりたいと考えております。 引き続き、県民の皆様が楽しみながら健康づくりに取り組んでいただけるよう、健康パスポート事業の充実を図ってまいりたいと思っております。 次に、レセプトの保存期間と循環器病の発症予防の取組状況、また糖尿病性腎症と循環器病の総合的なプログラムの策定についてお尋ねがございました。 まず、糖尿病性腎症重症化予防プログラムの対象者を抽出する際に活用しているレセプトのデータについては、令和4年5月、実際は今年の3月診療分に予定どおり平成29年度以降5年間分のデータが蓄積されます。 これに先駆け、本年度5年間分のデータを用いてモデル的に、高血圧や高脂血症などであって、治療をなされていない方や治療を中断している方に対して、はがきによる受診勧奨を実施いたしました。その結果、はがきを送付した500人のうち、実際に受診、再受診につながった方は54人、受診率は11%となり、対面の保健指導も行っている糖尿病性腎症重症化予防プログラムによる受診率40%と比べますと、低い結果になっております。 来年度中には、5年間のデータを活用した糖尿病性腎症と循環器病の重症化を予防するための総合的な重症化予防プログラムの検討を開始したいと考えておりますが、今回の結果を踏まえまして、対面の保健指導を中心とした効果的な介入方法も欠かせないと考えております。 今後、詳細を検討するに当たっては、保険者や医師会、糖尿病医療体制検討会議の専門家などの御協力を得ながら、早期の策定を目指してまいります。 次に、糖尿病性腎症透析予防強化事業についてお尋ねがございました。 令和2年10月から、県内3つのモデル地域において、透析導入が数年後に予想される患者さんに対し、医療機関と保険者や市町村が連携した、よりきめ細かな保健指導を行っております。 半年程度の限られた検査での評価になりますが、これまで61人の方を対象にして、1クール6か月間の保健指導を終えた39人のうち、約半数の方で腎機能の維持改善が見られました。加えて、現在データ収集中ではございますが、今月末には比較対照になるコントロール群との分析を併せて行う予定にいたしております。 介入者拡大に向けての課題といたしましては、医療機関と保険者が連携して保健指導を行う体制の充実にはこれまで以上にマンパワーの確保が必要であることから、医療機関の一層の御協力が欠かせません。 今後、データを定期的に収集し、参加された患者さん一人一人の変化をモデル候補の医療機関に提示することに加えて、介入群と非介入群--対照群ですか--による比較分析を行い、事業の効果を明らかにすることで、医療機関の理解を得て実施地域の拡大を図ってまいります。 次に、特定健診の受診率や特定保健指導の実施率の一層の向上に向けた取組についてお尋ねがございました。 国保と国保以外の健康保険を合わせた県全体の受診率については、国が集計、公表しておりますが、現時点で令和2年度のデータは公表されておりません。令和2年度のデータがございます県内市町村国保の受診率につきましては、長い間、全国平均を下回っておりましたが、平成30年度及び令和2年度は全国平均を上回っております。ただ、議員お話しのように、令和元年度、2年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、全国的な状況ではございますが、いずれも前年度から受診率は下がっております。 このため、市町村では、集団健診会場でのコロナウイルス感染症防止対策を徹底し、対象者の方が安心して受診できるようにすることで、受診率の回復に取り組んでいるところでございます。 また、県では、受診率が低い若い年代層の国保加入者に対して、健診の意義や効果を啓発するためのリーフレットを送付しており、来年度はさらに、新たに広告媒体を活用した受診の呼びかけや、医療機関からの受診勧奨の強化による個別健診受診促進の取組を行うこととしております。 特定保健指導の実施率については、令和2年度には前年度より上昇し、全国平均を上回りました。これは、コロナウイルス感染症の影響で特定健診の受診者が減り、結果的に、特定保健指導を要する方が減少した影響と考えております。特定保健指導では、対象者に生活習慣病の改善に向けた動機づけを行い、継続的に支援を行う必要がございます。このため、特定保健指導をやり遂げるために、指導に携わる関係者の資質や技術力の向上を目指した研修会の充実を図ってまいります。 これらの取組によりまして、特定健診の受診率や特定保健指導の実施率の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。 次に、糖尿病未治療ハイリスク者などに対する保健指導についてお尋ねがございました。 県内市町村の糖尿病性腎症重症化予防プログラムにおいて、対象者に保健指導を実施した割合は、令和2年度、未治療ハイリスク者は82%、治療中断者は80%で、受診につながった割合も年々向上しております。一方、治療中ハイリスク者への実施割合は50%にとどまっており、医療機関の一層の協力が必要になってまいります。 また、市町村の保健指導力を高めるために、令和元年度から糖尿病看護認定看護師などをアドバイザーとして派遣するほか、研修会を開催するなどの支援をしてまいりました。 加えて、来年度からはプログラムにより成果が得られた事例集を作成し、具体的な保健指導の内容や医療機関と保険者の連携方策を共有することで、保険者や医療機関の取組を促進してまいりたいと考えております。 次に、国民健康保険加入前の特定健診などのデータの現在の活用状況と、今後の取組についてお尋ねがございました。 これまでも保険者に変更があった場合、変更前の特定健診データを提供していただける仕組みはございました。しかしながら、効率的に提供を受ける仕組みではなかったことから、実際に提供を依頼して、活用している例はほとんどございませんでした。 お話にありましたオンライン資格確認等システムでは、セキュリティーを確保しつつオンラインで、効率的にデータ提供を受けられるようになりました。これにより、例えば、新しい保険者が特定保健指導を行うに当たり、変更前の保険者における健診結果も踏まえた指導が可能となるなど、指導内容が充実されることにより、様々な疾病の重症化予防につながることが期待されるところでございます。 なお、オンライン資格確認等システムは、昨年10月に本格的な運用が開始されたばかりであり、具体的な活用はこれからといった状況でございます。市町村には、当該システムの運用について適宜お知らせをしているところですが、今後とも適切な説明や情報提供を行い、保健指導などに有効に活用していただくよう努めてまいります。 次に、高齢者向け住まい確保対策モデル事業についてお尋ねがございました。 議員からお話のありましたように、平成27年度から30年度に、大川村、四万十町、土佐清水市において、高齢者向け住まい確保のモデル事業を実施いたしております。それぞれの現在の運営状況につきましては、大川村では、高齢者の方の長期的な住まいとしてはもちろん、病院を退院した後に自宅に帰るまでの短期間の滞在場所として活用されております。四万十町と土佐清水市では、入居者が介護施設への入所となった場合などでも、新たな入居希望者があり、ほぼ満室の状態が続いているとお聞きしております。 一方で、増加している独り暮らしの高齢者などの支援につきましては、建物などのハード整備だけではなく、生活支援サービスや介護サービスなどとの連携など、総合的な視点での支援が必要となってきたことから、平成31年度以降は新たに当事業を活用した市町村はございません。 次に、市町村に高齢者の住まいの確保事業の導入を促すための工夫や取組についてお尋ねがございました。 現在、新たに進めています高齢者の住まい確保対策事業は、有識者などで構成する高知県在宅療養推進懇談会から、中山間地域における効率的なサービス提供の確保という考えの下、医療や介護サービスと連携した住まいの整備について提言をいただいたものでございます。 この提言を踏まえ、各県内市町村に対して、活用できる既存施設の有無や整備の意向について調査を実施いたしました。先ほど知事からもお答えがありましたように、これまでに旧小学校跡地を活用した小規模多機能型居宅介護事業所と併せた住まいの整備や、診療所の廃止病床を活用した住まいの整備などについて提案があり、これまで市町村や関係者との検討を進めてきたところでございます。しかしながら、コロナ禍の中で市町村や運営主体となる医療法人との協議が難しい状況であることや、人材確保の課題などもあり、具体的な取組には至っていない状況になっています。 県としましては、今後とも国の補助事業の活用や県独自の支援策の創設も検討するなど、市町村と連携して、引き続き早期整備に向けて取り組んでまいります。 次に、在宅で生活をされる認知症高齢者の推計についてお尋ねがございました。 議員のお話にありましたように、本県における令和17年の認知症高齢者は約5万人になるものと見込んでおります。このうち、在宅で生活をされる方につきましては、今後高齢者人口の減少が見込まれる中で、新たな施設や病床の整備が難しいことから、現在介護施設などに入所、入居されている方約1万7,000人、それから認知症を理由に医療機関に入院されている方約400人の数に変化がないものと仮定して推計いたしますと、在宅では約3万人ということになります。これは、現状と比較して約7,000人の増加ということになります。 次に、認知症サポーターなどの整備状況や課題、また認知症初期集中支援チームなどの資質向上の取組状況についてお尋ねがございました。 令和3年12月末現在における認知症サポーターは約6万7,000人で、コロナ禍以前は年間約5,000人が新たに養成されておりました。ただ、現在は養成講座の開催が難しい状況になっており、この数のままでございます。また、認知症サポーター養成講座の講師となるキャラバン・メイトは約1,500人となっており、サポーター同様、養成が難しい状況になっております。 一方、令和元年度開始されました認知症サポーターを中心とした地域の支援者で構成するチームオレンジは、現状では黒潮町のみ設置されるということにとどまっております。複数の専門職による認知症初期集中支援チームは、県内全市町村で46チームが設置されており、認知症の方や家族からの相談などに対応する認知症地域支援推進員も、全市町村で104名が配置されています。 こうした中での課題といたしましては、支援チームや推進員が関わる段階で既に認知症が中等症、重症になっているなど、初期の段階で対象者の把握ができていないという事例がございます。こうしたことから今後は、専門職のアドバイザー派遣や先進事例を共有する研修会等の開催など、市町村と連携してチーム員や推進員の資質向上に向けた取組を進めてまいります。 次に、若年性認知症支援コーディネーターの活動状況と、今後の若年性認知症の方への支援についてお尋ねがございました。 若年性認知症支援コーディネーターの役割は、御本人や御家族からの相談対応や市町村をはじめとする関係機関との連絡体制の構築、また若年性認知症に係る知識の普及啓発がございます。 本県では、県の委託事業により高知大学にコーディネーター1名を配置いただいております。その活動状況は、電話などでの相談対応が年間おおむね400件程度であり、相談内容によっては相談者の自宅はもちろん、職場やハローワークなどへ同行し、個別事例ごとに就労継続などの支援を行っております。また、市町村や関係機関が個別支援などについて協議する場に出向いて専門的助言を行ったり、認知症サポーター養成講座など開催された場合は講師を務めるなど、若年性認知症の普及啓発も行っていただいております。 今後の本県における若年性認知症の方への支援につきましては、認知症疾患医療センターやコーディネーターによるこれまでの取組に加えまして、認知症の御本人から自己の体験などを語っていただく希望大使を任命し、社会参加を促す活動も行っていきたいと考えております。こうした取組を通じまして、若年性認知症の方の就労や社会参加の支援を図ってまいります。 次に、医療費適正化計画の進捗状況と、今後の計画達成に向けた課題及び取組についてお尋ねがございました。 第3期医療費適正化計画における目標については、全国の目標を保険者全体で達成するという方針の下で定めたものであるため、現状からすると高い目標となっている項目もございます。 このため、昨年度までの進捗状況では、後発医薬品の使用促進のように、目標80%に対して約79%とほぼ達成しているものがある一方で、特定健診受診率などのように、計画策定時からは数値が改善しているものの、目標までの開きが大きいものがあるなど、項目によって様々な状況となっております。 今後、取組を進めていく上での課題と対応といたしましては、例えば特定健診では、国保加入者の特に若い世代の受診率が低いことから、そうした世代を中心とした受診勧奨の強化。たばこ対策では、依然として高い喫煙率を下げるための効果的な禁煙啓発の実施などから禁煙治療につなげること。生活習慣病対策では、特定健診などから適切に医療につなげるため、医療機関との連携による対策の強化といったものがございます。 本県の計画では、県民の皆様が健康になることを目的としており、その結果として医療費の適正化が図られることを目指すものでございます。引き続き、それぞれの項目について、PDCAをしっかりと回し、目標が達成できるように取組を進めてまいります。 最後に、本県の出生数の推移と低出生体重児の状況についてお尋ねがございました。 本県の出生数は、1980年には9,378人であったのが、20年後の2000年には6,811人、一昨年の2020年には4,082人と減少し続けております。日本全体の出生数は、1980年の約157万人から2020年には約84万人と47%減少していますが、高齢化が全国よりも進んでいる本県では約56%減少しており、全国と比べて減少割合が大きくなっております。 また、お話にありましたように周産期医療の進歩により、低出生体重児の出生割合は全国的に上昇しております。本県においても、1980年に6.8%であったものが、2020年には9.5%というふうに上昇いたしております。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、現在の養護老人ホームの収容の余力と契約入所の状況などについてお尋ねがございました。 令和元年度の県内11施設の養護老人ホームの平均入所率は97.2%となっており、全国の平均入所率89.9%と比較すると、7.3ポイント高くなっております。 養護老人ホームにおける契約入所制度は、居宅での生活が困難な高齢者の地域における受皿となるため、市町村による措置入所に支障がない範囲で、課題を抱える方を受け入れるものです。本県における契約入所の状況は、入所率が高く、収容の余力が少ないことから、これまでの実績はありません。また、全国的にも実施件数は少ないとお聞きしております。 本県の入所率から見ると、契約入所の促進には様々な課題がありますが、機会を捉えまして、市町村や関係団体等と契約入所に関する協議を行ってまいります。 次に、介護職員等特定処遇改善加算の取得割合の向上のための取組などについてお尋ねがございました。 県では、加算の取得向上に向けて、関係団体の研修会や介護報酬改定の説明会などの機会を捉え、積極的な活用を働きかけてまいりました。令和3年4月1日時点の県内事業所の加算の取得率は約50%で、令和2年4月と比べ4ポイントの増となっておりますが、全国平均の66%に比べると低い状況になっております。 事業所からは、関係書類作成の事務負担が大きいなどの声をお聞きしております。事業所の事務負担の軽減につきましては、国において複数書類を一本化した様式例が示されておりますが、県内ではこの簡素化に対応できていない市町村もございます。市町村と連携し、事業所の事務負担の軽減に取り組んでまいります。また、事業所に対しましては、社会保険労務士などから助言・指導を受けるための費用を補助する、県の処遇改善加算取得促進支援事業の活用を働きかけるなど個別の支援を行ってまいります。 次に、補助金などを活用した賃金改善に向けたこれまでの取組や、賃金改善を行う事業所の見込みについてお尋ねがございました。 県としましては、事業所の補助金の活用を支援するため、1月以降国の関連通知を速やかにホームページ等で周知するとともに、必要に応じて個別に事業所へ通知するなど周知に努めてきたところです。その結果、2月28日時点で1,112の事業所から補助申請に向けた書類の提出があり、補助金の対象となる事業所の約7割が補助金を活用する見込みとなっております。引き続き、4月15日の提出期限までに、より多くの事業所が活用いただけるよう、働きかけを行ってまいります。 また、10月からの新たな制度による賃金改善措置の継続につきましては、国の制度に関する情報を速やかに事業所に周知し、円滑な処遇改善の継続に努めてまいります。さらに、社会保険労務士などから助言・指導を受ける助成制度の活用を働きかけるなど、事業所への個別支援を行ってまいります。 次に、事業所が国の処遇改善のための措置を十分に活用できるような取組についてお尋ねがございました。 お話のありましたように、これまでの介護職員処遇改善加算を加えた3種類の制度をより多くの事業所に活用いただくためには、事業所の事務負担の軽減が課題となっております。 このため、国が示します申請書類の簡素化に対応できていない市町村への働きかけや、全市町村を対象とした申請用紙の一本化に向けた検討を行うなど、事業所の事務負担の軽減を図ってまいります。さらに、事業所に対しましては、セミナーの開催や解説動画の作成、申請手続のマニュアル作成などに取り組んでまいります。 次に、軽費老人ホームなどの職員の処遇改善についてお尋ねがございました。 軽費老人ホームの事務費補助金と養護老人ホームの措置費につきましては、一般財源化以降国の取扱指針を基に各自治体が措置費などの単価を定めております。 昨年12月の国からの通知を踏まえ、県が所管する軽費老人ホームにつきましては、来年度から3%程度を補助金に上乗せする処遇改善に取り組みます。また、市町村が所管する養護老人ホームは、市町村において、国からの通知を踏まえ、適切に対応されるものと考えております。 次に、障害者差別解消法が改正されたことによる今後の対応についてお尋ねがございました。 改正法の施行は、令和3年6月4日の公布日から3年以内とされております。今回の改正で、事業者による合理的配慮が義務づけられたことから、法の施行に向けて事業者への周知を図ることが重要だと考えております。 これまで県では、障害や障害のある人への理解の促進のため、毎年12月の障害者週間に合わせた啓発や、市町村の担当職員への研修などを行ってまいりました。 今後は、国や市町村と連携した啓発を強化するとともに、人材育成研修などを実施、相談体制の強化に努めてまいります。あわせまして、より専門的な相談に対応できる体制の整備や、紛争解決の仕組みの整備を検討することとしております。また、令和4年度中に改定が予定されている国の基本方針に沿って、具体的な取組の強化策を検討するとともに、必要な財源の確保について全国知事会を通じて要望してまいります。 次に、片耳難聴者など聴覚障害者への支援についてお尋ねがございました。 片方の耳が聞こえづらい、もしくは全く聞こえない片耳難聴者は、身体障害者手帳の交付対象とはなっておりません。そのため、18歳未満の難聴児に対しましては、市町村が行う補聴器等購入時の助成事業に対し、県から補助金を交付しております。この事業は、早期から補聴器を使うことで、聴力の改善や言語の発達に向けた効果が見込まれることから、難聴児の発達支援を目的としているものです。 一方で、御指摘のとおり、この助成制度の対象者が18歳以上になると全額自己負担となり、高額の補聴器を耐用年数の5年ごとに更新していくには、かなりの経済的な負担があるものと認識しております。 片耳が聞こえない場合には、仕事や生活面でかなりの支障が生じることから、専門医の意見も踏まえながら、現行の補聴器等の助成制度につきまして、対象者及び対象機器の拡充に向けた検討を進めてまいります。 次に、低出生体重児とその家族への子育て支援と、集いの場の必要性についてお尋ねがございました。 早産などにより小さく生まれたお子さんの母親は、思い描いていた出産とは異なる状況に直面し、お子さんの育児に困難を感じたり、成長発達への不安が増加したりいたします。 このため、地域では、各市町村の子育て世代包括支援センターを中心に、個別の支援を行っております。新生児訪問などを通じまして、一人一人に寄り添った相談支援を行うなど、継続的な支援を行っているところです。 一方、母親が悩みを抱えて孤立しないためには、同じ体験を持つ方々が集まり、悩みを共有することも大切となってまいります。全国では、NICU--新生児集中治療室に入院していたお子さんの母親などによるサークル等が31か所あり、SNSも活用して、つながりをつくられているとお聞きしておりますが、県内ではそういったサークルは確認できておりません。 今後は、該当する方々に集いの場の要望やつながりの持ち方などについて、アンケートなどで意向をお聞きした上で、市町村と情報共有を図り、御家族が安心して子育てできるよう、地域の実情に合った集いの機会づくりに取り組んでまいります。 次に、特定不妊治療を受けている方の人数と、保険適用後の経済的負担の軽減についてお尋ねがございました。 県による特定治療支援事業への申請件数は、令和2年度は319件であり、中核市として別に助成を行っている高知市の483件と合わせると、802件となっております。また、本年度は、12月末時点での県への申請件数は261件、高知市は434件、合計695件となっております。 現行の助成制度は、特定不妊治療費の30万円を上限として助成することとなっております。治療内容によって治療費は大きく異なり、詳細な試算は困難ですが、例えば、1回当たり50万円の治療費がかかった場合、現在の制度では20万円が自己負担額となります。医療保険適用後は、治療費50万円のうち、3割に当たる15万円が自己負担額となり、5万円が軽減されるとともに、高額療養費の助成が適用される場合もありますので、現行の制度よりさらに自己負担が軽減されます。 一方、比較的少額の治療の場合は、現行の助成制度では自己負担は不要になりますが、保険適用後は3割の負担となるため、新たに自己負担が生じることになります。 治療内容により差はありますが、保険が適用されることによりまして、過重な負担が軽減され、多くの方が経済的なメリットを受けられることが見込まれております。 次に、不妊治療をされている方への周知や医療機関との連携についてお尋ねがございました。 現在、治療を受けられている方や不妊に悩んでおられる方への周知につきましては、医療機関や市町村の窓口でお知らせするとともに、県のホームページやテレビ、ラジオ、広報紙など様々な媒体を活用した広報を行ってまいります。 また、医療機関との連携につきましては、保険適用が始まる前に、治療に当たる医療機関を直接訪問し制度の確認を行うとともに、保険適用後も引き続き情報共有を図ってまいります。 次に、マッチングシステムの課題と今後の取組についてお尋ねがございました。 出会いの機会を応援するマッチングシステムにつきましては、昨年度に実施した調査で、マッチングシステムを知らないと回答した方は約70%と、認知度の向上が課題となっております。そのため、今年度は若い世代をターゲットとしたキャンペーンなどに取り組み、今年度の新規登録者数は前年同期比で139%となっております。 来年度は登録者数を、2月21日現在の781人から870人、「高知で恋しよ!!応援サイト」へのアクセス数を令和2年度の約13万回から16万回を目標に、情報発信をより一層強化してまいります。 そのため、高知県少子化対策推進県民会議の構成団体や高知家の出会い・結婚・子育て応援団の登録企業、市町村などと連携した広報デジタルプロモーションを展開してまいります。 最後に、出会いのイベントの開催や参加者の増加に向けた取組についてお尋ねがございました。 高知家の出会い・結婚・子育て応援団が主催する出会いイベントは、令和元年度は124回、2,343人の参加者に対しまして、令和2年度は45回、646人と、コロナ禍の影響が大きく出ております。 一方、令和3年度の内閣府の調査では、コロナ禍で人と接する機会の減少や将来への不安などから、結婚への関心が高くなったと回答した方が約3割となっておりまして、コロナ禍を契機とした結婚への機運の高まりも見られます。このため、アフターコロナを見据え、来年度はイベントへの参加者3,600人を目標に、これまで以上に多様なイベントの開催を支援してまいります。 まず、オンラインや物づくり体験、アウトドアなどを取り入れたイベントなどの実施を支援してまいります。また、補助金の要件となる募集定員を20名以上から10名以上に緩和し、小規模なイベントの開催を後押ししてまいります。さらに、高知県少子化対策推進県民会議や市町村などと連携した広報活動を展開し、イベントへの参加につながるよう取り組んでまいります。   (教育長伊藤博明君登壇) ◎教育長(伊藤博明君) 今般の国の補助を活用した保育士、幼稚園教諭等の賃上げについてお尋ねがありました。 県教育委員会では、今回の補助制度につきまして、事業の実施主体である市町村に対し、本年2月分から賃金の引上げが必要なことなど事業の実施要件や、賃金規程等の改定に時間を要する場合は3月中に2月・3月分をまとめて支払うことが可能であること、また実施要件を満たしていれば令和4年度に申請しても、2月分から補助対象とできる取扱いなど、国から示された情報を速やかに提供してきたところでございます。 さらに、民間に比べ公立施設の補助申請が低調であったことから、市町村に対しましては、特に会計年度任用職員に係る申請の再検討を促してきております。 結果としまして、公立施設については全体の31.1%となります41施設から、民間施設につきましては全体の87.6%に当たる162施設から申請がありました。公立施設については、民間施設に比べ一定給与水準が高いなどの理由から申請を見送る市町村が多くなっている状況です。 今回の処遇改善につきましては、本年10月以降は公定価格の一部として支給されることが予定されております。このため国に対して、必要な財源も含め、保育現場の職員の処遇改善が継続して行われるよう、全国知事会などを通じて働きかけてまいります。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 自治体が運営する文化ホールなどの施設における車椅子席の確保についてお尋ねがございました。 現在、県立の文化ホールにつきましては、県民文化ホールのオレンジホールでは、8名分の車椅子席を確保するとともに、ホール1階前方の座席を取り外し、通常はオーケストラピットとして使用している部分を活用することで、50名分程度の車椅子席のスペースを確保することが可能となっています。他方、県民文化ホールのグリーンホールでは、車椅子席として確保できるのは3名分、美術館ホールでは12名分という状況であります。 障害のある方々が文化芸術を鑑賞しやすい環境を整備するなど、誰もがひとしく文化芸術を楽しむ機会を確保することは、大変重要であると考えております。 本年度見直しを行っております高知県文化芸術振興ビジョンにおきましては、基本理念である文化芸術の力で心豊かに暮らせる高知県の実現に向け、障害の有無にかかわらず、文化芸術を鑑賞、参加、創造することができる機会の促進に努めることを新たに盛り込んでおります。 車椅子席のさらなる確保につきましても、障害者団体等の御意見をお聞きするなど、具体的なニーズの把握に努めた上で、どのような対応が可能であるかを検討してまいりたいと考えております。 また、県立以外の文化ホールも含め、県内31の文化ホールで組織されている高知県文化施設協議会などのネットワークを活用し、子ども・福祉政策部とも連携して、障害のある方が利用しやすい環境整備に向けて、調査研究や情報交換などにも取り組んでまいりたいと考えております。   (土木部長森田徹雄君登壇) ◎土木部長(森田徹雄君) まず、旭小学校のグラウンドに、雨水排水を一時的にためる校庭貯留施設の整備の検討についてお尋ねがございました。 校庭貯留施設は、降った雨を一時的に学校のグラウンドにためて河川に流れ出る量を少なくし、河川の水位上昇を抑えることで、浸水被害を軽減する施設です。 江ノ口川は、河川沿いに多くの人家が密集しており、河川の拡幅工事が困難であることから、これまで高知商業高校と高知小学校で校庭貯留施設を整備しており、この結果、高知小学校付近で流量の約7%を軽減する効果を確認しております。校庭貯留施設は、現在策定中の流域治水プロジェクトにおいても、重要な対策の一つとして位置づけることとしており、さらなる整備に向けた検討を進めることとしております。 令和4年度には、旭小学校に校庭貯留施設を整備した場合の効果について、調査に着手する予定でございます。この調査により、江ノ口川流域で浸水被害の軽減効果を確認した後、高知市とも連携し、施設整備に向けた取組を進めてまいります。 次に、第2期高知県耐震改修促進計画の目標数に対する進捗状況や課題並びに避難路沿道建築物の耐震化の取組についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 第2期高知県耐震改修促進計画では、一般の住宅のほか、多数の者が利用する建築物や、緊急輸送道路等を閉塞するおそれがあり、倒壊した際に撤去に期間を要する沿道建築物などについて、令和7年度における目標耐震化率を定めております。 令和2年度までの進捗状況は、一般の住宅で令和7年度の目標93%に対し86%、多数の者が利用する建築物においては目標97%に対し90%となっており、おおむね順調に進んでいると考えております。 一方、緊急輸送道路等を閉塞するおそれのある沿道建築物などについては、令和7年度におおむね完了という目標を設定しておりますが、現在75%の進捗となっており、取組を強化する必要があると考えております。これらの建物は、鉄筋コンクリート造など木造以外の建築物が多く、木造に比べ改修費用が高くなることや、改修中の仮住居が必要となるなど、所有者の金銭面、心理面の負担が大きいことが、耐震化が進んでいない理由と考えております。 沿道建築物の耐震化に要する工事には、限度額の5分の4を国、県、市町村が一体となって補助する制度などがありますので、戸別訪問などによって丁寧に説明し、所有者の負担感を解消することで、耐震化を進めてまいりたいと考えております。 ◆24番(黒岩正好君) それぞれ丁寧な、また前向きな御答弁いただきまして、大変にありがとうございました。 第2問、知事にお伺いをしたいと思います。不妊治療の件でございます。先ほど知事からも説明がありましたとおり、高知県あるいは高知市、それぞれが対応している状況の中で、平成16年から不妊に悩む方への特定治療支援事業が始まって、今日まで様々な多くの方々がこの事業を活用して子供さんを欲しいという方がたくさんいらっしゃったわけでありますし、今回の保険適用によって43歳という区切りがついたわけでありますが、それでもなおかつその年を超しても子供さんを希望する、そういう方々もいらっしゃるということも踏まえて、高知県としては、若干状況は変わりますが、今の制度をそのまま維持していくということであるわけであります。ところが、高知市においては、この保険適用が開始されるから支援制度は終了すると、こういう政策的判断をするようであります。 ところが、先ほど部長から、また知事からも種々お話がありましたとおり、この事業を活用する人数は、県が管轄する33市町村よりも、高知市1市だけで人口が多いわけでありますので、対象人数が大変多いわけであります。 そうなりますと、高知市の政策判断ということから、仕方ないという側面もあるかも分かりませんが、けれどやっぱり、県全体的なことを考えますと、いろんな形で郡部の他の市町村は適用されているけれど、多くの方々から高知市はなぜ駄目なんでしょうかということが出てくると思うんですね。 そこはこれまでも、昨年から担当課あるいは部長同士で様々と検討、打合せ等されたようでありますが、事ここに至っては、明日から高知市議会も開会されますし、4月から保険適用されるわけでありますから、知事としてトップ会談をして、やはり足並みそろえて、この負担軽減に対する希望者が多いわけでありますので、その対応というものをしっかりと市長にお話をしていただいて、その上での結論というものが必要じゃないかなと思うわけであります。 そういう希望をされている方が大変多いということを、どうか市長さんにもよく理解していただいて、トップ会談をしていただきたいと思いますが、知事の思いをちょっとお聞かせいただきたいと思います。 ◎知事(濱田省司君) 黒岩議員からの再質問にお答えをいたします。 ただいま御指摘ございましたように、不妊治療の助成の対象者といいますのは、中核市であります高知市のほうが、県で担当しております高知市以外の方よりも多いという状況にあります。そうした状況もございますので、私どもも、今議員からもお話しありましたように、高知市にも、43歳以上について、足並みをそろえた形で助成を継続するということについて、働きかけを何度も行ってまいったわけでございますけれども、今お話がありましたように、市の判断といたしましては、今回保険の適用外となるということをもって、市のほうでの助成は行わないという判断をしたというふうにお聞きしているところでございます。 この問題は、市が中核市であるということでございますから、県と中核市、言わば事業の実施主体、あるいは事務の実行主体といたしまして、対等の立場にあるということではございます。また、市のほうも、いろいろと財政事情等ある中で、いろんな施策の優先順位の判断をされたということであろうかと思いますので、その意味で、正直、あまり干渉めいた形で市に対しての過剰な働きかけというのはいかがなものかと、差し控えるべきではないかというふうには思います。 そういったことも考えますが、片方でできるならば県と市が足並みそろうような形で、助成が継続できないかという思いはございますので、今回県議会でこうした御議論があったということも含めまして、市に対しては、県の考え方、改めてお伝えいたしまして、何とか再考が願えないかという点については、私どもの意向を改めて伝えたいというふうに考えております。 ◆24番(黒岩正好君) ありがとうございます。 知事が市長と話し合っている中で、もう市のほうの政策判断ということであれば仕方ないと思いますので、やるべきことはきちっとやった上で、できるだけ県市協調して対応できればありがたいなと、こう思っております。 ともかく、新年度を迎えるに当たって様々な課題があると思いますけれども、一つ一つ真っ正面から捉えながら、どうか様々な政策遂行のために頑張っていただきたいなと、こう思います。 以上で、一切の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤漠君) 暫時休憩いたします。   午後3時1分休憩-----------------------------------   午後3時25分再開 ○議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 9番土居央君。   (9番土居央君登壇) ◆9番(土居央君) 自由民主党の土居央でございます。昨日、非難決議もいたしましたけれども、ロシアによる非道な侵略行為が早急に終結して、ウクライナに平和が戻りますことを心から願って、質問に入ります。 まずは、アジア太平洋地域の、包括的経済連携協定についてであります。 本県の現下最大の課題は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の徹底を図りつつ、傷ついた県民生活と経済を立て直していくことにあります。経済については、経済成長のマスタープランでもある高知県産業振興計画を柱に、今後の成長の原動力となるデジタル化、グリーン化、グローバル化を柱とした強化が図られているところです。 現在、策定が進められています第4期計画ver.3の重点ポイントとして、輸出を見据えた地産外商のさらなる推進を据え、主力であるユズや水産物、土佐酒など食品を中心として、これまで以上に海外市場に打って出る方針を打ち出しています。本県の食品輸出額は、コロナ禍でありながらも増加の一途をたどっており、令和2年度は前年度より1.6億円増の16.2億円、産業振興計画創設当初の平成21年から11年間で約32倍に増加しており、今後も期待ができる分野です。 そうした中、本県の輸出をさらに強力に後押しするものと期待できるアジア太平洋地域の、包括的経済連携協定、RCEP協定が本年1月1日に発効いたしました。日本や中国、韓国、東アジア諸国連合など15か国が加盟し、世界の人口と国内総生産、GDPの共に3割を占める巨大経済圏が誕生したということになります。政府試算では、日本のGDPを約2.7%押し上げ、57万人の雇用効果があるとのことで、これは環太平洋連携協定、TPP協定のGDP約1.5%増と46万人の雇用効果予測を、いずれも上回っています。 また、RCEP協定によって統一されたルールによる多国間の貿易体制に、世界最大の人口を擁する中国が加盟する意義は大きく、国連貿易開発会議、UNCTADの試算では、域内の貿易額はその2%弱に相当する5兆円ほど押し上げられ、日本が加盟国で最大の恩恵を受けるとされています。 具体的には、日本が輸出する工業製品にかかる関税は、将来的に全品目の92%が撤廃される一方で、日本が輸入する農林水産品に課す関税の撤廃率は約5から6割と、TPPの82%より大幅に低く、米や麦など重要5品目は関税削減・撤廃の対象から外されるなど、国内農業への配慮もされています。 そこで、本県では、RCEP協定発効により、県産品の輸出振興に向けてどのような具体的効果を見込んでいるのか、またRCEP協定発効の成果を最大限生かすためにどのような取組をしていくのか、知事にお聞きいたします。 次に、原油高騰対策について質問をいたします。 RCEPは、アフターコロナを見据えた本県経済のV字回復にも、絶好の環境を提供してくれるものと期待していますが、一方で、そうした期待に水を差す課題として心配されるのが、原油高騰問題です。 昨年から、全国的に深刻化してきた原油価格の高騰により、コロナ禍により大きなダメージを受けた本県事業者、特に中小企業、農林水産業者、交通事業者はさらなる試練に直面しています。今般の世界情勢により、先行きにも明るい兆しは見えていません。 国では、昨年11月に閣議決定した経済対策において、エネルギー価格高騰への対応を位置づけ、一定の事業者支援を実施していることは承知していますが、本県で暮らしている中で、その成果を実感できるには至っていません。その理由は、県民誰もが感じている、なぜ本県は全国に比べてガソリン価格が高いのかという疑問に集約されているように思います。 ガソリン価格やサービス情報などを共有するインターネットサイトによりますと、2月17日には本県は、ガソリンが全国一高い都道府県になっており、そのときの本県のガソリン平均価格は177.8円で、最も安い和歌山県が162.7円と、15円もの格差がありました。 各都道府県も、国の支援制度を活用した対策を講じているようですが、ガソリン価格の全国格差の是正に焦点を当てた制度はないように思います。本県としては、コロナ禍で傷ついた産業の回復を図っていくためには、全国に比べての地理的ハンデに加えて、こうしたガソリンを含めた燃料価格の過度なハンデを負うことは深刻な問題であり、その是正対策が必要ではないかと思います。 そこで、まず原油価格高騰が現在本県経済にどのような影響を及ぼしているのか、今後の見通しも含めて、知事にお聞きをいたします。 また、2点目として、全国的にも高いガソリンなど燃料価格の実態についてどのように考えているのか、文化生活スポーツ部長にお聞きをいたします。 次に、カーボンニュートラルの実現に向けた企業版ふるさと納税制度の戦略的な活用について質問をいたします。 御承知のとおり、企業版ふるさと納税は、地域活性化に向けた地方自治体の事業に寄附をすると、法人関係税が軽減される仕組みです。平成28年度の制度創設当初は、知名度不足や制度上のメリット不足などで利用は低迷をしていたものの、令和2年度に税の軽減額を寄附額の最大6割から9割まで引上げ、かつ手続の簡素化を図った結果、制度設計以降、累計で428にとどまっていた認定自治体数は、現在では46都道府県、1,260市町村にまで急増しています。 財政の厳しい自治体にとっては、貴重な財源になる一方で、企業側も、地域貢献に熱心な姿勢をアピールし、自治体との関係構築を通じて、将来的な事業展開につなげるメリットがあると言われています。 企業版ふるさと納税の対象事業は、内閣府により地域再生計画としての認定を受けることが前提ですが、高知県では基本的に、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略を地域再生計画として位置づけています。つまり、総合戦略を構成する高知県産業振興計画や日本一の健康長寿県構想に登載された事業、また、中山間地域対策として実施される事業などが対象となっており、これらの事業を寄附金の形で応援いただくようお願いをしていると聞いています。 令和2年度、令和3年度の寄附実績を確認しましたが、中山間対策から子育て支援、観光などの各種産業振興の事業、年間7から8の事業で、1事業当たり平均300万円前後の寄附を受けており、トータルで令和2年度が2,000万円強、令和3年度は3,000万円強と、若干増加傾向にあるようです。 こうした状況に異を唱えるわけではありませんが、全国に目を向けますと、都道府県でも市町村でも、1事業で億単位の寄附を受ける事例を耳にすることが多くなってきています。私は、こうした全国の状況に興味を持ち、調査をいたしました結果、分かったことがございます。今、この企業版ふるさと納税をめぐる背景には、税額控除の問題だけではなく、サステーナビリティーや環境問題、カーボンニュートラルなどに対する企業姿勢への圧力が、我々が思っている以上に高まっているということでございます。 具体的には、近年、世界的なSDGsの追求やESG投資の浸透、また、日本株に投資している国内外の機関投資家や資産家の責務を明確化した責任ある機関投資家の諸原則、いわゆる日本版スチュワードシップ・コードの2020年の改訂や、環境問題に関するコーポレートガバナンス・コードの2021年の改訂と東京証券取引所の再編などを背景に、サステーナビリティーや環境問題、カーボンニュートラルなどに対する様々な動きに対して、とりわけ上場企業や大企業の経営陣は、株主や金融機関、取引先などのステークホルダーとの関係で、その対応が必須のものとなってきています。 大企業各社のホームページには、必ずと言っていいほどSDGsやカーボンニュートラルなどへの貢献に向けた取組が、IRとの関連で語られています。IRというのは、企業の株主や投資家向けのPR広報のことでございます。 要すれば、我が国の企業は、地球環境問題、カーボンニュートラル、サステーナビリティーといった課題への対応方針を明確にして、その情報を開示しなければ、出資も融資も受けづらい環境になってきているということであり、さらに政府も、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、様々な基金の設置や予算事業を実施することで、こうした分野にしっかりと対応し、イノベーションを起こしたり先駆的な取組を行う企業こそ、持続的な成長が可能となるという方向性を後押ししている状況だということでございます。 記憶に新しいところでは、先週、三菱UFJフィナンシャル・グループが、大阪府の脱炭素技術開発への補助事業に対して5億円の寄附を行う記事を見ましたし、昨年は東京電力や中部電力のグループが、北海道厚真町の再生エネルギー地産地消と防災対策と6次産業化、これらのプロジェクトに7億4,000万円の寄附をしたことなど、これ以外にも、一定の規模感を持つ企業版ふるさと納税制度の活用例が増えているように感じています。 したがいまして、今、我が国の企業、とりわけ大企業は、カーボンニュートラルに向けた問題に対応していく必要に迫られており、例えば、この方向性に刺さるような企業版ふるさと納税向けのプロジェクトを打ち出すことができれば、企業にとっても魅力であり、自治体にとっても大いに営業余地があるものと考えますが、この点に関しての知事の御見解をお聞きいたします。 私は、本県ではこれまでの間、SDGsの該当項目の明示はあるものの、カーボンニュートラルに結びつく分野での活用例が少ないように感じています。 今後は、既存事業についての広報強化や、こうした分野で企業マインドに刺さる事業メニューを創設することや、あるいはパートナー企業を募集し、企業とコラボして、ゼロから事業を練り上げるというアプローチもあっていいのではないかと考えますが、総務部長にお聞きをいたします。 また、今後予定される本県の事業の中で、積極的な活用を図るべきではないかと私が思いますのが、産業振興計画のグリーン化に関する事業です。本県では、今、第4期産業振興計画ver.3に向けての強化ポイントとして、連携テーマの一つにグリーン化を掲げて、それらのプロジェクト化を図る方針と、推進団体や大学発ベンチャー、あるいは意欲ある企業が主体となって取組を進めていく方針が示されています。 さきのフォローアップ委員会では、グリーン化の促進について、プラスチック代替素材活用プロジェクト、グリーンLPガス生産プロジェクトなどの説明がありましたが、いずれもカーボンニュートラル、サステーナビリティーといった価値の実現に直結する事業であるとともに、新たなイノベーションの創出が期待され、将来的に企業版ふるさと納税につながることが見込めるなど、企業マインドに深く刺さる取組だと思います。 そこで、将来の企業版ふるさと納税によるプロジェクトへの寄附も視野に入れて、これらの取組を推進していくに当たっては、企業の共感を得ながらプロジェクトを進めていくことが必要だと考えますが、県ではどのように進めていこうと考えているのか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。 次に、カーボンニュートラルの実現に向けた企業や市町村への支援についてお聞きいたします。 産業振興計画では、連携テーマとしてグリーン化の促進を掲げるとともに、新たな産業の芽となるグリーン化関連産業の育成を主な強化策として打ち出しています。グリーン化関連産業の育成に向けては、それぞれの企業が環境負荷の低減に資する生産設備の導入や、製品、技術の開発などの取組を進めることが必要ですが、加えて、グリーン化の視点で新たなビジネスチャンスをつかみ、新事業を展開していくことも重要だと考えます。 例えば、これまで廃棄されていた余剰原材料や加工過程で出てくる残材を有効活用した新製品開発など、新たなビジネスとなる可能性があると考えます。しかしながら、製品化には、研究開発や実証が必要になりますので、十分なリソースを持ち合わせていない県内企業にとって、幾分ハードルが高いのではないかと考えます。 県は、企業が行うグリーン化に向けた新事業展開をどうやって支援していくのか、産業振興推進部長にお伺いいたします。 次に、脱炭素先行地域づくりについて質問いたします。国においては、2020年10月の菅前総理による2050年カーボンニュートラル宣言以降今日に至るまでの間、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略やみどりの食料システム戦略などの新たな計画を策定するとともに、第6次エネルギー基本計画の策定による2030年の電源構成における再生可能エネルギー比率の引上げや、地球温暖化対策計画の改定による2030年度の温室効果ガス排出量の削減目標の引上げなど、脱炭素社会の実現に向けた取組を加速しています。 昨年6月には、地域の成長戦略ともなる地域脱炭素の行程と具体策を示す地域脱炭素ロードマップが示されました。その中で、国は、今後5年間に政策を総動員し、人材、技術、情報、資金を積極支援することとしており、2030年までに少なくとも100か所の脱炭素先行地域を創出するとともに、全国で自家消費型太陽光発電、省エネ住宅などの8つの重点対策を実施するとの方針を打ち出しています。 この地域脱炭素ロードマップに基づき、令和4年度には、地域の脱炭素化に取り組む地方公共団体などを複数年度にわたり継続的かつ包括的に支援するスキームとして、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金が設けられることになっています。 本県のカーボンニュートラルの実現に向けては、県だけでなく市町村も含め、こうした国の制度を有効活用していくことが必要ではないかと考えます。県内でも複数の市町村で、この脱炭素先行地域への応募を検討したいとの声があると聞いています。脱炭素先行地域に認定されることは、この交付金を活用できることに加えて、脱炭素化の取組の財源に企業版ふるさと納税を活用する際においても、企業に対してPRができるなど、そのメリットは大きいのではないかと考えます。こうした点も踏まえ、私は、ぜひ多くの県内市町村に、脱炭素先行地域への応募に挑戦してもらいたいと考えています。 県は、高知県脱炭素社会推進アクションプランにおいて、脱炭素先行地域を目指す市町村を支援していくこととしていますが、どのように取り組んでいくのか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。 次に、中山間振興と地域おこし協力隊について質問いたします。 令和3年から令和4年にかけて実施した集落実態調査の取りまとめ状況によりますと、集落代表者の67.2%が、10年後に集落全体で衰退していると予想し、課題や悩みの上位が、人口減少、若者の不在、集落活動の担い手不足で、今後取り組みたいことのトップが外部からの移住促進だとお答えになっています。 住民アンケートにおいても、今後の集落活動の維持について、39.3%が維持できないと回答し、10年前の前回調査より12.5ポイントも増加しています。集落の活性化に必要な取組としては、移住者を受け入れる取組38.7%から、近隣の集落と連携する取組や、地域の祭りやイベント行事など人との交流の取組が上位を占め、また取組を進める上で必要な要素として、住民のやる気・意欲に次いで、集落内の若者の力、行政の導きや支援が上位となっていました。 この調査結果を踏まえますと、課題解決に向けては、地域課題に取り組む担い手となる若者であり、移住につながる可能性のある地域おこし協力隊へのニーズの高さと重要性を、改めて感じた次第です。 申すまでもなく、地域おこし協力隊は既に県の重要施策として、中山間地域振興には欠かせない存在となっています。現在本県では、31自治体で210人が隊員として頑張ってくれており、隊員数は全国3位で、人口比では1位となっています。本県は、地域おこし協力隊の受入れ先進県として支援体制のさらなる強化を図り、協力隊に選ばれて定住していただける体制づくりを、市町村と力を合わせて進めるべきだと考えます。 そこで、まずは、このたびの集落実態調査を踏まえた来年度、地域おこし協力隊の確保に向けて、どのような施策の強化を図る考えか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 私は先々週、高知県青年団協議会主催の高知家ヂノモノ・ヨソモノミーティングというイベントに昨年に引き続き参加し、地域おこし協力隊と青年団らと意見交換をしてまいりました。協力隊が定住に至らない理由については様々ですが、やはり1番は、地域に溶け込め切れない様々な事情があるものと感じた次第です。このことから本県としても、地域おこし協力隊の定着や定住に向けて、仕事や住居など様々なサポートはされているものの、行政だけでは手の届かない部分もあるのではないかとの思いを持ちました。 そうした部分のサポートについては、隊員のOB、OGが相互に連携しつつ、自らの体験を基に、現役隊員に近い立場でサポートすることが有効だと考えられますし、青年団や高知ふるさと応援隊など、地域おこしに関わる人たちによるネットワークづくりの重要性も感じるところです。例えば、国では、地域おこし協力隊OB・OGネットワークづくり推進事業も用意されています。 本県として、地域おこし協力隊の活動充実と定着率のさらなる向上を図るために、こうしたネットワークづくりにどう取り組んでいくのか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 次に、水道事業のデジタル化と水道標準プラットフォームについて質問いたします。我が国の水道は98%の普及率を達成する一方で、これまでの拡張を前提とした時代から、人口減少に伴い、既存の水道基盤を維持、持続可能なものとすることが求められる時代へと推移しています。 今、全国の水道事業者の抱える課題として、多くの水道事業者が小規模であり、経営基盤が脆弱であることに加えて、人口減少による経営状況の悪化により管路の老朽化や耐震化の遅れ、さらには適切な資産管理や危機管理対応に支障が生じているなど、将来的に水道サービスを継続できない事態が懸念されています。 そこで、令和元年10月、こうした水道事業者の課題を解決し、将来にわたり安全な水の安定供給を維持していくために水道法が改正され、広域連携の推進、水道施設台帳の作成、保管による適切な資産管理、官民連携の推進などを柱とした水道基盤の強化策を講じていく方針が打ち出されました。 また、同法では、行政の責務が明確化され、国、都道府県及び市町村は水道の基盤の強化に関する施策を策定し推進または実施するよう努めなければならない、都道府県は水道事業者等の間の広域的な連携を推進するよう努めなければならない、水道事業者等はその事業の基盤の強化に努めなければならないとして、本県としても、水道事業の広域連携に主体的に取り組むべき責務が示されています。 本県では、これまで高知県水道ビジョンを策定し、水道広域化推進プランの議論を深めているものと思いますが、本県の水道事業の将来予測とこれまでの議論を踏まえ、本県が目指すべき広域化のあるべき姿を県としてはどう考えているのか、御見解を知事にお聞きいたします。 また、令和4年9月までに全市町村は、水道施設を適切に管理するための水道施設台帳を整備し、保管しなければならないことになっています。 市町村の整備状況を、デジタル化の進捗状況と併せてお聞きしますとともに、台帳整備に当たって、市町村のマンパワー不足や財政状況を踏まえた市町村支援が必要ではないかと考えますが、健康政策部長の御見解をお聞きいたします。 水道事業の広域連携の議論が進む中で、そのネックとなっているのが、各市町村で異なるデータシステムの問題です。水道の広域連携を進めるためには、まずは、各市町村でばらばらな管理システムの統合こそ重要であり、それは水道施設台帳でも同様ですので、ぜひとも将来のシステム統合を見据えた台帳になることを期待しています。 こうしたことも含め、国は、水道事業が抱える様々な課題に対し、デジタル技術による解決を図るため、経済産業省と厚生労働省の連携による調査・実証事業で水道標準プラットフォームの仕様を作成、公開するとともに、その基盤を活用した水道情報活用システムの展開を図っていく方針を、成長戦略として打ち出しています。 この水道標準プラットフォームによるデータの標準化、システムの標準化のメリットは、事業者間のシステム共同化に向けた第一歩であることはもちろん、ベンダー・ロックインの解除による更新コストの削減、アプリケーションのベンダー間競争による多様性確保と価格適正化、BCP対応の強化など、非常に大きいメリットが考えられます。 県は広域化の指令塔として、県内市町村に水道標準プラットフォームの普及、活用を促していく必要があるのではないかと考えますが、総務部長にお聞きをいたします。 最後に、成年後見制度の充実と利用促進についてお聞きいたします。 今、厚生労働省は、これからの人口減少下での地域福祉政策の目指すべきビジョンとして、地域住民や地域の多様な主体が、分野や属性の壁を越えた協働を実践し、誰もが支え合う地域をつくっていくことを目指した地域共生社会の実現を標榜し、様々な制度改革を進めています。 これまで取り組んできた地域包括ケアシステムをさらに充実させ、今後、増加が見込まれている認知症やその他の精神上の障害があることにより、財産管理や日常生活などに支障がある人たちも、社会全体で支え合うシステムの構築を図っていこうとしています。 成年後見制度は、国が目指している地域共生社会の実現に向けた権利擁護支援の一つとして、その利用促進が望まれています。しかしながら、こうした支援を必要とする認知症の人だけでも全国で約600万人いると見られる一方で、成年後見制度の利用者数は令和2年末で約23万人にとどまっており、制度の有効活用に向けてはまだまだ課題があり、県の積極的関与も求められていると思います。 そこで、まずは県内での成年後見制度の活用状況について伺いますとともに、その実績についての子ども・福祉政策部長の御見解をお伺いします。 当政策については、平成28年制定の成年後見制度の利用の促進に関する法律による成年後見制度利用促進基本計画に基づき、施策の展開が図られているところですが、都道府県には、家庭裁判所や社会福祉協議会や関係団体等との連携の下、市町村の体制整備の支援や働きかけを行うなど広域的な観点からの体制整備について、主導的な役割を果たすことが期待されており、本県としても、行政と司法と福祉の専門職や関係機関などが一体となった、市町村を後方支援する広域ネットワークの構築に向けた議論を進めておられることと承知しています。 そこで大事なことは、こうした地域連携ネットワークのコーディネートを行う中核機関の役割をどういった機関や体制で実施するのかということや、またこれらの体制を整備した地域で権利擁護支援チームの形成を支援し、そのチームが本人への支援を適切に行うことができるよう、より実効性の高い包括的、多層的なネットワークづくりをするということだと思いますが、人材が不足する市町村が単独では取り組むことが難しい内容もありますことから、県が指導力、調整力を発揮することも必要だと考えます。 そこで、国は、家族らから相談を受け利用調整する中核機関の全市町村での設置目標を、2024年度末まで3年間先送りしましたが、県として、いつまでに設置完了を目指しているのか、子ども・福祉政策部長にお聞きいたします。 また、中核機関の設置が十分に進んでいない現状について、過去の議会答弁で、市町村における人的資源の不足が原因との分析をしていましたが、この部分こそ、県が市町村に力を貸すべきところではないかと考えます。 そこで、地域連携ネットワークづくりに当たり、多くの関係者が円滑かつ効果的に連携・協力して活動するための機能強化の仕組みづくりの視点から、県はどのような支援を行うべきと考えているのか、また様々な立場の関係者が新たに権利擁護支援に参画し、取組を広げていくための多様な主体の参画、活躍という視点から、県はどのような支援を行うべきと考えているのか、併せて子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 今回、私は、様々な成年後見人の方や専門職団体から御意見を伺ってまいりましたが、その中でいただいた現場の意見から2点質問をいたします。1点目として、権利擁護の実効性を上げるためには、本人の判断能力のあるうちから、後見人となる方や権限を決めることができる任意後見の有用性が高いこと、また国の成年後見制度利用促進基本計画では、後見類型より、より残存能力を多く有する保佐・補助類型の活用促進が示されています。これらは、これまで対応に困ってから利用することの多かった後見類型に比べ、本人の自発的意思の尊重や、能力に応じたきめ細やかな対応を図る観点から、それらの利用促進が期待されているものです。 また、任意後見は、身寄りのない方や親族から支援が得られにくい方々の、法定後見制度利用における将来の申立人不在という事態を防ぐ側面もあるとともに、市町村長申立ての必要もなくなることから、自治体の経済的、財政的にも利点があると考えられています。しかし、令和2年末時点における全国の成年後見制度の利用者数約23万人のうち、任意後見の利用者数は僅か2,655人と少なく、前年度比でもほとんど増えていない状況だと聞いています。 成年後見制度利用促進により、これまで利用の少なかった保佐、補助、任意後見の利用が促進されると、専門職後見人の絶対数の不足がさらに加速するとも考えられますが、これまでの弁護士、司法書士、社会福祉士の3専門職以外にも、行政書士をはじめとする多様な主体の参画と活躍が大きく期待されるところであります。 そこで、本県で保佐、補助及び任意後見制度の利用状況はどうか、また県はこれら制度の利用促進に向けた取組を強化すべきと考えますが、子ども・福祉政策部長の見解をお聞きいたします。 2点目として、成年後見制度の利用が進んでいない原因の一つとして、市町村や関係機関職員の経験や知識が不足しているのではとの声もありました。地域共生社会を実現するためには、様々な制度や福祉主体との協働に対する行政職員の意識改革がまずは求められると思いますが、国の基本計画の中で、関係団体との連携の下で広域的な観点から、市町村の体制整備についての主導的な役割が期待される県としては、こうした現場の声を踏まえ、どう対処すべきと考えるか、子ども・福祉政策部長にお聞きいたしまして、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 土居議員の御質問にお答えをいたします。 まず、本県の輸出振興の取組に関連をいたしまして、RCEP協定の発効により見込まれる効果と、RCEP協定を生かすための取組についてお尋ねがございました。 RCEP協定の発効によりまして、アジア太平洋地域との貿易が活性化をされることが期待できます。特に、御指摘もありましたように、世界最大の人口とマーケットを持ちます中国が加盟をしているということは、本県の輸出拡大に大きな追い風になるものと受け止めております。 この協定による効果といたしましては、まず関税の撤廃によりまして、県産品の現地での価格競争力の向上が見込まれます。また、通関手続や知的財産の保護などに関します統一ルールの整備によりまして、国ごとの不透明な商慣行が排除をされ、県内企業が安心して輸出に取り組めるようになるというふうに期待されます。 こうしたRCEP協定の発効は、県内企業にとりまして追い風となる一方で、国内外の同業者にとってもチャンスとなるということから、競争が激化するものと予想はされます。そのため、国際競争力を持ちました商品の開発に取り組むとともに、大量発注にも耐え得る態勢を構築していく必要があるというふうに考えております。 来年度は、産業振興計画にグローバル化を掲げまして、今後予想されます厳しい競争に打ち勝っていけますように、輸出拡大に向けた取組を一層強化するということといたしました。具体的には、土佐酒、農林水産物・食品、そして土佐材という3つの輸出拡大プロジェクトを立ち上げまして、官民連携で取り組む体制を整えてまいります。さらに、輸出先で求められます品質やロットといった様々なニーズに対応できますように、各企業等の施設整備などへの支援を強化いたします。 こうした企業の輸出競争力を高める施策に加え、国内外の商社と連携をいたしましたプロモーション活動を積極的に展開するということによりまして、本県産品の輸出拡大につなげてまいります。 次に、原油価格の高騰によります本県経済への影響と今後の見通しについてお尋ねがございました。 国内の施設園芸農家や漁業者などにおきましては、国のセーフティーネットによります補填が行われておりますけれども、今後の状況次第では、経営への影響が懸念をされるところであります。一方、こうしたセーフティーネットの適用がないトラックやタクシー業界においては、経営が圧迫されているというふうにお聞きをしております。 このため、県におきましては、影響を受けておられる事業者の資金繰りにも対応していくということにいたしますために、県の制度融資の一部の融資メニューに、償還期間、据置期間の延長などの特例措置を導入いたしました。 今後、ウクライナ情勢などを受けまして、原油価格はより一層上昇する可能性があります。国は、価格の高騰がどの程度長期化するかを見極めつつ、対策を講じる予定であるというふうに承知をしております。 こうした国の動向を注視いたしますとともに、引き続き県内事業者の状況把握に努めてまいります。その上で、原油価格の高騰が県経済に大きな影響を及ぼすというような状況でございましたら、その影響をできるだけ緩和することができますよう、全国知事会などとも連携をいたしまして、国に対して、さらなる対応を求めてまいりたいと考えております。 次に、企業版ふるさと納税を活用いたします企業向けに魅力的なプロジェクトを打ち出すということにつきましてお尋ねがございました。 昨年8月に、内閣府が公表しました令和2年度の企業版ふるさと納税の全国の実績は、前年度比で、金額で3.3倍、件数で1.7倍と大きく増加をいたしております。このことは、令和2年度の税制改正によりまして、制度の大幅な拡充が図られたことが大きな要因になっているということは、御指摘のあったとおりだと考えております。 本県におきましても、この制度を積極的に活用したいと考えまして、これまで中山間地域の活性化や子供の居場所づくり、観光振興など、企業にとって魅力的と思われます取組を選定し、対象事業としてPRをしてまいりました。その結果、企業版ふるさと納税の寄附実績は、これもお話をいただきましたように、徐々には増加をしてきているというところでございます。 こうした中、近年、議員から御指摘もありましたように、カーボンニュートラル、SDGsなど持続可能な社会の実現に向けた課題への対応というのが企業にも強く求められているという環境にあります。企業版ふるさと納税におきましても、これらの課題の解決に資する事業への関心が、今後ますます高まってくるということは想定をされます。 本県といたしましても、こうした流れをしっかりと捉えまして、企業版ふるさと納税のさらなる呼び込みにつなげられるように取り組んでまいります。具体的には、来年度本県では脱炭素社会推進アクションプランに基づきまして、カーボンニュートラルの実現に向けて、高知県らしさを生かした取組、これを幅広い分野で展開いたします。この取組を企業版ふるさと納税の対象事業に加えまして、県外事務所などを通じて、企業に積極的にPRをしたいと考えております。 加えて、カーボンニュートラル以外の事業につきましても、企業の関心の高い魅力的な取組をこの企業版ふるさと納税の対象事業として打ち出しまして、本県への寄附を一層呼び込んでまいりたいと考えております。 最後に、本県が目指すべき水道広域化のあるべき姿はどうかという点についてお尋ねがございました。 水道事業におきましては、全国的に見ましても、人口減少に伴います水道料金収入の減少、あるいは老朽化した水道施設の更新、耐震化などに要する投資コストの増大といった点が、将来に向けた大きな課題となっているところでございます。とりわけ本県におきましては、南海トラフ地震や近年増加いたします豪雨災害への対策の必要性といったこともございまして、水道事業者の経営環境は、将来的に厳しさを増していくことが避けられない、そういった状況であると考えております。 こうした中、水道事業の安定的な経営に向けた対策の一環として、お話のありましたような広域化を推進していくために、県におきましては、昨年11月水道事業者であります市町村とも協議をしながら、広域化の方向性と当面の取組内容を示しました水道広域化推進プランを策定いたしたところでございます。 策定の過程におきましては、関係者の間では広域化の必要性そのものについて賛同する意見は多かったものの、一方で、本県の水道事業は、水質が良好で、浄水場などの大規模な水道施設が少ないこと、また水源が豊富で、山間部に小規模な施設が点在しているといった大都市部にはない、高知県ならではの特色があります。こういった点を踏まえますと、広域化の手法として経営統合ですとか施設の共同設置といった取組を、直ちに進めることは難しいのではないかという意見が大勢を占めたところであります。 こうした状況を踏まえまして、本県といたしましては、施設統合の実現可能性といった点につきましては引き続き模索はしてまいるということにしながら、比較的早期に一定のメリットが見いだせると考えられる手法から、先行的に取り組んでいくという考え方で対応したいと考えております。 具体的には、まず、先ほど議員からも御指摘ございました、水道事業に係りますシステムについて共同化を進めていくということ、また広域的な人的支援体制の構築をし、活用していくということを検討すること、さらには資材などの共同発注、共同委託を進めていくということ、こういった取組によりまして、地域の実情に応じた広域化を目指していくという方針で対応したいと考えているところでございます。 私からは以上であります。   (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇) ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 本県におけるガソリンなどの燃料価格の実態についてお尋ねがございました。 本県における燃料価格につきましては、経済産業省資源エネルギー庁の石油製品価格調査のデータによりますと、レギュラーガソリンの小売価格では、平成30年11月以降、全国平均を上回る状態が続いているなど、議員御指摘のとおり、他の都道府県と比較して高い水準で推移しております。中山間地域が多く、通勤や買物、通院などのために日常的に自家用車を利用する方が多い本県におきましては、ガソリン価格の状況が県民生活に与える影響は大きいものと考えております。 他方、ガソリンなどの小売価格につきましては、原油価格はもとより、精製や物流に係るコスト、利益などを考慮して、各販売店が決定しているものであり、地域間の価格差は、製油所からの距離、メーカーや商社からの仕入れルート、販売店で設定する利益などの違いによって生じているものと認識しております。 市場原理に基づく適正な自由競争の下で、民間企業が各種コストや販売店の利益を考慮して決定されている価格の設定に関しまして、県として介入することは困難でありますが、ガソリンなどの価格につきましては、県民生活との強い関連性がありますため、今後とも各種の統計データなどにより、その動向を注視してまいります。   (総務部長徳重覚君登壇) ◎総務部長(徳重覚君) 企業版ふるさと納税を呼び込む取組についてお尋ねがございました。 企業版ふるさと納税の取組に関しては、これまで企業の社会貢献活動のニーズに合致すると思われる事業を選定し、企業に提案を行ってまいりました。一方で、議員御指摘のとおり、近年企業の関心が高まりつつあるカーボンニュートラルなどについては、企業版ふるさと納税に結びつく事例が少ない状況にございます。 このため、先ほど知事から答弁がありましたとおり、脱炭素社会推進アクションプランに基づく取組を企業版ふるさと納税の対象事業に加えることで、幅広いメニューを提示してまいります。加えて、広報の強化として、こうした取組を企業にとって分かりやすく、かつ訴求性のある形で取りまとめた資料を作成し、企業へのPRツールとして活用してまいります。 また、企業側の社会貢献活動に関するニーズは多種多様であり、必ずしも県の既存事業に合致しない場合もございます。そうした際には、できるだけ企業の意向に沿った形で活用できるよう、例えば観光分野において、よさこいに関連する新たな事業を創設するなど、対応を行ってきたところでございます。 このように、一部ではございますけれども、県としての実績もあることから、議員のお話のように、企業とコラボしてゼロから事業を練り上げるといったアプローチは、有効な手段だと考えております。 このため、今後、企業に寄附を働きかける際には、社会貢献活動に関する個々のニーズをより丁寧に伺い、ゼロから事業を練り上げることも含めて企業版ふるさと納税を呼び込んでまいります。 次に、県内市町村への水道標準プラットフォームの普及、活用についてお尋ねがございました。 昨年11月に策定した水道広域化推進プランでは、地形等の物理的な制約に比較的左右されにくく、広域化によるコストメリットなどが発現しやすい水道事業に係るシステムの共同化を、取組の柱の一つに位置づけております。プランに沿ってシステムの共同化を進めていく上では、水道事業者である市町村に対し、コスト削減や業務の効率化といったメリットを、分かりやすい形で示していくことが重要だと考えております。 水道標準プラットフォームにつきましては、お話のありましたように、更新コスト低減やBCP対応の強化などのメリットが挙げられており、先行して導入した他県の自治体においても、一定の効果があったとの声を聞いております。したがいまして、県としても、システムの共同化を進める上での選択肢の一つとして考えているところでございます。 今後、システム標準化・共同化を含むデジタル化を推進する国の方針も踏まえ、市町村と連携しながら、よりよい手法を検討してまいります。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) まず、企業版ふるさと納税の寄附を見据えた連携テーマのプロジェクトの進め方についてお尋ねがございました。 来年度の産業振興計画では、連携テーマの中でグリーン化の促進を掲げ、カーボンニュートラルに寄与するグリーン化関連産業の創出、育成に取り組んでいくこととしております。 こうした取組を進める上では、高等教育機関の識見や民間企業の技術、ノウハウを結集し、金融機関からの支援もいただくなど、これまで以上に産学官民連携が求められます。そのため、県内外の高等教育機関や関連する民間企業の皆様、さらに関係の市町村をメンバーとするプロジェクトを立ち上げ、それぞれの取組の検討を始めたところでございます。こうしたプロジェクトの推進に当たっては、多額の研究開発費や設備投資が必要となるものもございまして、県の補助金や金融機関からの融資だけでは十分ではないことも想定されます。 一方、議員のお話にもございましたように、地球温暖化への対策が喫緊の課題となっている中で、SDGsやカーボンニュートラルに対する企業の関心は年々高まっております。そのため、本県ならではのグリーン化関連産業の創出を官民挙げて推進し、環境先進県としての知名度を高め、大企業などから多くの企業版ふるさと納税を呼び込みますことで、さらなる研究開発や事業の高度化につなげるという好循環を生み出していきたいと考えております。 次に、企業が行うグリーン化に向けた新事業展開への支援についてお尋ねがございました。 グリーン化関連産業は、カーボンニュートラルの実現に寄与するとともに、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性がございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、県内企業が単独で取り組むには、事業計画の策定や研究開発、さらには資金調達といった点で様々な課題がございます。そのため、グリーン化関連産業に取り組もうとする県内企業と、識見を持った県内外の大学や先進的な技術を有する企業等とのマッチングを支援しますとともに、共同して取り組む試験研究や実証実験に対する支援制度を設けております。 とは申しましても、グリーン化を意識した事業展開に取り組む県内企業はまだまだ少ないことから、来年度は土佐まるごとビジネスアカデミーの中で、グリーン化に関する講座を新設することといたしました。 こうした取組を通じて、県内企業のグリーン化関連産業に対する関心を高め、イノベーションを喚起することで、本県ならではの新たな事業が創出されますよう支援をしてまいります。   (林業振興・環境部長中村剛君登壇) ◎林業振興・環境部長(中村剛君) 脱炭素先行地域を目指す市町村の支援についてお尋ねがございました。 議員御指摘のように、脱炭素先行地域に選定されることは、国の交付金の活用はもとより、脱炭素に先行して取り組む市町村として認識、評価されることで、例えば、ESG投資や企業版ふるさと納税を呼び込む際、企業に強くPRできるなど、市町村に様々なメリットをもたらすものと考えております。また、県全体の脱炭素化を進める上でも先行的な取組を県内に創出し、横展開することが重要であり、県としましても、脱炭素先行地域を目指す市町村などを全力で支援してまいります。 現在、複数の市町村から脱炭素先行地域への応募を検討したいとお話があり、また多くの市町村で脱炭素先行地域の選定要件でもある地球温暖化対策実行計画の策定を検討する意向があると伺っております。このため、こうした市町村を中心に、県のアクションプランの取組内容や脱炭素先行地域に選定されることのメリットをお伝えし、脱炭素化に向けた市町村の機運の醸成や取組の加速化を図ってまいります。 また、具体的に脱炭素先行地域への応募を検討されている市町村につきましては、より踏み込んだ支援を行ってまいります。申請に際して必要となる提案書の策定や推進体制の構築などに向けまして、県も共に知恵を出し、よりよい取組となるよう汗をかいてまいります。加えて、地球温暖化対策実行計画につきましても、全ての市町村で策定していただけるよう、策定ノウハウの提供や個別の相談対応などを行ってまいります。 こうした取組を通じまして、県内市町村の脱炭素化に向けた流れをより大きくし、本県のカーボンニュートラルにつなげてまいります。   (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇) ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、地域おこし協力隊の確保に向けた施策の強化についてお尋ねがございました。 議員のお話にございましたように、今回の集落実態調査では、多くの集落において、人口減少や高齢化による集落機能の低下や担い手不足などが大きな課題となっていることを、改めて確認することができました。 こうした課題を解決するためには、地域の活動を支える人材を確保していくことが極めて重要です。とりわけ、地域づくりや産業づくりの担い手となる地域おこし協力隊は、それぞれの地域の課題やニーズに対応し、集落に活力をもたらす貴重な存在であり、協力隊員を確保していくことが地域を活性化する鍵となってまいります。 このため、まず移住促進の観点から、協力隊員のさらなる確保に向け、高知県移住促進・人材確保センターとも連携し、移住フェアなどのイベントや情報発信などを通じて、市町村への配置に向けた取組を後押ししてまいります。また、着任後のミスマッチを解消する観点から、隊員を受け入れる市町村担当者の研修機会を充実させるとともに、募集の段階からミッションや業務内容を明示するなど、より希望者に訴求できるよう情報発信を強化してまいります。 さらに、新たに地域おこし協力隊インターン制度によって、本県への移住や仕事に関心を持つ方が、短期間のお試し制度を活用できる機会を設けることとしております。この制度は、隊員として活動する前に地域の暮らしや課題を実感し、実際の業務を体験することで協力隊への応募の促進や、県内の市町村とのマッチングの向上を図ることを目的として実施するものです。 このように情報発信や受入れ体制を強化することにより、さらなる地域おこし協力隊の確保に努めてまいります。 次に、地域おこし協力隊のネットワークづくりにどう取り組むのかとのお尋ねがございました。 今年度実施しました市町村担当者を対象とした聞き取り調査では、協力隊に対するフォローの仕方が分からない、協力隊の業務に関するノウハウが蓄積されていないなどの御意見をいただきました。一方、隊員を対象としたアンケート調査では、着任時にスムーズに地域に入り込めない、悩みを共有できる人がいないなどの意見をいただいております。 このような市町村の実情や隊員の悩みに対応するため、来年度、地域おこし協力隊の経験者を、地域づくりサポーターとして県に配置することとしております。サポーターはこれまでの経験を踏まえ、隊員からの相談への対応や、現場での活動への助言を行うなど、一人一人の隊員に寄り添い、3年間の任期が充実したものとなるように、きめ細かなサポートを行ってまいります。 また、新たにブロック別、テーマ別の研修会や交流の場を設けるなど、協力隊のOB、OGを含めた隊員同士のネットワークづくりを強化し、日頃からお互いに情報交換し、学び合う関係づくりを進めてまいります。こうした場には、集落活動センターや青年団などの地域活動に携わる方々にも幅広く参加していただき、地域全体で協力隊員を支える体制づくりを進めていきたいと考えております。 このような取組を通じて、地域づくりや産業づくりの大切な担い手であります地域おこし協力隊の定着につなげてまいります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) 水道台帳の整備状況及び市町村への支援についてのお尋ねがございました。 令和2年度末において、水道台帳の整備が終了している市町村は14自治体です。残り20市町村についても、台帳の作成は一定進んでいるものの、市町村合併時などに異なっていた台帳様式の統一や、より詳細な水道管の埋設情報の台帳への記載などに取り組んでおり、完了には至っておりません。また、デジタル化に関しては、水道管の埋設図面をデジタル化し、現場でのタブレットによる確認を可能とした自治体があるものの、デジタル台帳として整備した自治体は、今のところございません。 本県では、一昨年に作成しました高知県水道ビジョンにおいて、水道台帳の整備を重要施策の一つに設定しており、県内6圏域で開催する水道ビジョン推進委員会の部会などの機会を捉え、デジタル化を踏まえた先進事例の紹介や、国の補助制度を説明するなど、整備に向けた支援を行ってまいりました。 水道台帳のデジタル化は、水道施設の円滑な補修、更新や水道基盤の標準化において効果があるものと考えており、市町村と連携の上、デジタル化を併せた台帳整備の促進にしっかりと取り組んでまいります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、成年後見制度の活用状況についてお尋ねがございました。 成年後見制度は、認知症や精神障害、知的障害などによって判断能力が不十分な方を支える制度で、家庭裁判所に選任された後見人が、本人に代わって財産管理や福祉サービスの契約などを行う制度です。 県内における成年後見制度の利用者数は、令和4年2月末で1,674人となっております。県内で認知症や精神障害、知的障害の状態から、成年後見制度による支援の必要性が高くなると想定される方は約4万5,000人と推計されていますので、利用の割合は3.7%にとどまっております。 利用率が低い要因としましては、住民の方や関係機関への周知不足や、県中央部以外では対応できる専門職の不足、市町村におけるマンパワー不足などが挙げられます。 次に、全市町村での中核機関設置完了を目指す時期についてお尋ねがございました。 市町村の中核機関は、広報啓発、相談、利用促進、後見人支援の4つの機能を持ち、成年後見制度を必要とする方が安心して利用できるよう、支援の中核となる機関であり、今年度末までに13の市町村で設置される見込みとなっております。 県としましては、第3期高知県地域福祉支援計画において市町村の成年後見制度の推進を掲げ、令和5年度までに全ての市町村で、成年後見制度利用促進計画が策定されることを目標に取り組んでおります。 市町村の計画では、中核機関が担うべき具体的な機能や計画的な整備方針を盛り込むことが求められておりますので、市町村の計画策定への支援や、地域の実情に応じた仕組みづくりへの支援を通じて、市町村の中核機関の設置を促進してまいります。 全市町村での中核機関の設置完了は、国と同様に、令和6年度中を目指してまいります。 次に、成年後見制度に関して機能強化のための仕組みづくり、多様な主体の参画、活躍についてお尋ねがございました。 成年後見制度の推進につきましては、市町村の役割が非常に重要となってまいりますが、中核機関の設置に必要な専門職の不足など、市町村単独では円滑に進まない状況がございます。そのため、市町村の取組を広域的に支援する体制を構築することが重要となってまいりますので、令和3年6月に福祉や司法書士等の専門職団体で構成する、高知県における権利擁護支援体制整備に向けた広域的支援のあり方検討会が設置され、権利擁護を後方支援するネットワークの早期構築に向けた協議が進められてきたところです。 この協議を踏まえ、県としましては、令和4年度から国の事業を活用し、司法専門職や福祉職、行政等による後方支援ネットワークを立ち上げ、市町村への支援の強化を図ってまいります。具体的には、県域と家裁支部単位の4ブロックでそれぞれ協議会を設置し、定期的に協議、意見交換をしながら、中核機関への支援や、広域的な後見人の受任調整、困難事例への助言など、後方支援のための調整窓口を設置し、市町村の支援に取り組んでまいります。 また、後見人などの担い手の確保に向けましては、多様な主体の参画や活躍の観点から、後方支援ネットワークと連携し、市民後見人の養成に取り組む市町村を支援するとともに、法人後見の拡大のため、研修の実施や社会福祉法人等への働きかけを行ってまいります。 これらの取組により、どの地域においても制度の利用を必要とする方が、尊厳のある本人らしい生活を継続することができるよう、体制の整備を目指してまいります。 次に、本県の保佐、補助及び任意後見制度の利用状況と、これら制度の利用促進に向けた取組についてお尋ねがございました。 成年後見制度には、認知症や障害の程度によって後見、保佐、補助の3つの種類があります。また、認知症など判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ御本人が後見人を選ぶ任意後見制度がございます。 令和4年2月末の成年後見制度の利用者数1,674件のうち、全ての契約等を代理で行う後見は1,351件、財産に関わる重要な契約等を行う保佐は240件、一部の限られた契約等を行う補助は72件、後見人をあらかじめ決めておく任意後見は11件となっております。 成年後見制度による支援を必要とする方が、住み慣れた地域で尊厳のある本人らしい生活を継続していくには、御本人の判断能力の程度に応じて、これらの意思決定の支援を適切に受けられることが重要です。こうしたことから、後見だけでなく、保佐や補助、任意後見の制度利用を広く進めていくためには、成年後見制度の担い手として、弁護士や司法書士、社会福祉士をはじめ、お話のありました行政書士や市民後見人、法人後見人、親族など、多様な方々の支援が求められます。 県では、来年度に設置する後方支援のネットワークにおいて、法律や福祉の専門職、支援機関の御意見をいただきながら、担い手確保や効果的な周知・啓発方法について検討を行ってまいります。また、このような多様な支援体制を広く住民の皆様に知っていただけるよう、市町村や関係機関と連携し、広報活動を強化してまいります。 最後に、広域的な観点から、市町村の体制整備について、県としてどのように対処するのかとのお尋ねがございました。 現在、国において策定が進められている第二期成年後見制度利用促進基本計画では、市町村や関係機関職員による研修や広域的な課題等に対応するための県による協議会の設置など、市町村単独では取り組むことが難しい課題について、県が主体的に取り組むことが求められております。 これまで県におきましては、成年後見制度や権利擁護支援について、市町村職員が経験や知識不足を補うための実務能力向上に向けた研修や、虐待事例の検討会の開催に取り組んできたところです。これらに加えて、来年度は新たに国の事業も活用し、市町村の中核機関設置のための研修を実施してまいります。具体的には、既に中核機関を設置している市町村職員との意見交換の場を設け、機関の立ち上げや体制整備、実際の運営についての理解促進に取り組んでまいります。さらには、新たに立ち上げる後方支援ネットワークから、困難案件に対し専門的助言を行うアドバイザーを派遣し、市町村の体制整備の取組を促進するとともに、適切な権利擁護支援が行われるようサポートしてまいります。 これらの権利擁護支援の取組は日本一の健康長寿県構想に位置づけ、県に期待される役割を果たしてまいります。 ◆9番(土居央君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 自分としましては、今回の質問は、産振計画の柱のデジタル化、グリーン化、グローバル化、あと中山間振興、福祉政策と、これは総合戦略の大項目になるんですけれども、そういったことを全て含めるといいますか、それを意識した質問をさせていただきました。 特に福祉とか中山間、人口減少していく中でいろんな主体が、みんなが活躍できる環境をいかにつくるかということは、非常に大事な視点だと思います。御答弁では、そういったこともしっかりと御答弁いただきましたので、満足しております。 前段の質問も全て、ほぼほぼ納得できるいい御答弁をいただいたと思うんですけれど、1点だけ、原油価格高騰対策について意見だけ述べさせていただきたいと思います。今回は、状況とか実態についての御見解を聞くというような、そういう聞き方になってしまったわけですけれども、私の問題意識の核は、燃料費が高いということだけではなくて、全国に比べて高いということでありまして、その格差を何とかせないかんのではないかというところにあります。 アフターコロナを見据えて、経済のV字回復を目指していくわけでございますが、産業振興、経済成長には、おのずと他地域との競争の側面があるわけで、そのときに他県に比べて非常に高い燃料価格が、相当大きな足かせになってしまうのではないかという懸念を持っています。 ただでさえ、地理的ハンデのある本県ですので、逆に燃料費ではハンデをもらってもいいぐらいだと思っているんですけれど、残念ながら、ハンデをさらに背負っているというような状況になっています。 基本的に、そういった燃料価格が低く安定しているときには、全国格差もさほど問題には感じないんですけれども、今のように異常に高止まりしている、そういう間は特に気になってきまして、この状態が続くということは、特に小規模事業者の多い、財務的な体力の厳しい本県の事業者にとっては、かなり深刻な状況なのではないかと感じています。 原油が高いことに対する支援策は、先ほど知事からも御答弁がありましたように、国が講じてくれております。また、知事の御答弁でもありました、全国知事会等を通じた国への働きかけといったことにも期待をさせていただきます。 ただ、都道府県間の燃料費格差についてを埋められるものではないんじゃないかと思っています。では、この燃料費の都道府県格差を埋められるとしたら、ここに焦点を当てて政策を打ち込めるとしたら、それはもう県以外にないのではないかと思っております。 市場原理に任せて放置する以外にないのか、あるいは緊急的にでも何かできる支援策というものがないのかと、しっかり調査して議論をしていくと、そういう姿勢も大事なのではないかということを意見として申し上げさせていただきたいと思います。 あと、結びになりますけれども、今期で退職される職員の皆様に、心から感謝と御礼を申し上げまして、私の全質問とさせています。 どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(森田英二君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明4日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後4時42分散会...